がん検査
【検査工程を公開!】マイシグナル・スキャンの検査工程とは
- 公開日: 11/20/2024
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- 最終更新日: 11/21/2024
当社は、検査所がある愛知県知事の登録を受け、医療機関向けサービスと同等の厳格な検査水準のもと、衛生検査所を運営しております。ありがたいことに、その高い検査品質を評価して購入いただく方が多く、具体的な検査工程について質問いただくこともございます。
そこで今回は「マイシグナル・スキャン」が、具体的にどういった工程で検査を行っているか」を紹介いたします。最新の機器を導入しながら、自動化を推し進めて効率的・安定的な検査を実現しているマイシグナルの検査について、わかりやすく解説していきますので、ぜひご覧ください。
\すい臓がんもステージ1から/
尿でがんのリスク検査
「マイシグナル・スキャン」
尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める7つのがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。
- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
目次
マイクロRNAとがん
マイクロRNAを見ると、なぜがんリスクが分かるのか
がん細胞は周囲の正常な細胞にメッセージを送り、がん細胞が増殖しやすい環境に作り変えることで拡大していきます。そして、その時に送っているメッセージこそが「マイクロRNA」という細胞間のコミュニケーションを担う伝達物質です。
現在までにヒトには2,000種類以上のマイクロRNAが見つかっており、様々な情報が日々、細胞間で伝達されています。その中でも、がん細胞などでは特定のマイクロRNAの増減が見られることが様々な研究からわかっています。
そのため、マイクロRNAを詳しく見れば、がんの活動が早期からわかるのです。
マイクロRNAを測定する難しさ
実は、マイクロRNAががんの増殖に関わっていることは、以前より海外の複数の研究から分かっていました。そんな中で、実用化が進まなかったのは「マイクロRNAを測定する難しさ」に起因します。
マイクロRNAは「100万分の1ミリ」と非常に小さな物質です。測定にはとても高度な技術が必要とされたため、購入できる価格で商用化し、かつ安定的な測定を行うには、長い時間がかかっていました。さらに難しいポイントは、血液などと比べて、尿中のマイクロRNAは非常に濃度が低いため、尿から測定に耐えうる量のマイクロRNAをなかなか取り出すことができないということでした。
マイシグナルでは、5年間の技術開発を経て、これらの難点を突破することができました。マイクロRNAを尿中から安定して測定するための工夫は、次の章で紹介します。
マイシグナル・スキャンは、マイクロRNAをどう測定しているのか
マイシグナル・スキャンでは、安定的な検査を実現するために、大きく以下4つの工程に分けて検査を行っています。
尿からマイクロRNAを取り出す(RNA精製)
尿の中にはマイクロRNA以外にも様々な物質が入っているため、まずはその中からマイクロRNAだけをきれいに精製する工程が検査の第一ステップです。
尿中から十分な量のマイクロRNAを取り出すためには、まずはマイクロRNAを包みこむ封筒であるエクソソーム自体を濃縮する必要があります。
この工程のポイントは、長時間かけてエクソソームを沈殿させた後に、高速回転して濃縮することです。一定の遠心力をかけることで、エクソソームだけを濃縮させることができるため、この工程をはさまないで測定するときと比較して、格段に効率よくマイクロRNAを回収できるようになります。このとき、まだマイクロRNAはエクソソームという膜に包まれている状態であるため、エクソソーム膜を壊してマイクロRNAのみを取り出す作業が必要になります。
マイクロRNAをDNAに変換して増幅する
マイクロRNAを取り出した後は「マイクロRNAをDNAに変換して増幅する」という工程を行います。
マイクロRNAはDNAと比べて安定性が低い物質であるため、対となる相補的DNAに測定前に変換することで、測定の安定性を高めています。
また、より高い精度で測定を行うために、測定前にDNAを増幅する工程を挟んでいます。新型コロナ感染症の検査で一躍有名になったPCRという手法を用い、DNAを倍に増やす工程を何回も行うことで、DNAを百万倍以上に増やしています。この工程によって、少量の尿でもより高い精度で、マイクロRNAの存在量を測定できるようになります。
次世代シーケンサーを用いてマイクロRNAを測定する
前工程で安定性を高める準備が完了したら、ようやくマイクロRNAの量を測定していきます。
マイシグナル・スキャンでは「次世代シーケンサー(NGS)」という最先端の技術を用いた機械で測定をしております。
少し専門的な話になりますが、マイクロRNAは「A(アデニン)」「U(ウラシル)」「G(グアニン)」「C(シトシン)」と呼ばれる4種類の塩基の組み合わせで出来ており、2,000種類以上が存在しています。
NGSでは、その塩基の1つ1つを読み取ることで「マイクロRNAの存在量(どのマイクロRNAがどのくらい存在しているのか(存在量)」を、定量的に測定しています。
この工程では一回でおよそ100人分の測定を、半日以上かけて行っています。一度の測定で読み取られる「A」「U」「G」「C」の塩基は、なんと300億個にも及びます。1つの塩基を1文字だとカウントすると、これは広辞苑2,500冊分の情報量に例えることができます。このように膨大なデータを扱うことで、正しくマイクロRNAの存在量を測定することができるのです。
機械学習(AI)でリスク判定を行う
最後に、マイクロRNAのパターンが「健康な方もしくはがんの方」どちらに近いかを判定します。広辞苑2,500冊分の情報量のデータを解析しなければならず、人の手で解析することはできないため人工知能技術(機械学習)を用います。
記事の前半で触れたように、がん細胞などでは特定のマイクロRNAの増減が見られることが分かっています。マイシグナル・スキャンでは、多数の「健康な方もしくはがんの方」のデータを機械学習に用い、精度の高い判定結果を実現しています。
また、大学病院をはじめ全国約30の医療機関と共同研究契約を締結し、マイシグナルの更なる精度向上に向け、日々研究を進めながらアップデートを行っております。
さいごに
マイシグナルの検査は、上記の工程を経た上で、皆さまに以下のような結果表を送付しております。
結果は「リスク=低・中・高」の3段階でシンプルに表現しておりますが、その裏側では様々な技術を用いて、品質の高い検査結果をお出しできるような工夫をしております。
マイシグナルは今後も品質にこだわり、より良い検査を皆さまに提供してまいります。引き続きマイシグナルを、どうぞよろしくお願いいたします。
\すい臓がんもステージ1から/
尿でがんのリスク検査
「マイシグナル・スキャン」
尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める7つのがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。
- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
この記事の監修者
水沼 未雅
博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。アストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。