がん検査

膵嚢胞(すいのうほう)とは?、自宅でできるリスクチェックを解説

  • 公開日: 6/19/2025
  • |
  • 最終更新日: 6/19/2025
  • #膵臓癌(すいぞうがん)
膵嚢胞(すいのうほう)とは?、自宅でできるリスクチェックを解説

「膵嚢胞」という言葉を聞いて、不安を感じていませんか?

健康診断や人間ドックで告げられたり、ご家族が診断されたりしたことで調べている方もいるかもしれません。

膵嚢胞はほとんどの場合心配ありませんが、なかには“がん化のリスク”を持つものも存在します。
そのため「このまま経過観察でいいの?」「手術は必要?」「良性とはいえ本当に心配ないの?」と思うのも無理はありません。

この記事では膵嚢胞の種類やがん化リスク、 そして今できる「自宅でのがんリスクチェック」についてわかりやすく解説します。

不安な気持ちを少しでも軽くするきっかけになれば幸いです。

膵嚢胞とは?症状や原因をやさしく解説

「膵嚢胞」とは、膵臓の中や周囲にできる液体がたまった袋状のものを指します。

大きさは数ミリ程度から10cm以上のものまで、ひとつの場合や複数見つかる場合もあり、個人によって膵嚢胞の状態はさまざまです。

多くの場合は痛みなどの自覚症状がなく、健康診断や人間ドックで発見されることがほとんどです。

嚢胞のなかには、将来的にがんに進展するおそれがあるものもあります。

そのため、嚢胞の種類や大きさ、形態によっては、定期的な経過観察や追加の検査が必要で、手術による治療も選択肢となります。

女性が多い?膵嚢胞の原因やなりやすい人の特徴

膵嚢胞の原因は種類によって異なり、すでに明らかになっているものもあれば、まだ十分に解明されていないものもあります。

98%以上が女性に発症する「粘液産生膵腫瘍(MCN)」など、性別によってリスクが異なる膵嚢胞もあります。

広島記念病院 膵のう胞性疾患
みんなの家庭の医学 WEB版 膵嚢胞
広島大学 第一外科 【膵臓の病気】膵嚢胞性腫瘍とは? 粘液産生膵腫瘍(MCN)について

膵嚢胞の種類とがん化リスク

膵嚢胞は大きく「腫瘍性嚢胞」と「非腫瘍性嚢胞」に分けられます。それぞれの膵嚢胞の種類とがん化リスクについては、以下の通りです。

膵嚢胞の種類がん化リスクの有無
腫瘍性嚢胞膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
粘液性嚢胞腫瘍(MCN)
漿液性嚢胞腫瘍(SCN)非常に低い
充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)非常に低い
非腫瘍性嚢胞仮性膵嚢胞
特発性膵嚢胞
貯留嚢胞
類上皮嚢胞
リンパ上皮嚢胞

上記の膵嚢胞のうち、比較的発症頻度が高い「膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)」「粘液性嚢胞腫瘍(MCN)」「漿液性嚢胞腫瘍(SCN)」「充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)」「仮性膵嚢胞」について解説します。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm, IPMN)は、膵臓内の膵管(膵液が通る管)の中に発生する膵嚢胞性腫瘍で、最も多く見つかる膵嚢胞です。

IPMNにも種類があり、「主膵管型」「分枝型」、主膵管型と分枝型どちらも見られる「混合型」があります。
「主膵管型IPMN」は、がんへ進行する可能性が比較的高いことが知られており、医師から手術を勧められるケースも少なくありません。

一方で、「分枝型IPMN」はがんに進行するリスクが年間で2〜3%程度と低いため、すぐに手術とはならず、定期的にMRIやCTなどで経過をみていくことになります。
PMNの初期は膵管内にとどまるものの、がん化することで膵管の外へ浸潤するおそれがあります。 

そのため、定期的な検査や慎重な経過観察が必要です。IPMNがある場合は、膵臓の他の部位にもがんが発生するリスクが高くなるため、IPMN併存膵がんの発症にも注意が必要です。

IPMNについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

一般社団法人 日本消化器内視鏡学会

粘液性嚢胞腫瘍(MCN)

粘液性嚢胞腫瘍(MCN:Mucinous Cystic Neoplasm)は、主に膵臓の体部から尾部に発生する、粘液を分泌する膵嚢胞性腫瘍の一種です。

患者の約98%が女性とされており、とくに40〜50代の女性に多く見られます。MCNは発見時は良性であることが多いものの、放置するとがん化するリスクがあるため、他の膵嚢胞に比べて積極的に手術による切除が勧められます。

漿液性嚢胞腫瘍(SCN)

漿液性嚢胞腫瘍(SCN:Serous Cystic Neoplasm)は、中に透明な液体(漿液)を含む多数の小さな嚢胞が集合した腫瘍です。

通常は症状はなく、がん化の心配もほとんどありません。

そのため、多くのケースでは経過観察のみで手術は不要です。ただし、大きくなって周囲の臓器や血管を圧迫している場合は切除手術が検討されることもあります。

充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)

充実性偽乳頭状腫瘍(SPN:Solid Pseudopapillary Neoplasm)は、主に20〜40代の若い女性に多く発見される腫瘍で、がん化リスクが比較的低いことが特徴です。

しかし、一部は転移するおそれがあるため、見つかった場合は切除手術が推奨されます。

仮性膵嚢胞

仮性膵嚢胞は膵炎による膵臓への外傷がきっかけでできる非腫瘍性の膵嚢胞です。

小さな仮性膵嚢胞は自然になくなることも多く、無症状の場合は経過観察となることが一般的です。

一方で、仮性膵嚢胞が大きくなってしまうと、胃カメラを利用して膵嚢胞内の液を胃内に排出する治療をすることがあります。

また、腹痛や細菌感染を引き起こした場合は、外科的手術を行うこともあります。

膵嚢胞の検査方法

膵嚢胞の鑑別診断を行う際は、以下の画像検査を用いて嚢胞の形態や内部構造を評価します。

検査方法特徴
腹部超音波(エコー)体への負担が少なく、膵臓の大まかな状態や嚢胞の有無を確認できるガスで見えにくいことがある
CT膵臓や嚢胞の形態、大きさ、周囲組織への影響を立体的に評価できる放射線被ばくがあるため頻回の検査は注意が必要
MRI/MRCP非侵襲的に、膵嚢胞の中身や膵管とのつながりを詳しく評価できる
超音波内視鏡(EUS)内視鏡で膵臓を間近に観察し、小さな嚢胞や内部構造も詳細に評価できる内視鏡の先端から膵嚢胞に対して細い針を刺すことで、内容液の採取も可能

膵嚢胞の精密検査では、超音波内視鏡(EUS)を使って嚢胞内の液体を採取し、成分分析や細胞診を行います。

これにより、膵嚢胞のがん化リスクや、粘液性かどうかなどを詳しく評価できます。

また、診断の補助的な役割として血液検査も併用し、CA19-9やCEAなどの腫瘍マーカーや、炎症の有無を確認します。

これらの検査結果を総合的に判断することで、膵嚢胞の性質や治療方針をより正確に決定できます。

経過観察か手術か?判断のポイント

 経過観察が選ばれるケース

基本的に特定の膵嚢胞ではなく、膵嚢胞が小さい場合にはがん化リスクが低いため、経過観察が選択されます。

経過観察中は定期的に画像検査(MRI、超音波内視鏡)と血液検査で膵嚢胞に変化が起きていないか確認していきます。

手術が選ばれるケース

膵嚢胞の種類が粘液性嚢胞腫瘍(MCN)または「充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)」、もしくは膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)でがん化リスク が高い場合は手術が検討されます。

その他膵嚢胞が成長して大きくなり、周囲の臓器や血管を圧迫して腹痛などの症状がでている場合も同様です。
外科的切除が主な治療方法であり、がん化する前であれば腹腔鏡を使用した侵襲の少ない手術が可能な場合があります。

膵嚢胞と患者さんの体の状態、がん化と手術リスクを総合的に考慮して治療が決定されます。

膵嚢胞が見つかったときによくある不安Q&A

今は症状がないけど放っておいて大丈夫?

膵嚢胞の種類によっては、がん化するリスクがあります。

経過観察中は病院側が適切な管理計画を立ててくれるため、定期的な検査を受けましょう。

定期検査はどのくらいの頻度で必要?

患者さんの状態や病院の治療方針によって検査間隔は異なります。

たとえば、がん化リスクの低い1~2cmののIPMNの場合、3~6ヶ月ごとの検査が推奨されます。

経過観察中に気をつけることはありますか?

専門の医師からの指示に従っていただくことはもちろん、日々の食事も気をつけたいところです。

膵臓への負担を減らすために低脂肪や高繊維の食事にしたり、喫煙・アルコールを制限したり、適切な水分摂取がおすすめです。

手術することになった場合の入院期間目安は?

例えば、膵嚢胞の手術として実際に行われる標準的な術式のひとつである膵体尾部切除手術の場合、合併症がなければ10日〜14日ほどです。

ただし、患者さんの状態や病院の治療方針によって異なりますので、あくまで参考程度にしてください。

国立がん研究センター 東病院 膵臓の手術について

 まとめ|「何もない今こそ」がんリスクチェックを考えるきっかけに

膵嚢胞はがん化リスクの低いものが多く、経過観察になるケースが多いです。しかし、「様子を見る」ことと「放っておく」ことは違います。

膵嚢胞に限らず、病気の治療には早期発見・早期治療が大切です。

忙しくてなかなか健康診断に時間が取れない方や、病院に行くほどではないけど不安があるという方でも、自宅でがんのリスクを検査する方法もあります。

「マイシグナル・スキャン」は、唾液や尿だけで大腸・肺・胃・乳房・卵巣・すい臓・食道の7つのがんの現在のリスクをチェックできる検査キットです。

不安を安心に変える第一歩として、今こそ自分のリスクを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

\すい臓がんもステージ1から/

尿でがんのリスク検査
「マイシグナル・スキャン」

尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める7つのがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。

  • 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
詳細はこちら
misignal

\この記事を他の人にシェア/