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なぜ、がん検査は「がん種が特定できる」検査を選ぶべきか?3つの負担から考える

がん検査

なぜ、がん検査は「がん種が特定できる」検査を選ぶべきか?3つの負担から考える

  • 公開日: 2023.08.01
  • |
  • 最終更新日: 2023.09.15
質問者

質問者

最近は自宅で簡単にがんを調べられる検査もいっぱい出てきて、便利な世の中になりましたね。

先生

先生

そうですね。忙しい人でもがん検査を受けられるようになったのは良いことですね。

質問者

質問者

でも、逆にどうやって選べばいいか難しいと思います…何か選ぶ時のポイントってあるのでしょうか?

先生

先生

一言では言えませんが、今回はがん検査選びの中でも重要な「がん種が特定できる検査を選ぶ」について、解説していきますね。

最近、複数のがんのリスクを同時にチェックできる検査が登場しています。一度にたくさんのがんが検査ができるため、魅力的ですが、検査を選ぶ際に気をつけなければならない点もあります。本記事では、そのポイントを解説していきます。

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がん検査はチェックできるがんの数によって2つに大別できる

先生

先生

様々ながん検査があるけど、どのようながん検査があるか分かりますか?

質問者

質問者

健康診断で胸部のレントゲンで肺がんを調べたり、胃がんが無いかチェックするために胃カメラを受けたことはあります。あとはマイシグナルみたいな尿で簡単にチェックできる検査もありますね。

先生

先生

その通りです。まず、レントゲンや胃カメラなど、健康診断や人間ドックで受けられる検査があります。それに加えて最近は血液や尿などでより簡単にリスクチェックができる検査が増えていて、より手軽にがん検査が受けられる時代になってきています。

様々ながん検査がありますが、大きく分けて次の2つに分けることができます。

  1. 特定のがん種に特化した検査
  2. 複数のがんがまとめて分かる検査

1. 一つのがん種に特化した検査

最も一般的なのは、特定のがん種のリスクを調べるために実施する検査です。

例えば、肺がんを検査する胸部レントゲンや、胃がんを検査する胃カメラなどの画像検査があります。血液検査でも、例えば胃がんのリスクが分かるABC検査や、前立腺がんのリスクがわかるPSA検査などがあります。

2.複数のがんがまとめて分かる検査

一方、一度の受診で複数のがんのリスクを検知できることが出来る検査もあります。

例えば、一部の人間ドックで受けられる全身を測定するPET-CTやMRIなどが代表的な例です。近年登場した血液や尿を利用してリスクチェックを行う検査も複数のがんのリスクが判定できるものもあります。

複数のがん種がわかる検査のメリット・デメリット

質問者

質問者

一度の検査で多くのがんが分かる検査があるなんてすごいですね!複数のがんがまとめて分かる検査があれば十分だと思いますが…

先生

先生

本当にそうでしょうか?

質問者

質問者

え?個別に検査を受けなくて良いならそれに越したことは無いと思いますが…

先生

先生

しっかりと検査の特徴を理解して受けたらメリットはたくさんあるのはそのとおり。でも、必ずしもそうとは言えない場面もあります。メリットとデメリットを整理してみましょう。

メリットは言うまでもないですが、各部位ごとに別々の検査を受ける必要がないため、利便性が高いことです。このメリットは非常に大きいでしょう。一回の検査は比較的高価であることが多いですが、各部位ごとの検査を別々に受けるよりも総合的に費用も安く済む可能性があります。

一方でデメリットもあります。特定のがんに特化した検査と比較して、一つの測定原理で各がんをまとめて検出をしていることが多いため、各がん種に特化した検査ができない可能性があります。

例えば、先程にも例を出した胃がんのABC検査は、胃がんの大きな原因と考えられているヘリコバクター・ピロリ菌と、胃粘膜の萎縮を調べるペプシノゲン検査の2つを組み合わせているため、より胃がんに特化した検査だと言えますが、複数がんの検査だとここまで詳細に見ていないことも多いです。

さらに重要なのは、結果の解釈が簡単ではないことです。一つのがんの検査だけでも、結果の解釈は簡単では無いのに、複数がんになることでより高度な判断が必要になります。

質問者

質問者

例えばどういうことですか?

先生

先生

例えば血液検査の中にもがんマーカー検査と呼ばれる検査があるけど、その値だけでがんを判断するのではなく、他の検査値やその人の生活習慣や既往歴などをもとに総合的に判断します。

質問者

質問者

なるほど、それはそうですね。レントゲン写真で肺に影が写っていたとしても、がんであるとは限らないからお医者さんに話を聞きますよね。

先生

先生

その通り。検査で所見があった場合、精密検査をして確定診断をするためにも専門家に結果を診てもらう必要があります。複数がんの検査だと、より総合的な判断が必要になります。

複数のがんを調べられる検査のメリット・デメリット

メリットデメリット
・一度の検査で複数のがん種の検査が出来るため、手間が少ない
・多数の検査を行うよりも、総合的に費用が安くなる可能性がある
・特定のがん種に特化した検査と比較してがん種によっては精度が落ちる可能性がある
・一回の検査費用が高額になりやすい
・結果の解釈が難しくなりやすい。特に、がん種が特定できない検査は注意が必要

複数がん検査のなかでも、がんがあるか無いかのリスクだけを判定し、がん種が特定できない検査も存在しています。このような検査を受ける際は注意が必要です。

がん検査は「がん種が特定できる」ものを、がん種が特定できない検査の3つの落とし穴

質問者

質問者

1つのがん種に特化した検査の方が、より正確な検査ができるのはわかりました。ただ、まずは複数がんを調べられる検査をして、がんの疑いが見つかれば、各がん種に特化した検査という流れで良いのではないですか?

先生

先生

その通りです。ただ、複数がん種を調べられる検査を選ぶ際にもポイントがあります。それは「がん種が特定できる検査を受けること」です。

質問者

質問者

確かにがん種が分かったほうが良いですが、がん種が特定できないことはそんなに重要でしょうか?がんがあるか無いかが分かるだけでも十分だと思います…

先生

先生

検査で大切なのは、万が一リスクがあると出てしまった際の対応です。がん種が特定できない検査の場合、どのような落とし穴があるか、ポイントを解説していきましょう。

1. 次に相談する先が分からない

大腸がんは消化器科、肺がんは呼吸器科など、それぞれのがん種ごとの専門家がいます。

一口にがんと言っても部位によって病態や治療の方法も様々であるため、診断は一般的なクリニックではなく、専門の病院で行います。

そのため、体のどこかにがんがあるかわかっても、がん種が特定できなければ、どの診療科にかかれば良いか判断ができません。

かかりつけの病院に相談しても、そもそもどの診療科に紹介状を書けばいいのかわからず身動きが取れません。

先生

先生

がん種を特定できなければ治療を開始することはもちろん、精密検査を受けることすらできません。手がかりゼロの状態でいきなり”犯人を探してくれ”って言われても無理ですよね?

質問者

質問者

なるほど。確かに。

2. 費用的・身体的な負担が増える

どこの部位にがんがあるかを確定させるために、追加の検査をする必要があります。

そして、どこの部位が疑わしいかが分からないと、各部位ごとに個別に検査を行う必要があります。

そのため、何度も別々の検査を受ける必要が出てくるため、医療機関にかかるための時間がかかったり、それぞれの検査に費用がかかるため、結果的に費用負担が増えてしまう可能性があります。

質問者

質問者

各部位ごとに個別に検査するとどのくらい費用がかかるのですか?

先生

先生

受診する医療機関や保険適用の有無にもよりますが、保険適用外だと下記の表くらいの費用がかかります。

各検査部位ごとの検査の一例と費用

検査部位検査保険適用外の価格目安 (*)
胃がん胃X線検査 (バリウム)10,000円〜15,000円程度
胃内視鏡検査(胃カメラ)10,000円〜20,000円程度
大腸がん便潜血検査1,000円程度
大腸内視鏡検査20,000円程度
肺がん胸部CT検査15,000円〜30,000円程度
喀痰細胞診2,000円〜4,000円程度
乳がんマンモグラフィ20,000円〜30,000円程度
乳房超音波検査(エコー)10,000円程度
食道がん食道内視鏡検査15,000円〜35,000円程度
X線検査10,000円程度
卵巣がん超音波検査 (エコー)5,000円程度
膵臓がん腹部超音波検査(エコー)6,000円程度
造影CT検査10,000円程度
  • 記載費用は当社(Craif)が独自で調べ。保険がきく場合は、上記の金額の一割〜三割の負担となります。実際の費用・保険適用の有無の判断は各医療機関にご相談ください。
質問者

質問者

結構かかりますね。これらの検査を全部やると時間もかかりそうです… がんの定期検診で全身を調べるのはどうでしょうか?

先生

先生

選択肢の一つとしてあると思います。ただ、注意しなければならないのはがんの定期検診(対策型検診)は対象の年齢でないと受けられないこと、そして全てのがん種をカバーしているわけではないことです。

質問者

質問者

例えば、どういうがん種がカバーされていないのですか?

先生

先生

代表的なもので言うと、膵臓(すいぞう)がん卵巣がんがあります。特に膵臓がんは5年生存率が8%台の難治がん、2021年のがん死亡数が4番目に多いがん(*)です。

がんの定期検診が受けられなかったり、定期検診で何も見つからなければ結局人間ドックで全身を調べる必要が出てきます。

質問者

質問者

人間ドックはどのくらい費用がかかるものですか?

先生

先生

病院によって金額が異なりますが、日帰りで大体、5万円程度。より多くのがん種をカバーしようとするとオプションを追加して1泊2日のコースを選ぶことになり、費用は約7万円くらいになります。

質問者

質問者

結構高いですね。しかも検査で1泊する時間もないです…

先生

先生

そうですね。あと忘れてはいけないのが身体的な負担です。

例えば、大腸内視鏡検査の場合、検査前日から食事制限が必要で、検査当日には下剤を服用し腸の中をきれいにする必要があり、2リットルの下剤を飲まないといけません。

他にも乳がんの検査を行うマンモグラフィでは、胸を圧迫するため痛みが伴うなど、全ての検査をするということは単に費用だけではなく、体にも負担がかかります。

3. 心理的な負担が大きい

先生

先生

そして、最後に忘れてはいけないのが心理的な負担です。

質問者

質問者

心理的な負担…ですか?

先生

先生

想像してみてください。検査を受けて、体のどこかにがんがあると言われるとショックですよね?

質問者

質問者

もちろんショックですが… でも逆に、早い段階でがんが見つかったので早期治療ができるってポジティブに考えることもできると思います。

先生

先生

そうですね。
もし、どのがん種のリスクがあるかが明確で、次に受ける検査もはっきりしていれば、その検査でがんが見つからなければ、それ以上追加の検査の必要もありません。結果を受けて安心できるかと思います。ただ、体のどこかにがんの疑いがあると指摘されて、様々な検査を試してもがんが見つからない場合は安心できるでしょうか?

質問者

質問者

がんがないなら、安心できると思います…

先生

先生

不安をあおるようで申し訳ないのですが、精度100%のがんのスクリーニング検査はなく、全てのがん種を調べられるわけではありません。実際のところは、がんの疑いがある場合に細胞や組織を採集し、顕微鏡で観察して初めて、がんかどうかを確定することになります。

質問者

質問者

うっ、、そう言われると不安になりそうです…

先生

先生

そうですよね。検査をして、ずっと心に引っかかりがあるままになるのであれば、検査しなければ良かった…ということになりかねません。
中には、何度検査してもがんが見つからないことが逆に不安で、がんが見つかるまで安心できないと思うようになったという人までいるようです。

リスクありという結果を受けた場合、受診者が不安に感じてしまうことは自然ですが、精密検査などのさらなる検査や適切な治療をおこなうにつれて、その不安は解消されていきます。

一方で、検査後に対応が不明確だった人はより長く不安感を抱えてしまう傾向がみられます(*)。そのため、がん種の特定に時間がかかる場合、かえって検査をうけることで不安に感じてしまう可能性があります。

  • Kim, A., Chung, K. C., Keir, C., & Patrick, D. L. (2022). Patient-reported outcomes associated with cancer screening: a systematic review. BMC Cancer, 22(1), 223.

マイシグナルは複数のがん種を一度に調べて、がん種ごとのリスクが特定できる検査

先生

先生

最後にマイシグナルの紹介も簡単にさせてください。

マイシグナルは自宅で手軽にできる尿のがんリスク検査です。

尿を採取して提出し、その中の成分を調べてがんのスクリーニングを行います。

1回の尿で複数のがん種のリスクが一度にわかる検査ですが、がん種ごとに個別に検査を行うのでがん種の特定ができる検査となります。

質問者

質問者

尿検査ということは痛みがないんですよね?ところで、マイシグナルのマイクロRNAって何ですか?

先生

先生

あまり聞き慣れない言葉ですよね。マイクロRNAとは細胞間のコミュニケーションを担う伝達物質の1つで、がん細胞が存在することで尿中マイクロRNAが増減することが分かっています。マイクロRNAは初期のがんであっても変化が現れる点が大きな特徴と言えます。

マイシグナルではこのマイクロRNAの種類と量のパターンを調べ、AI(人工知能)を用いて分析することで特定のがんのリスクを評価します。

前述のがんの定期検診(対策型検診)でカバーしていない膵臓がんと卵巣がんの検査も行えます。費用は七つのがん種を調べる検査で53,900円(税込)となります。

質問者

質問者

すごいですね!でも少し価格が高いと思うんだけど….なぜですか?

先生

先生

それは最先端の測定・解析技術を用いていることに加え、検査の精度を上げるための徹底した品質管理を行っているためです。

マイクロRNAはその名の通り、非常に小さく、量も少ないので確実に捕捉 (マーキング)するのがとても難しいんです。捕捉した後は、膨大な情報をAIで解析する必要があります。

そのため、鍵になるのは検査の徹底した品質・精度管理です。マイシグナルの検査施設は国内随一の検査体制を誇っており、大手食品会社・製薬会社の検査を委託されるほど、信頼度の高い施設です。

質問者

質問者

なるほど。身体の中の小さな物質を検出してそれをAIに解析させるのでお金も当然かかる…ということですね。施設の管理にも多大なコストを割いているんですね。

先生

先生

あと、自宅で食事制限無しに受けられて、しかもがん種が特定できるのはマイシグナルだけなんです。陽性の場合は結果を持って医療機関に行き、医師の判断の下、精密検査を受けられます。

質問者

質問者

つまり、陽性になってしまっても不要な検査を受ける必要はないっていうことですよね?そのためのコストや時間、身体への負担とか考えたら高くないかもしれないですね。

まとめ

  • がん検査には大きく分けて、①一つのがんに特化した検査と、②複数がんがチェックできる検査がある
  • 複数がん検査は、一度で複数のがん種の検査が出来るため大きなメリットがあるが、気をつけるポイントもある
  • がん種が特定できるかどうかは非常に重要。がん種が分からないと、次に取るべきアクションが明確にならず、結果的に負担が増えてしまう可能性がある
  • マイシグナルは、1回の尿で複数のがん種のリスクが一度にわかる検査、しかもがん種ごとに個別に検査を行うのでがん種の特定ができる

検査でもっとも大切なのは、検査を受けた後の行動にあります。リスクがあるのであれば、適切な診療科に受診して、適切な精密検査や早期に治療を開始すること。

現時点でリスクがなかったとしても、今や2人に1人が生涯にがんに罹ってしまう時代です。定期的にがん検査を受けて、早期発見、早期治療をすることがとても大切です。そのためにもがん検査の特徴をよく理解して、あなたに合った検査を選ぶようにしましょう。

参考
  • 最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計]
  • Kim, A., Chung, K. C., Keir, C., & Patrick, D. L. (2022). Patient-reported outcomes associated with cancer screening: a systematic review. BMC Cancer, 22(1), 223.
  • Schrag, D., Beer, T. M., McDonnell, C. H., III, Nadauld, L., Dilaveri, C. A., Klein, E. A., Reid, R., Marinac, C. R., Chung, K. C., Lopatin, M., Fung, E. T., & Patrick, D. L. (2022). 908P Evaluation of anxiety, distress and satisfaction with a multi-cancer early detection test. Annals of Oncology: Official Journal of the European Society for Medical Oncology / ESMO, 33, S963.
  • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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この記事の監修者

市川裕樹

博士(薬学)、薬剤師、名古屋大学 未来社会創造機構 客員准教授
東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号取得。ケミカルバイオロジーを専攻し研究に携わる一方、米国のNPOにて開発途上国への医療テクノロジー導入も支援。2013年7月にバイエル薬品に入社。MR、全社プロジェクトのPMO、マーケティングと経営企画のマネジャーに従事。Craif株式会社最高技術責任者(CTO)、名古屋大学 未来社会創造機構 客員准教授としてリキッドバイオプシーの研究開発をリード。