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マイシグナル

【マイシグナル】他の尿検査との違いから気になる費用・注意点まで徹底解説

  • 公開日: 9/27/2023
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  • 最終更新日: 10/8/2025
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    質問者

    質問者

    尿を使ってがんやそのリスクを調べられる検査があることを友人に教えてもらいました。便利な世の中になりましたね。早速調べてみたら、マイシグナルなど、尿を使った様々な検査サービスがあることを知りました。それぞれの違いは何でしょうか?

    先生

    先生

    いずれの検査も尿を使って検査するという点は同じですね。ただ検査の仕組みや特徴が大きく異なります。今回はポイントを絞って違いを解説していきますね。

    質問者

    質問者

    そうなんですね。ぜひ教えて欲しいです。

    先生

    先生

    いずれの検査にも共通して言えることですが、「民間のがんリスク検査キット=がんの診断ができる」わけではない点に注意です。そして「精度100%のがんのリスク検査はない」ということです。

    \早期発見の難しいすい臓がんも対象/

    「尿」で10種のがんリスクを判定!
    マイシグナル・スキャン

     

    日本のがん死亡数の約8割を占める10種類のがん※を個別にリスク判定します。尿中のマイクロRNAをAI解析技術が評価され、すでに全国1500軒の医療機関でも導入されています。

    • 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
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    尿を使ったがん検査(リスク検査を含む)の種類

    尿を利用した検査といっても、その方法や仕組みは様々です。

    検査名特徴
    マイシグナル・スキャン・尿中のマイクロRNAをAIで解析し、10種類のがんリスク※1を検出する検査
    マイシグナル・ライト・尿中に排出される代謝物※2を測定し、全身の様々ながんリスク※3を検出する検査
    尿潜血検査・尿に血液成分(ヘモグロビン)が混じっていないかを調べる検査・膀胱がん、腎盂・尿管がんのほか、尿路系・腎疾患全般のスクリーニングを目的とする・健診などで広く実施されている
    尿細胞診・尿中の細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞などの異常な細胞がないか調べる検査・膀胱がんや腎盂・尿管がんの診断補助に用いられる

    では、マイシグナル・スキャンと他の尿検査を比べると、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

    ※1 女性は前立腺がんを除く9種、男性は乳がん・卵巣がんを除く8種が検査対象となります

    ※2 ジアセチルスペルミン

    ※3 がん種の特定はできません

    マイシグナル・スキャンと他の尿検査を比べて分かる5つの違い

    マイシグナル・スキャンと他の尿検査の違いについて、以下にまとめました。

    • 検査の位置づけの違い
    • 費用の違い
    • 検査原理・メカニズムの違い
    • 調べられるがんの種類の数の違い
    • がんの種類ごとにリスクが特定できるかの違い

    同じ尿を使った検査でも、背景にある技術や検査で分かることには大きな差があります。

    ここでは、それぞれの違いを詳しく解説します。

    検査の位置づけの違い

    同じ尿を使った検査でも、その位置づけや信頼性は大きく異なります。

    検査名位置づけ
    尿潜血検査学会で推奨される有効性が確立した検査法
    尿細胞診学会で推奨される有効性が確立した検査法
    マイクロRNA検査(マイシグナル)新しい技術を活用した検査(国の承認前)
    線虫検査新しい技術を活用した検査(国の承認前)

    尿潜血検査や尿細胞診は、長年の臨床実績に基づいて有効性が確立されており、国からも承認学会からも推奨されている検査です。

    とくに尿潜血検査は健診や臨床の現場で広く用いられ、泌尿器系の疾患を調べるスクリーニング検査として信頼性が高い位置づけにあります。

    一方で、マイシグナルや線虫検査は新しい技術を活用した検査であり、あくまで「がんリスク」の有無を検出することを目的としています。

    費用の違い

    同じ尿を使ったがん検査でも、費用は以下のように異なります。(2025年9月時点)

    検査名費用の目安
    マイシグナル・スキャン69,300円(税込)
    マイシグナル・ライト24,860円(税込)
    線虫検査2万円前後
    尿潜血検査数百円(保険適用後)
    尿細胞診数千円(保険適用後)
    質問者

    質問者

    マイシグナル・スキャンの値段は高いですね… 同じ尿のがんリスク検査なのに、他の検査と比較してなぜ、ここまで費用が違うのでしょうか?

    先生

    先生

    尿を使った検査といっても検査の仕組みが全く違うので、単純な比較はできません。

    検査の費用は、利用している技術がどのようなものかに大きく影響されます。例えばがんに関連する血液検査でも、治療方針を精密に決めるために、次世代シーケンサーという高額機器および最先端の解析技術を用いて血液中に流れるがんのDNAを解析することで、がんの遺伝子的特徴を詳細に分析する遺伝子パネル検査は、数十万円かかります。

    一方で一般的な腫瘍マーカー検査(CEA、AFP、PSAなど)の多くは比較的古典的な技術を利用していますので、1項目につき2,000円~3,000円程度で受けられることが多いです。

    検査の費用は、研究開発にかかった費用や、測定機器・試薬にかかる費用、検査に携わる技術員の工数、検査がもたらす医療経済効果など様々な要因で決定されていますので、同じがんという病気を評価する検査であっても、こうして費用に数十倍100倍以上の差が生じることがあります。

    検査原理・メカニズムの違い

    質問者

    質問者

    マイシグナルと他の尿検査の仕組みはどう違うのでしょうか?

    マイシグナルと他の検査方法では、以下の原理の違いがあります。

    検査名原理
    マイシグナル・スキャン・がん細胞が体内で周囲の細胞とコミュニケーションをとる際に分泌する「マイクロRNA」を利用した検査・尿中のマイクロRNAを抽出し、AIで解析して部位ごとにがんリスクがあるか判定
    マイシグナル・ライト・尿中に排出される代謝物を測定する検査・がん細胞の活動によって変化する代謝物の量を解析し、全身のがんリスクを検出
    線虫検査・体長約1ミリの線虫を使い、尿に含まれる匂いに対する反応を観察する検査・線虫の動きなどの特徴をもとに、がんリスクの有無を推定・がん患者の尿には特有の匂いがあり、線虫がそれに引き寄せられる動きを示すと報告されている(*1)
    尿潜血検査・尿に含まれるヘモグロビンの有無を検査
    尿細胞診・尿を顕微鏡で直接観察して、尿中にがん細胞などの異常な細胞がないか調べる検査

    マイシグナルのようにAIや注目されている技術を取り入れた検査から、健診で受けられる尿潜血検査のように、手軽で安価な検査まで様々です。

    また、線虫検査のように生物の嗅覚を応用したユニークなアプローチも登場しています。

    生物の嗅覚を利用した検査はこれだけではなく、尿ではなく呼気を利用していますが犬の嗅覚と集中力を用いてがんの匂いをかぎわけることができる、という報告もあるようです。(*2)

    質問者

    質問者

    同じ尿検査でも全く仕組みが違うんですね。

    調べられるがんの種類の数の違い

    マイシグナルは複数のがんリスクをまとめて調べられる検査です。同じがんリスクを早期発見するための検査であっても、以下のように調べられるがんの種類の数が違います。

    検査調べられるがんの種類
    マイシグナル・スキャン食道がん肺がん乳がん胃がんすい臓がん大腸がん卵巣がん膀胱がん腎臓がん前立腺がん
    マイシグナル・ライト全身の様々ながん
    線虫検査全身の様々ながん※1
    尿潜血検査膀胱がん腎盂・尿管がん(腎臓がんや前立腺がんでも尿潜血がみられることがあるが、早期発見のためのスクリーニングには向かない)
    尿細胞診膀胱がん腎盂・尿管がん
    質問者

    質問者

    対象となるがんの種類の数だけでみると、マイシグナル・ライトと生き物を使った検査が多いですね。様々ながんの種類をカバーしてくれるのであれば、これだけ受ければ安心できそうです。

    先生

    先生

    そうですね。ただ、いずれの検査にも言えることですが、複数のがんを調べる検査は特定のがん種に特化した検査と比較してがん種によっては精度が落ちる可能性があるという点は注意が必要です。

    質問者

    質問者

    どういうことでしょうか?

    複数のがんのリスクを同時に調べる検査の場合、特定のがんに特化した検査と比較して、一つの測定原理で各がんをまとめて検出をしていることが多いため、各がん種に特化した検査ができない可能性があります。

    例えば、胃がんのABC検査は、胃がんの大きな原因と考えられているヘリコバクター・ピロリ菌と、胃粘膜の萎縮を調べるペプシノゲン検査の22つを組み合わせているため、より胃がんに特化した検査だと言えますが、複数がんの検査だとここまで詳細に見ていないことも多いです。

    さらに重要なのは、結果の解釈が簡単ではないことです。一つのがんの検査だけでも、結果の解釈は簡単では無いのに、複数がんになることでより高度な判断が必要になります。

    質問者

    質問者

    解釈…でしょうか?

    先生

    先生

    例えば血液検査の中にもがんマーカー検査と呼ばれる検査があるけど、その値だけでがんを判断するのではなく、他の検査値やその人の生活習慣や既往歴などをもとに総合的に判断します。

    質問者

    質問者

    なるほど、それはそうですね。レントゲン写真で肺に影が写っていたとしても、がんであるとは限らないからお医者さんに話を聞きますよね。

    先生

    先生

    その通り。検査で所見があった場合、精密検査をして確定診断をするためにも専門家に結果を診てもらう必要があります。複数がんの検査だと、より総合的な判断が必要になります。

    質問者

    質問者

    だから、マイシグナルも生き物を使った検査もあくまでがんのリスクを調べるということなんですね。

    ※123種類のがん種の反応を確認済
    出典:N-NOSE

    がんの種類ごとにリスクが特定できるかの違い(がんリスク検査)

    先生

    先生

    最後の違いは、がんの種類ごとにリスクが特定できるかの違いです。

    がんリスク検査において、検査ごとのがん種の特定の有無について、以下にまとめました。

    検査名がん種ごとの特定
    マイシグナル・スキャン10種類のがん種を特定
    マイシグナル・ライトがん種は特定できない
    線虫検査がん種は特定できない

    マイシグナル・スキャンは、10種類のがんリスク※1を部位ごとに特定できるので、仮にリスクが検出された場合でも、次に受ける検査や受診科がわかりやすいのが特徴です。

    これに対し、マイシグナル・ライトや線虫検査は全身のがんリスクを把握することはできますが、部位は特定できません。

    質問者

    質問者

    確かにがん種ごとにリスクが分かったほうが良いですが、がん種が特定できないことはそんなに重要でしょうか?がんがあるかないかが分かるだけでも十分だと思います…

    先生

    先生

    大腸がんは消化器科、肺がんは呼吸器科など、それぞれのがんの種類ごとに専門家がいます。


    そのため、体のどこかにがんがあるかわかっても、がん種が特定できなければ、どの診療科にかかれば良いか判断ができません。

    質問者

    質問者

    がんの種類が特定できなければ、全身を調べられるPET検査を受けるのはどうでしょうか?

    先生

    先生

    PETは全身を一度に撮影できる検査ですが、万能ではありません。部位によっては診断が難しいこともあり、費用も自己負担の場合10万円以上と高額です。そのため、リスクが検出されたときのことを考えると、リスク部位が特定できる検査のほうが効率が良く、無駄な検査や不安を減らすことにもつながります。

    ※1 女性は前立腺がんを除く9種、男性は乳がん・卵巣がんを除く8種が検査対象となります

    マイシグナルはこんな人におすすめ

    マイシグナル・ライトとマイシグナル・スキャンは、以下のような方におすすめです。

    検査名おすすめの人
    マイシグナル・スキャン・部位ごとのがんリスクを詳しく知りたい・結果をもとに次の検査や受診科を明確にしたい
    マイシグナル・ライト・まずは全身のがんリスクの有無を知りたい・費用を抑えて手軽に検査したい

    どちらの検査も、がんリスクをステージ1の早期段階から発見できます。

    マイシグナル・スキャンは部位ごとのリスクが明確になるため、結果をふまえて「次にどの科を受診すべきか」を判断しやすいのが大きなメリットです。

    マイシグナル・ライトは、費用を抑えつつ全身の様々ながんリスクを把握できるため、「まずは気軽に試してみたい」という方に向いています。

    いずれにしても、結果が「リスクあり」と出た場合や、自覚症状がある場合は、必ず医療機関を受診するようにしましょう。検査をきっかけに早めに行動することで、がんの早期発見や心の負担を減らすことにつながります。

    マイシグナルのデメリットは?受ける前に知っておきたい注意点

    マイシグナルには、以下のような注意点もあります。

    • 保険が適用されないため費用が比較的高い
    • 確定診断はできない

    費用や検査の位置づけを正しく理解して、マイシグナルを前向きに活用してみてください。

    保険が適用されないため費用が比較的高い

    マイシグナルの検査は現時点で自由診療にあたるため、公的医療保険は適用されません。

    つまり全額自己負担となり、以下の費用が発生します。

    検査1回の費用(税込)
    マイシグナル・スキャン1回のみ 69,300円
    定期便コース 59,300円
    マイシグナル・ライト1回のみ 24,860円
    あんしん定期便 19,800円 (6ヶ月)
    しっかり定期便 17,800円 (12ヶ月)

    マイシグナルは、一般的な健康診断や市区町村が実施する対策型がん検診と比べると、高額に感じる方もいるでしょう。

    一方で、マイシグナルは、病院での検査のように予約や通院の手間がありません。採尿だけで済むため、内視鏡などの検査による身体的負担も避けられます。

    一度の検査で10種類のがんリスク※1を判定できるため、1がん種あたりに換算すると6,589円からと、費用面でもバランスの取れた選択肢といえるでしょう。

    また、対策型がん検診は胃・大腸・肺・乳房・子宮頸部など限られた部位しか対象にしておらず、一度にすべてのがんを調べられるわけではありません。その点、マイシグナルはすい臓がんや卵巣がんといった自治体の検診対象外のがんも幅広くカバーできます。

    費用面に加えて、検査の受けやすさや内容もふまえて、自分に合うかどうか検討してみてください。

    ※1 女性は前立腺がんを除く9種、男性は乳がん・卵巣がんを除く8種が検査対象となります

    確定診断はできない

    マイシグナルはがんの有無を診断する検査ではなく、リスクを見つけるための検査です。

    結果が「リスクあり」と出ても、それだけでがんと断定できるわけではありません。

    尿がんリスク検査を理解して前向きな健康管理へ

    尿を用いた検査は、仕組みも検査で分かることも様々です。

    検査名特徴
    マイシグナル・スキャン・尿中のマイクロRNAをAIで解析し、10種類のがんリスク※1を検出する検査
    マイシグナル・ライト・尿中に排出される代謝物※2を測定し、全身の様々ながんリスク※3を検出する検査
    尿潜血検査・尿に血液成分(ヘモグロビン)が混じっていないかを調べる検査・膀胱がん、腎盂・尿管がんのほか、尿路系・腎疾患全般のスクリーニングを目的とする・健診などで広く実施されている
    尿細胞診・尿中の細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞などの異常な細胞がないか調べる検査・膀胱がんや腎盂・尿管がんの診断補助に用いられる

    マイシグナル・スキャンは10種類の部位ごとにがんリスクが分かるため、リスクが検出された場合でも、次の受診先を決めやすいのが特徴です。マイシグナル・ライトは、費用を抑えながら全身のリスクを幅広く把握できます。

    いずれの検査も「診断」ではなくスクリーニングであることを理解し、結果に不安がある場合や症状がある場合は、必ず医療機関で精密検査を受けることが大切です。

    自治体の対策型がん検診と併用しながら、目的に合わせてがんリスク検査を選び、がんリスクの早期発見と前向きな健康管理につなげましょう。

    ※1 女性は前立腺がんを除く9種、男性は乳がん・卵巣がんを除く8種が検査対象となります

    ※2 ジアセチルスペルミン

    ※3 がん種の特定はできません

    参考
    • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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