生活習慣とがん
膵臓(すいぞう)がんになりやすい人とは?リスク因子10項目を解説
- 公開日: 10/29/2024
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- 最終更新日: 10/30/2024
日本では、すい臓がんの死亡者は年々増え続け、2023年には年間の死亡者数が40,000人を超え、がんの種類別死亡者数では胃がんを抜いて3位になりました。
また、40-74歳の方を対象に行なった「がんに対する意識調査」にて、特に怖いと思うがん種を尋ねたところ、「すい臓がん」が64.3%と最も多く、「肺がん」が34.3%、「大腸がん」が33.1%と続き、多くの方が「すい臓がん」を特に怖いと感じていることがわかりました。(n=1,000)
すい臓がんは進行が早く、症状が出たときにはすでに治療が難しいことが多い病気です。しかし、リスクファクターを知り、自分の生活を見直すことで、早期発見や予防につながる可能性があります。
ここでは、すい臓がんのリスクを高める10項目を紹介し、その背景と対策をわかりやすく説明します。あなたの健康を守るために、ぜひチェックしてみてください!
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- 1 家族や親戚にすい臓がん患者がいると危ない?遺伝のリスク
- 2 最近血糖値が高い?糖尿病とすい臓がんの怖い関係
- 3 禁煙していても油断は禁物?喫煙でリスクが2倍になる理由
- 4 飲み過ぎにご用心!お酒とすい臓がんのリスク
- 5 体重が気になる?肥満もすい臓がんのリスク因子
- 6 血液型でリスクが変わる?A・B・AB型の人は要注意
- 7 ピロリ菌感染や胃潰瘍の経験があるなら、膵臓 (すいぞう) も心配
- 8 歯茎の健康を侮るなかれ!歯周病が膵臓 (すいぞう)に与える影響
- 9 すい炎の経験がある人は要注意!慢性的な炎症ががんを引き起こす
- 10 すい嚢胞って知ってる?その放置が危険な理由
- 11 特に50歳以上の人はリスクを知り、行動を起こそう
家族や親戚にすい臓がん患者がいると危ない?遺伝のリスク
近親者にすい臓がんの患者がいると、発症リスクは約2倍に増加すると言われています。また、それが近しい親族(親や子ども)の場合、発症リスクは4~5倍になるという研究結果もあります。
なぜリスクが高いのか?: すい臓がんには遺伝的な要因が関与する場合があり、特定の遺伝子に変異があると、細胞の修復能力が低下してがん細胞が発生しやすくなると考えられています。
遺伝子とは?: DNAの一部で、体の様々な機能をコントロールする「設計図」のようなもの。変異があると正常な機能に影響を及ぼすことがあります。
- * Permuth-Wey, Jennifer, and Kathleen M. Egan. “Family history is a significant risk factor for pancreatic cancer: results from a systematic review and meta-analysis.” Familial Cancer 8.2 (2009): 109-117.
- * Klein AP, Brune KA, Peters GM, et al. “Prospective risk of pancreatic cancer in familial pancreatic cancer kindreds.” Cancer Res 2004; 64: 2634-8.
最近血糖値が高い?糖尿病とすい臓がんの怖い関係
糖尿病の人は、すい臓がんになるリスクが約2倍になると言われています。特に、急に糖尿病が発症した場合は注意が必要で、糖尿病と診断されて1年以内はリスクが約5倍であるという研究結果も出ており、特に注意が必要です。
なぜリスクが高いのか?: 高血糖がすい臓に負担をかけ、細胞が異常に増殖することでがんの発生が促進されるからです。また、炎症が長引くことでがんのリスクも高まります。またその逆に、糖尿病の症状がすい臓がんの症状として出現していることもあると考えられています。
糖尿病とは?: 血液中のブドウ糖(血糖値)が異常に高くなる病気。インスリンというホルモンの働きが悪くなることで発症します。
禁煙していても油断は禁物?喫煙でリスクが2倍になる理由
タバコを吸うと、すい臓がんのリスクが増加します。喫煙者は非喫煙者と比べて1.3〜3.9倍といわれていますが、喫煙量が多く、喫煙歴が長くなるほど、そのリスクの増大幅は大きくなります。長年禁煙していても油断は禁物で、禁煙後10年以上経過しても、女性ではすい臓がんのリスクは有意に高かったとする研究もあります。
なぜリスクが高いのか?: タバコに含まれる有害物質がすい臓の細胞を傷つけるためです。禁煙することでリスクは徐々に減少しますが、喫煙歴が長いほど影響が大きくなります。
発がん性物質とは?: がんを引き起こす可能性のある化学物質。タバコには数百種類の発がん性物質が含まれています。
- * Koyanagi, Ito, et al. “Smoking and Pancreatic Cancer Incidence: A Pooled Analysis of 10 Population-Based Cohort Studies in Japan” Cancer Epidemiol Biomarkers Prev (2019) 28 (8): 1370–1378.
- *Keitaro Matsuo, Hidemi Ito, Kenji Wakai, Chisato Nagata, Tetsuya Mizoue, Keitaro Tanaka, Ichiro Tsuji, Akiko Tamakoshi, Shizuka Sasazuki, Manami Inoue, Shoichiro Tsugane, for the Research Group for the Development and Evaluation of Cancer Prevention Strategies in Japan, Cigarette Smoking and Pancreas Cancer Risk: An Evaluation Based on a Systematic Review of Epidemiologic Evidence in the Japanese Population, Japanese Journal of Clinical Oncology, Volume 41, Issue 11, November 2011, Pages 1292–1302, https://doi.org/10.1093/jjco/hyr141
- *金原出版株式会社 膵がん 患者さんのための診療ガイドラインの解説
飲み過ぎにご用心!お酒とすい臓がんのリスク
お酒を大量に飲むと、すい臓がんのリスクが約1.2〜1.5倍に増えるとされています。飲酒量や頻度が大きくなるほど、リスクが高くなる傾向があります。また、大量の飲酒が主な原因である慢性膵炎の人は13倍すい臓がんになるリスクが高くなります
なぜリスクが高いのか?: 飲酒によるアセトアルデヒド曝露量の上昇に伴い、頭頸部や食道、胃などさまざまながんのリスクが高まることが知られています。また、アルコールがすい臓の炎症を引き起こす結果、がん化を促進する可能性も指摘されています。
- *Tramacere, Irene, et al. “Alcohol drinking and pancreatic cancer risk: a meta‐analysis of the dose‐risk relation.” International journal of cancer 126.6 (2010): 1474-1486.
- *Koyanagi YN, Oze I, Kasugai Y, Kawakatsu Y, Taniyama Y, Hara K, Shimizu Y, Imoto I, Ito H, Matsuo K. New insights into the genetic contribution of ALDH2 rs671 in pancreatic carcinogenesis: Evaluation by mediation analysis. Cancer Sci. 2022 Apr;113(4):1441-1450.
体重が気になる?肥満もすい臓がんのリスク因子
肥満の人は、すい臓がんのリスクが1.5倍に増加します。
なぜリスクが高いのか?: 内臓脂肪が多いと、すい臓に慢性的な炎症が起こりやすくなるからです。脂肪組織から、積極的に炎症性サイトカインという物質が分泌されるといわれています。また、インスリンの働きが悪くなり、すい臓に負担がかかります。
内臓脂肪とは?: お腹の内側にたまる脂肪で、体全体の脂肪よりも健康への影響が大きいとされています。
血液型でリスクが変わる?A・B・AB型の人は要注意
血液型がA、B、ABの人はO型に比べてすい臓がんのリスクが約1.2〜1.5倍高いとされています。
なぜリスクが高いのか?: 血液型に関連する抗原がすい臓の炎症や免疫反応に影響を及ぼし、がん化のリスクを高める可能性があるといわれています。
ピロリ菌感染や胃潰瘍の経験があるなら、膵臓 (すいぞう) も心配
ピロリ菌感染や胃潰瘍の経験がある人は、すい臓がんのリスクが約2倍に増加するという研究結果が報告されています。
なぜリスクが高いのか?: ピロリ菌が引き起こす慢性的な炎症がすい臓にも影響を及ぼす可能性があります。
ピロリ菌とは?: 胃の中に生息する細菌で、胃潰瘍や胃がんの原因となることがあります。
歯茎の健康を侮るなかれ!歯周病が膵臓 (すいぞう)に与える影響
歯周病がある人のすい臓がんリスクは約1.7倍に増加すると言われています。
なぜリスクが高いのか?: 歯周病患者の口腔内には、ニトロソアミンを含む細菌が多く存在する可能性があります。ニトロソアミンは発がん性物質として知られており、すい臓がんのリスクを高める可能性があります。また、歯周病による慢性炎症が全身に波及し、すい臓の炎症を引き起こしている可能性があります。
歯周病とは?: 歯茎が炎症を起こし、最終的には歯を支える骨が溶ける病気。歯を失うだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼします。
- *Maisonneuve, Patrick, Salomon Amar, and Albert B. Lowenfels. “Periodontal disease, edentulism, and pancreatic cancer: a meta-analysis.” Annals of Oncology 28.5 (2017): 985-995.
- *Dominique S Michaud, Zhuxuan Fu, Jian Shi, Mei Chung, Periodontal Disease, Tooth Loss, and Cancer Risk, Epidemiologic Reviews, Volume 39, Issue 1, January 2017, Pages 49–58, https://doi.org/10.1093/epirev/mxx006
すい炎の経験がある人は要注意!慢性的な炎症ががんを引き起こす
慢性膵炎を患っている場合、すい臓がんのリスクは10倍以上に跳ね上がるとされています。
なぜリスクが高いのか?: 長期間のすい臓の炎症がDNAを損傷し、それががん化を引き起こします。
膵炎とは?: すい臓が炎症を起こしている状態で、急性(突然の炎症)と慢性(長期間にわたる炎症)があります。
すい嚢胞って知ってる?その放置が危険な理由
特定のすい嚢胞はがん化するリスクが高く、放置するとがんに進行する可能性があります。すい嚢胞がある人は、すいがん発生リスクが約3倍高くなることが報告されています。
なぜリスクが高いのか?: すい嚢胞には「無害なすい嚢胞」と「要注意なすい嚢胞」があります。特に、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と呼ばれる要注意な膵のう胞は注意が必要です。多くの場合、膵のう胞は直ちに治療を必要とせず、定期的な経過観察が重要です。のう胞のサイズや特徴の変化を監視することで、早期発見・早期治療につながる可能性があります。
すい嚢胞とは?: すい臓内に液体がたまった袋状の構造で、多くの場合は無害ですが、特定の種類はがん化する可能性があります。
特に50歳以上の人はリスクを知り、行動を起こそう
すい臓がんは、進行が速く発見が難しいがんの一つですが、リスクファクターを理解することで、そのリスクを減らすための対策が見えてきます。家族歴や糖尿病、喫煙、飲酒、肥満といったリスク要因は、日常生活の中で管理や改善が可能なものもあります。特に、禁煙や適切な体重管理、バランスの取れた食事を心がけることで、リスクの軽減につながるでしょう。
特に、50歳以上の人は、ちょうどすい臓がんリスクがこれから急上昇していく局面に入るので定期的にすい臓がんの検査をすることをおすすめします。
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- 国立がん研究センター がん情報サービス 全国がん罹患データ
- Permuth-Wey, Jennifer, and Kathleen M. Egan. “Family history is a significant risk factor for pancreatic cancer: results from a systematic review and meta-analysis.” Familial Cancer 8.2 (2009): 109-117.
- Klein AP, Brune KA, Peters GM, et al. “Prospective risk of pancreatic cancer in familial pancreatic cancer kindreds.” Cancer Res 2004; 64: 2634-8.
- Ben, Qiwen, et al. “Diabetes mellitus and risk of pancreatic cancer: a meta-analysis of cohort studies.” European journal of cancer 47.13 (2011): 1928-1937.
- Wang F, Herrington M, Larsson J, Permert J. The relationship between diabetes and pancreatic cancer. Mol Cancer. 2003;2:4.
- Koyanagi, Ito, et al. “Smoking and Pancreatic Cancer Incidence: A Pooled Analysis of 10 Population-Based Cohort Studies in Japan” Cancer Epidemiol Biomarkers Prev (2019) 28 (8): 1370–1378.
- Keitaro Matsuo, Hidemi Ito, Kenji Wakai, Chisato Nagata, Tetsuya Mizoue, Keitaro Tanaka, Ichiro Tsuji, Akiko Tamakoshi, Shizuka Sasazuki, Manami Inoue, Shoichiro Tsugane, for the Research Group for the Development and Evaluation of Cancer Prevention Strategies in Japan, Cigarette Smoking and Pancreas Cancer Risk: An Evaluation Based on a Systematic Review of Epidemiologic Evidence in the Japanese Population, Japanese Journal of Clinical Oncology, Volume 41, Issue 11, November 2011, Pages 1292–1302, https://doi.org/10.1093/jjco/hyr141
- 金原出版株式会社 膵がん 患者さんのための診療ガイドラインの解説
- Tramacere, Irene, et al. “Alcohol drinking and pancreatic cancer risk: a meta‐analysis of the dose‐risk relation.” International journal of cancer 126.6 (2010): 1474-1486.
- Koyanagi YN, Oze I, Kasugai Y, Kawakatsu Y, Taniyama Y, Hara K, Shimizu Y, Imoto I, Ito H, Matsuo K. New insights into the genetic contribution of ALDH2 rs671 in pancreatic carcinogenesis: Evaluation by mediation analysis. Cancer Sci. 2022 Apr;113(4):1441-1450.
- Stolzenberg-Solomon, Rachael Z., et al. “Adiposity, physical activity, and pancreatic cancer in the National Institutes of Health–AARP Diet and Health Cohort.” American journal of epidemiology 167.5 (2008): 586-597.
- Iodice, Simona, et al. “ABO blood group and cancer.” European journal of cancer 46.18 (2010): 3345-3350.
- Bao Y, Spiegelman D, Li R, et al. History of Peptic Ulcer Disease and Pancreatic Cancer Risk in Men. Gastroenterology 2010; 138 (2): 541-9.
- Dominique S Michaud, Zhuxuan Fu, Jian Shi, Mei Chung, Periodontal Disease, Tooth Loss, and Cancer Risk, Epidemiologic Reviews, Volume 39, Issue 1, January 2017, Pages 49–58, https://doi.org/10.1093/epirev/mxx006
- Maisonneuve, Patrick, Salomon Amar, and Albert B. Lowenfels. “Periodontal disease, edentulism, and pancreatic cancer: a meta-analysis.” Annals of Oncology 28.5 (2017): 985-995.
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- Tada M, Kawabe T, Arizumi M, et al. Pancreatic cancer in patients with pancreatic cystic lesions: A prospective study in 197 patients. Clin Gastroenterol Hepatol 2006; 4 (10): 1265-70.
- 国立がん研究センター 「がん統計」
この記事の監修者
水沼 未雅
博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。アストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。