研究

【ノーベル賞で話題】マイクロRNAとは?どこよりもわかりやすく、そのすごさを解説

  • 公開日: 10/10/2024
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  • 最終更新日: 10/15/2024
  • #ノーベル賞受賞記念
【ノーベル賞で話題】マイクロRNAとは?どこよりもわかりやすく、そのすごさを解説

2024年のノーベル生理学・医学賞に、マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授とハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授が、「マイクロRNA」の機能を発見した功績によってノーベル賞を受賞しました。

「マイクロRNA」とは聞き慣れないかもしれませんが、実は私たちの体や健康にとても重要な役割を果たしているのです。

この記事では、今注目のマイクロRNAについてわかりやすく解説していきますので是非目を通してみてください。

ノーベル賞受賞のマイクロRNAを実用化!

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マイクロRNAとは?

私たちの体の設計図、「遺伝子」

まず、私たちの体は遺伝子によって設計されています。この遺伝子の情報は私たちの細胞一つ一つにDNAとして存在していて、この設計図をもとに、タンパク質が作られます。

このタンパク質は、筋肉や髪の毛など、私たちの体を構成する重要な成分です。さらに、食べ物の消化や、ケガ・病気との戦いなど、生きるために必要な機能も、このタンパク質の働きによって支えられています。

このように遺伝子(DNA)→メッセンジャーRNA(mRNA)→タンパク質の一連の流れによって、生物が成り立っていることの発見は、20世紀の生物学の最大の功績の一つといっても過言ではありません。この一連の流れは「セントラルドグマ」と呼ばれ、高校の生物で習ったことがある人も多いかもしれませんね。

マイクロRNAは体の中のガラクタ!?

一方で、「マイクロRNA」は、DNAやメッセンジャーRNAといった核酸の仲間なのですが、以下の観点から少し毛色が違います。

タンパク質を作らない

核酸の主な役割はタンパク質を作ることだと長年考えられてきましたが、マイクロRNAはタンパク質を作る役割が無いため、その重要性にスポットライトが当たりませんでした。

非常に短い

「マイクロ」と名前がつく通り、タンパク質の設計図にあたるDNAやメッセンジャーRNAは数万塩基もの長さであるのに対して、わずか22-25塩基 (およそ10万分の1ミリ )と、非常に短く生物学的に重要な機能があるとは考えられていませんでした。

これらの理由から、マイクロRNAは体の中で重要な役割はなく、「ガラクタ」だと長年考えられてきました。

そんな中、ノーベル賞を受賞したアンブロス教授とラブカン教授が非常に重要な発見をします。彼らは、マイクロRNAがタンパク質を直接つくるのではなく、タンパク質の発現を調節することで、生物の成長に重要な役割を果たしていることを突き止めました。

この発見の何が画期的なのか、次からさらに詳しく見ていきましょう。

マイクロRNAの何がすごいのか?

これまでの生物学では説明しきれない謎の解明

ノーベル賞を受賞したアンブロス教授・ラブカン教授は、モデル動物を使用した研究を進める中で、正常に成長ができない個体がいることに着目をしてその原因の研究をしていました。

しかし、いくら探しても異常な「タンパク質」を見つけることはできず、代わりにガラクタだと思われていたマイクロRNAがその原因であることを見出しました。

このような現象はそれまでの遺伝子・タンパク質が中心の生物学では十分に説明ができませんでしたが、マイクロRNAの働きの発見により、より詳細な生物学のメカニズムが解明されました。この発見を機に、様々な生命現象にマイクロRNAが関わっていることが明らかとなっていきました。

がんの病態の解明

がんは遺伝子の異常によって発症する病気であると知られています。

そのため、遺伝子研究の発展とともに、がんについても様々な重要な発見や、治療法の開発がされてきました。 そして、この領域でもマイクロRNAが重要な役割を果たしていることが明らかとなりました。

遺伝子の研究だけでなく、マイクロRNAの研究が発展することで、がんの研究や治療法も大きく発展することが期待されています。 がんの領域で、マイクロRNAが関わっていると考えられているものに下記のようなものがあります。

抗がん剤への耐性獲得

がん治療の難しさの一つに、ある時までは有効に効いていた抗がん剤がある時から効かなくなる「薬剤耐性」があります。

がん細胞は特定のマイクロRNAを多く生成することによってこの薬剤耐性を獲得していくことが知られています。※1

がんの発生や進行に関与

がんの発生や進行を促進するマイクロRNAもあれば、逆に抑制するマイクロRNAもあることが報告されています。これらのマイクロRNAの機能のバランスが崩れることが、がんの発生や進行に関与していると考えられています。※2

がんの転移

がんは全身に転移してしまうことによって、治療が非常に困難になり予後も悪化してしまいます。※3

この転移にもマイクロRNAが重要な役割を果たしており、がん細胞は転移するのに有利なマイクロRNAを多く生成することで、転移できるようになると知られています。

マイクロRNAを活かして何ができる?

私たちの体や病気は非常に複雑なので、これまでのセントラルドグマ※を中心とした生物学の知識では十分に説明しきれない部分が出てきてしまっています。

このように、マイクロRNAの発見によって、より複雑で詳細な生物のメカニズムが分かるようになってきているのです。では、それによって私たちはどのような恩恵を受けられるのでしょうか?

  • セントラルドグマとは遺伝情報が「DNA→(転写)→メッセンジャーRNA(mRNA)→(翻訳)→タンパク質」の順に伝達されるという、分子生物学の概念

新たな治療薬の開発

がんはマイクロRNAを巧みに利用して、抗がん剤から逃れたり、成長をしたりします。

がんがマイクロRNAを妨害したり、逆にがんの成長を抑制するようなマイクロRNAの機能を増長したり

することによって、新たな治療薬の開発が進んでいます。※4

疾患の早期発見

がんの早期段階からマイクロRNAを放出していることが知られています。

これを利用し、マイクロRNAのパターンを分析することによってがんの早期発見につなげることができます。

しかし、マイクロRNAが関わる生命の機構は非常に複雑なため、まだ全容を掴めているとは言えません。また、名前の通り非常に小さく微量であるために、安定的に測定するためには高度な技術が必要とされます。

これらの課題があるとはいえ、マイクロRNAは生物学を大きく発展させ、医療への応用の可能性が高まっています。

マイクロRNAの研究や実用化は日本が世界をリードしている領域の一つであり、今後の発展に期待がかかります。

私たちが開発したマイシグナル・スキャンはマイクロRNAを実用化した数少ない事例です。次回はマイシグナル・スキャンの実用化までの道のりをご紹介していきたいと思います。

ノーベル賞受賞のマイクロRNAを実用化!

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「マイシグナル・スキャン」

マイシグナル・スキャンは尿に含まれる「マイクロRNA」をAIで解析し、高精度に、今のがんリスクを調べる世界初※の検査です。

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  1. 1Aloizou, A.-M. et al. The role of MiRNA-21 in gliomas: Hope for a novel therapeutic intervention? Toxicol. Rep. 7, 1514–1530 (2020).
  2. 2独立行政法人国立がん研究センター マイクロRNAとがん
  3. 3Ma, L., Teruya-Feldstein, J. & Weinberg, R. A. Tumour invasion and metastasis initiated by microRNA-10b in breast cancer. Nature 449, 682–688 (2007).
  4. 4Kim, T. & Croce, C. M. MicroRNA: trends in clinical trials of cancer diagnosis and therapy strategies. Exp. Mol. Med. 55, 1314–1321 (2023).

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