すい臓がんとは、その名前のとおりすい臓にできるがんです。日本では、1年間に4万人以上がすい臓がんと診断されています。2020年には3万7677人がすい臓がんのため亡くなりました

すい臓がんには特徴的な症状がなく、特に初期の段階では症状がほとんどありません。進行してくると、すい臓の機能低下や炎症などが起こり、黄疸、お腹の張り・痛み、食欲低下、吐気や嘔吐、下痢、腰や背中の痛み、体重減少、糖尿病などの症状がみられることがあります。

すい臓がんが見つかった人の半数（50.8％）は、気になる症状が出てはじめて病院を訪れています。そのほかには、健康診断で異常を指摘されたこと（15.9％）や集団検診後の精密検査（10.5％）が受診のきっかけになっています。また、糖尿病の悪化により受診するケースもみられます。

すい臓がんの原因は、まだわかっていません。しかしすい臓がんのリスクとしては、喫煙、大量の飲酒、糖尿病、家族のすい臓がん、遺伝性膵炎、慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍（IPMN）などが挙げられます。

すい臓がんにかかった人の割合を年齢別にみてみると、男女ともに50代から少しずつ増え始め、60代以降は加齢に伴って急激に増えていることがわかります。

検査の後にすい臓がんと診断された人の40％がステージIVです。ステージIVでは5年生存率が1％台と非常に低くなります。ただ、すい臓がんも初期段階で見つかれば生存率もかなり上がります。例えば、腫瘍が1cm以下であれば、5年生存率は80％以上と報告されています。

すい臓がんの治療方法には、膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵全摘術のような手術、化学療法（薬物療法）、放射線療法などがあり、手術と化学療法や放射線療法を組み合わせたりすることもあります。