がん検査

食道がんの検査方法と費用とは?バリウム・内視鏡、他

  • 公開日: 11/28/2023
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  • 最終更新日: 9/13/2024
  • #食道がん
食道がんの検査方法と費用とは?バリウム・内視鏡、他
質問者

質問者

食道がんは早期発見が難しいと聞いたのですが、本当ですか?

先生

先生

本当です。食道がんは内視鏡検査などでないと見つからないですし、初期には症状があまりありません。2019年の1年間で約2.6万人に食道がんが見つかっていますが、初回の診断時にすでにリンパ節や他の臓器に転移している割合は約5割。進行してから見つかるケースが多いのです。(*1)2021年のデータでは1年間でおよそ1万人が食道がんで亡くなっています。(*2)

質問者

質問者

1万人も!食道がんを見つけるにはどんな検査を受けたほうがいいんでしょうか?仕事が忙しくてスケジュール調整するのが難しいので、できれば短時間で終わるものがいいなと。

先生

先生

食道がんの検査方法はいくつかあり、それぞれ長所・短所があり、検査の対象も異なります。どのような検査があるか、詳しく解説していきますね。

ここでは食道がんの検査方法と共に、食道がんになりやすい人の特徴や食道がんのセルフチェック方法などについて詳しく解説していきます。

この記事でわかること

  • 食道がんは初期にはほとんど症状がなく、早期に転移しやすい
  • 食道がんになりやすい人はお酒をよく飲む人や喫煙者
  • 腫瘍マーカーは早期の食道がんではほとんど変動しない
  • 食道がんを見つける検査は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と上部消化管造影検査(バリウム)
  • 食道がんとわかったら、超音波内視鏡検査(EUS)、生検、CT・MRI検査、PET検査などの精密検査が必要
  • 食道がんのステージやからだの状態によって治療法はさまざま

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食道がんになりやすい人とは?食道がんの原因・症状

質問者

質問者

食道がんってどんな人がなりやすいんでしょうか?

先生

先生

食道がんのリスクを高める要因として大きいのが、飲酒と喫煙です。

質問者

質問者

そうなんですね!毎日、タバコは1箱吸いますし、晩酌もよくしますね…。どんな症状があったら食道がんの可能性があるんでしょうか?

先生

先生

食道がんは初期にはほとんど自覚症状がありません。進行すると、食べ物が胸につかえる感じやしみる感じ、チクチク感など、胸に違和感を覚えることもありますね。体重の減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状も見られます。

食道は、喉(のど)から胃をつなぐ、長さ約25cmの管(くだ)上の臓器で、この食道表面の粘膜ががん化したものが「食道がん」です。食道がんには、「扁平上皮がん」と「腺がん」という2つのタイプがあり、そのほとんどが扁平上皮がんです。

食道がんは粘膜の下や筋肉の層へと広がっていき、さらに周りにある気管や大動脈、リンパ管にも進行します。リンパ液や血液の流れに乗れば、リンパ節や肺、肝臓などに転移し、全身に広がることになるのです。

食道がんのステージ(病期)と生存率

食道がんのステージは、食道がんの広がり(T因子)、リンパ節への広がり(N因子)、遠隔転移の程度(M因子)の組み合わせで決まり、0期〜ⅣA、ⅣB期まであります。

T因子
(原発巣の広がり)
T1a がんが粘膜内にとどまる
T1b がんが粘膜下層にとどまる
T2 がんが固有筋層にとどまる
T3r がんが食道外膜にまで広がっているが、隣接臓器(心臓、腹膜など)への浸潤がなく、切除ができる
T3br がんが食道外膜にまで広がり、隣接臓器に浸潤している可能性があり、切除できるかどうかの境界である
T4 がんが食道周囲の臓器(肺、大動脈、気管など)にまで明らかに広がっている
N因子*
(リンパ節転移)
N0 リンパ節転移がない
N1 領域リンパ節内にリンパ節転移が1~2個ある
N2 領域リンパ節内にリンパ節転移が3~6個ある
N3 領域リンパ節内にリンパ節転移が7個以上ある
M因子*
(遠隔転移)
M0 遠隔転移がない
M1a 切除による治療効果が期待できる領域外リンパ節(がんから離れたリンパ節)に転移がある
M1b M1a以外の領域外リンパ節または遠隔臓器(食道から離れた臓器)に転移がある
  • *食道がんがある場所ごとに、転移の頻度や切除による効果を総合的に判断して、「領域リンパ節」および「切除による効果が期待できる領域外リンパ節」が分類されています。

 
転移壁深達度 N0 N1 N2, N3, M1a M1b
T0, T1a 0 ⅢA ⅣB
T1b ⅢA ⅣB
T2 ⅢA ⅢA ⅣB
T3r ⅢA ⅢA ⅣB
T3br ⅢB ⅢB ⅢB ⅣB
T4 ⅣA ⅣA ⅣA ⅣB

早期のうちに発見、治療ができれば、生存率も高くなります。ステージ毎の5年生存率が下表のとおりです。

                        
ステージ5年生存率
70.6%
44.7%
25.3%
8.1%
質問者

質問者

食道がんが早い段階で見つかれば、助かる確率も高いんですね。

先生

先生

いえ、食道がんは浅くても、転移の可能性が高いがんなのです。粘膜下層に留まる食道がんでも、20~50%は転移します。(*3)

質問者

質問者

え!初期でも転移しやすいんですね。

先生

先生

食道の周辺には多くのリンパ節が集まっていますからね。Ⅰ期は「転移がなく、がんが粘膜下層に留まっている」段階なので、少しでも転移があればⅡ期以上に分類されます。初期にはほとんど症状がないため、違和感を覚えたらすぐに検査を受けること、自分の食道がんのリスクについて知っておくことが大切です。

食道がんになりやすい人・リスク因子

食道がんになりやすい人は、お酒をよく飲む人や喫煙者です。アルコールやタバコの煙に含まれる「発がん性物質」は食道がんの大きな原因となります。

アルコールが体内に入ると作られるのが「アセトアルデヒド」という物質です。アセトアルデヒドには発がん性があり、体質的にアセトアルデヒドの分解が遅い人は食道がんのリスクが高まることがわかっています。お酒を飲んですぐに酔う人、顔が真っ赤になる人は、アセトアルデヒドがからだに蓄積しやすいため、要注意です。

また、タバコの煙には、アセトアルデヒドを含めて約70種類の発がん性物質が存在します。そのため、喫煙者も食道がんのリスクが高くなります。(*4)

その他に、食生活の偏りによるビタミンの不足や、加齢もリスク因子となります。

食道がんは「扁平上皮がん」というタイプがほとんどなのですが、「腺がん」と呼ばれる種類のがんでは、胃食道逆流症(逆流性食道炎)がリスク因子です。胃から胃酸が逆流し、食道とのつなぎ目部分に炎症が起きたり、食道粘膜が胃粘膜状に変化(バレット食道といいます)したりすることで、がんが発生しやすくなります。

前兆・自覚症状はある?今すぐできる、食道がんセルフチェック

食道がんに前兆はなく、初期にはほとんど自覚症状がありません。「食道がしみる」という症状が出る場合がありますが、無症状の場合が多いのが特徴です。

もし、下記のような症状がある場合には、食道がんが進行している可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 飲食時に胸に違和感がある
  • 食べ物がつかえる感じがする
  • 食べ物や水が通らなくなる
  • 胸の奥や背中が痛む
  • 咳や痰が出る
  • 声がかすれる
  • 体重が減る

食道がんのスクリーニング検査ができる「マイシグナル」とは

食道がんは初期にはほとんど症状がないため、セルフチェックが難しいがんです。病院での検査を受けるのが確実な方法ですが、自宅でできるスクリーニング検査があります。

それが、マイシグナルシリーズ の「マイシグナル・ナビ」と「マイシグナル・スキャン」です。

マイシグナルナビは、生まれ持った遺伝的リスクを調べられる検査です。食道がんをはじめ、すい臓がん大腸がん肺がん乳がん胃がん卵巣がんの7種類のがんになりやすい体質かどうかをチェックできます。唾液での検査なので、痛みもなく、自宅で簡単に採取できます。

マイシグナルスキャンは、がんのリスクが今現在あるかどうかをチェックできる検査です。尿を用いた検査で、尿中に含まれるマイクロRNAを抽出・測定・解析することで、がんリスクをステージⅠから種類別に検知することが可能になっています。マイシグナル・ナビと同じ7種類のがんのリスク検査ができ、自宅で簡単に受検することができます。

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血液検査 (腫瘍マーカー)で食道がんの早期発見はできない?

腫瘍マーカーとは、がんの発生することで作られる、特徴的なタンパク質などの物質(腫瘍マーカー)の量を調べる血液検査です。

腫瘍マーカーの種類

がんの種類別に関係性の高い腫瘍マーカーを見てみましょう。

 
がんの種類 腫瘍マーカー
甲状腺がん CEA
肺がん 非小細胞がん CYFRA21-1、CEA、SLX、CA125、SCC
小細胞がん NSE、ProGRP
食道がん SCC、CEA
胃がん CEA、CA19-9
大腸がん CEA、CA19-9、p53抗体
肝臓がん(肝細胞がん) AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3
胆道がん CA19-9、CEA
膵臓がん CA19-9、Span-1、DUPAN-2、CEA、CA50
膀胱がん NMP22、BTA
前立腺がん PSA
乳がん CEA、CA15-3
子宮頸がん SCC、CA125、CEA
卵巣がん CA125

検査費用

腫瘍マーカーは、人間ドックなどのオプション検査として利用できます。検査費用は1項目3,000円程度になります。

自宅で検査できる市販のキットもあり、費用は20,000円程度です。

検査の精度

食道がんではSCC、CEAという腫瘍マーカーが高値を示します。ただ、どちらも食道がん以外のがんで高値となることがあるため、腫瘍マーカーのみで食道がんの有無を知ることはできません。

また、肝障害や腎障害、飲酒、喫煙、薬の影響などで腫瘍マーカーが高くなることがあります。腫瘍マーカーだけでは食道がんの診断はできないため、画像診断やほかの検査が必要です。

腫瘍マーカーの詳細については「腫瘍マーカー検査とは、がんの早期発見には不向き?基準値も解説」もご覧ください。

食道がんの検査はどこで受ける?検査の種類、費用、結果の見方

質問者

質問者

食道がんの検査はどこで受けたらいいでしょうか?診療科だと内科でしょうか?

先生

先生

なにかしらの症状があって食道がんの検査を受けたい場合は、消化器科(消化器内科や消化器外科)や内科を受診しましょう。上部消化管内視鏡検査 (胃カメラ)や上部消化管造影検査(バリウム)を行っているクリニックや病院を選ぶと、診察から検査までスムーズです。

特に症状はないけれど、食道がんの検査を受けたい場合には、検診センターや人間ドックを受けましょう。

上部消化管内視鏡検査 (胃カメラ)や上部消化管造影検査にはそれぞれ長所・短所があり、どちらの検査が適しているかは、その人の状態によって異なります。違いを見てみましょう。

                            
 上部消化管内視鏡検査上部消化管造影検査
概要・特徴胃カメラ(内視鏡)を用いて、食道の粘膜の状態を直接観察する検査。異常があれば、組織を採取して検査できる。バリウム(造影剤)を飲んでから行うX線検査。がんの場所や大きさなどをX線写真で確認できる。
食道がんの発見率・精度0.065%(*5)0.007%(*5)
食事制限前日の夕食後から検査終了まで絶食前日の夕食後から検査終了まで絶食
結果が出るまでの日数当日~1週間程度 (組織を採取・切除した場合は2週間程度) 10日から1か月程度
費用感保険適用の場合、3,000円から5,000円(3割負担)保険適用の場合、3,000円前後(3割負担)

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

上部消化管内視鏡検査は、食道・胃・十二指腸の状態を内視鏡で見る検査で、一般的に「胃カメラ」と呼ばれています。鼻もしくは口から内視鏡を挿入し、モニターで各臓器の状態をリアルタイムでチェックできます。

もし、検査中に異常な組織が発見された場合、その組織を採取し、顕微鏡で検査すること(生検)が可能です。

検査を受けられる場所

上部消化管内視鏡検査は、クリニックや病院、検診センターなどで受けられます。人間ドックのオプションとして組み込める場合もあります。

検査精度

上部消化管内視鏡検査での食道がんの発見率は0.065%程度で、うち早期癌の割合は85%であったという報告があります(*5)。上部消化管造影検査の9倍の発見率となっていて、早期がんの発見にも有効であることが示唆されています。

検査時の痛みの有無

内視鏡を鼻や口を通して喉へと通していくため、痛みや不快感があります。

食事制限の有無

前日の夕食後から検査終了まで絶食となります。

検査費用

異常を疑う症状や所見があって上部消化管内視鏡検査を行う場合には、保険適用となり、3,000円から5,000円程(3割負担)の費用がかかります。

人間ドックで上部消化管内視鏡検査を受ける場合には、医療機関によりますが1〜2万円程のオプション費用が必要です。

市町村の胃がん検診として上部消化管内視鏡検査を受ける場合には、年齢によっては無料~3,000円程度で受けられます。

検査の長所・短所

上部消化管内視鏡検査では食道だけでなく、胃や十二指腸も内視鏡で直接確認できます。X線写真で見るのと違い、内視鏡では色の違いや粘膜のわずかな凸凹、模様の違いを確認でき、早期がんの発見に有用です。肉眼で色別しにくい部分も、色素を散布することで病変部を見つけやすくできます。

また、異常を確認した段階ですぐに病変部の組織を採取できるので、病理検査によるがんの確定診断が早くできます。

ただ、上部消化管内視鏡検査は内視鏡の挿入に苦痛を感じる人が多いのが難点です。経鼻内視鏡(鼻から挿入する内視鏡)のほうが、細くて苦痛を感じにくいため、鼻からの上部消化管内視鏡検査に対応できる医療施設も多くなっています。鎮静剤を使用する医療施設もあるため、事前に確認しておくと安心です。

検査を受けられない人

上部消化管内視鏡検査は、以下に当てはまる場合には受けられないことがあります。

  • 咽頭や鼻腔になんらかの疾患があり、内視鏡が挿入できない
  • 全身状態が悪く、検査に耐えられない可能性がある
  • 高度の高血圧である
  • パニック障害・嘔吐恐怖症がある
  • 妊娠中・授乳中である
  • リドカイン(キシロカイン)アレルギーがある
  • 抗血栓薬を服用中である
  • 心筋梗塞や重篤な不整脈など特定の疾患がある

検査結果の見方

上部消化管内視鏡検査の結果は、医療施設によって形式が異なりますが、食道・胃・十二指腸の異常所見の有無や、異常がある場合にはその場所や状態、病名が記載されています。各臓器の状態を図や写真で示している場合もあります。

食道がんを含め、上部消化管内視鏡検査で調べられる主な病気は下記のとおりです。

                        
部位調べられる病気
食道食道がん
食道びらん・食道潰瘍
食道アカラシア
胃食道逆流症
食道静脈瘤
胃がん
胃潰瘍
萎縮性胃炎
胃ポリープ・胃底腺ポリープ
十二指腸十二指腸がん
十二指腸潰瘍
十二指腸炎
十二指腸ポリープ

病理検査を受けた場合は、がんかそうではないかの結果が記載されます。がんである場合には、精密検査を受けることになります。

胃カメラについての詳細は「鎮静剤は使用すべき?胃カメラ(胃内視鏡検査)の費用・受け方のコツ」の記事も御覧ください。

上部消化管造影検査(バリウム)

上部消化管造影検査は、バリウム(造影剤)を飲み込み、X線の吸収を良くした状態で食道、胃、十二指腸までの消化管の画像を撮る検査です。X線写真は白黒でできあがり、その色の濃淡で異常の有無や状態を確認できます。撮影は数分でできるため、検査の負担が少なく、集団での健康診断によく用いられます。

検査を受けられる場所

上部消化管造影検査は、上部消化管内視鏡検査と同じく、クリニックや病院、検診センターなどで受けられます。多くの場合、人間ドックの基本検査項目に入っています。

検査精度

上部消化管造影検査での食道がんの発見率は0.007%、うち早期がんの割合は20%と報告されています(*5)。早期ステージのうちに食道がんを見つけるためには、X線検査よりも内視鏡のほうが適していると考えることができるでしょう。

検査時の痛みの有無

撮影時に痛みはありません。

しかし、下剤を使ってもバリウムがなかなか排便されずに腹痛が起こったり、稀に腸閉塞となったりすることがあります。

食事制限の有無

前日の夕食後から検査終了まで絶食となります。

検査費用

異常を疑う症状や所見があって上部消化管造影検査を行う場合には、保険適用となり、3,000円程(3割負担)の費用がかかります。

人間ドックで上部消化管造影検査が基本検査項目に入っていない場合、医療機関によりますが1万円程のオプション費用が必要です。

市町村の胃がん検診として上部消化管造影検査を受ける場合には、年齢によっては無料~2,000円程度で受けられます。

検査の長所・短所

上部消化管造影検査では、食道・胃・十二指腸の状態をX線写真によって確認できます。「胃がん検診」として、バスによる巡回検診を受けたことのある人もいるでしょう。検査時間も短く、痛みもなく、手軽に検査を受けられるのは大きな長所です。

しかし、食道では造影剤が流れ落ちやすいため、小さかったり平坦だったりする異常部分は見つけにくくなります。写真を通しての観察になるため、上部消化管内視鏡検査に比べて食道がんの発見率がやや低いのが短所でしょう。

また、上部消化管内視鏡検査では病変部の組織を採取できますが、上部消化管造影検査ではそれができません。もし上部消化管造影検査の結果、がんの疑いがあった場合、上部消化管内視鏡検査を改めて受けることになります。

検査を受けられない人

上部消化管造影検査は、以下に当てはまる場合には検査ができないことがあります。

  • バリウムアレルギーがある
  • 妊娠中である、妊娠の可能性がある
  • 授乳中である(下剤の影響が乳児に出る場合がある)
  • 透析中である
  • 腸閉塞や腸ねん転がある、既往がある
  • 消化管穿孔やその疑いがある
  • 自力で立てない
  • 誤嚥の可能性が高い
  • 心不全や腎不全などで水分制限がある
  • 便秘が3日以上続いている
  • 腹部や整形外科の手術をして1年以内である
  • 1年以内で脳梗塞や心筋梗塞が起きた
  • 喘息発作が頻繁にある
  • 体重130kg以上である
  • 胃や腸に炎症や病気がある

検査結果の見方

上部消化管造影検査では、食道・胃・十二指腸の異常所見の有無や、異常がある場合にはその場所や状態、病名が記載されています。

食道がんを含め、上部消化管造影検査で調べられる主な病気は下記のとおりです。

                        
部位調べられる病気
食道食道がん・食道がん疑い
食道潰瘍・潰瘍疑い
食道腫瘍
食道静脈瘤
胃がん・胃がん疑い
胃潰瘍・胃潰瘍疑い
胃びらん
胃ポリープ・胃底腺ポリープ・ポリープ疑い
十二指腸十二指腸潰瘍
十二指腸ポリープ

バリウム検査の詳細はこちらの「胃バリウム検査 (胃部x線検査)とは?検査前後の注意点とコツ」も御覧ください。

食道がんの疑いありと言われた際の再検査・精密検査の種類と費用

質問者

質問者

上部消化管内視鏡検査や上部消化管造影検査で、食道がんや食道がん疑いとなったら、どうしたらいいんでしょうか?

先生

先生

食道がんの可能性がある場合には、精密検査を行うことになります。 食道がんの精密検査は、超音波内視鏡検査(EUS)、生検、CT・MRI検査、PET (ペット) 検査があります。それぞれの検査の特徴を見てみましょう。

                            
 超音波内視鏡検査(EUS)生検CT・MRI検査PET (ペット) 検査
概要・特徴先端に超音波プローブがついた内視鏡を使って、食道の中から行う超音波検査。食道の病変部を採取し、顕微鏡で細胞の状態を確認する検査方法。上部消化管内視鏡検査時に行われる。CT検査はX線を、MRI検査は磁気を用いて体内の状態を撮影する画像検査。PET検査はFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を投与し、がん細胞に取り込まれたFDGの分布を見る画像検査。
正診率(診断が正しかった割合)表在型食道がんの深達度の正診率は70~80%程度(*6)食道がんの正診率97%(*7)リンパ節転移診断の正診率はCT・MRIともに70%程度(*8)がん正診率90%程度(*9)
入院の有無・日数日帰りもしくは1泊2日程度の入院日帰り(上部消化管内視鏡検査で採取する場合)日帰り日帰り
費用感 (3割負担の保険適用)6,000円程度4,000円程度CT 5,000~1万円程度、MRI 8,000円程度数万円程度

超音波内視鏡検査(EUS)

超音波内視鏡検査では、先端に超音波プローブが組み込まれた内視鏡を使い、食道の中からエコー検査を行います。お腹の上から行う超音波検査と違い、より近い場所から検査ができるため、病変の深さ(深達度)や広がり、リンパ節転移の有無などを詳細な断層画像として観察できます。

費用感

食道がんの精密検査で行う場合には保険適用となるため、費用は6,000円程度(3割負担の場合)になります。

検査精度

超音波内視鏡検査で、表在型食道がん(粘膜内から粘膜下層までのがん)の深達度の正診率は、70~80%程度となっています。食道胃接合部では、深さの正診率が低くなることがわかっています。

検査時の痛みの有無

上部消化管内視鏡検査と同じく、内視鏡を鼻や口を通して喉へ通していくため、痛みや不快感があります。

食事制限の有無

前日の夕食後から検査終了まで絶食となります。

入院の有無と日数

日帰りもしくは1泊2日程度の入院で検査が受けられます。

検査の長所・短所

上部消化管内視鏡検査よりも精密にがんの深さを評価できます。内視鏡で切除可能かを判定するために不可欠な検査です。

また、食道の外側にあるリンパ節への転移の有無を知ることができます。

短所として、上部消化管内視鏡検査と同様に、内視鏡の挿入に苦痛を感じる場合があります。

生検

生検は食道の病変部を採取し、顕微鏡で細胞の状態を確認する検査方法です。がん細胞の有無や悪性度の確認に使われます。

通常、生検は上部消化管内視鏡検査と同時に行われます。

費用感

食道がんの精密検査で行う場合には保険適用となるため、費用は4,000円程度(3割負担の場合)です。

検査精度

生検での正診率は97%となっています。

検査時の痛みの有無

生検で痛みは伴いません。

食事制限の有無

前日の夕食後から検査終了まで絶食となります。

入院の有無と日数

日帰りで受けられます。

検査の長所・短所

生検は、高い正診率を誇ります。

しかし、採取した組織を顕微鏡で調べる検査なので、採取した場所以外にがんがあった場合にはがんに気づけない可能性があります。

CT・MRI検査

CT検査はX線を、MRI検査は磁気を用いて体内の断面を撮影する画像検査です。がんの広がりや、リンパ節、肺などの臓器への転移の確認に使われ、食道がんの進行度を判定するのに最も重要な検査となります。

費用感 

食道がんの精密検査で行う場合には保険適用となるため、費用はCTが5,000~1万円程度、MRIが8,000円程度(3割負担の場合)です。

検査精度

リンパ節転移診断(がんのサイズが短径10mm以上であれば「転移あり」とした場合)の正診率は、CT・MRIともに70%程度です。

検査時の痛みの有無

CT・MRI検査共に痛みは伴いません。

食事制限の有無

検査前の食事は医師の指示によります。

入院の有無と日数

日帰りで受けられます。

検査の長所・短所

CTは10分程度で検査が終わり、体内に金属があっても検査が受けられますが、放射線被爆を伴います。

MRIは磁気を使う検査なので放射線被爆のリスクはありませんが、体内に金属がある場合は検査できないことがあります。また、装置が狭く、検査時間が20分~1時間と長いため、閉所恐怖症の人は耐えられない場合もあります。

PET (ペット) 検査

PET検査は、がん細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用した検査法です。静脈からFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を投与すると、がん細胞に取り込まれたFDGの分布を画像で確認できます。CT検査やMRI検査と組み合わせて行うこともあります。ほぼ全身の撮影が一度ででき、全身のがんの大きさや広がりを判定するのに役立つ検査です。

PET(ペット)検査の詳細はこちらの「全身のがんを調べるPET(ペット)検査とは?費用・結果の見方を解説」もご覧ください

費用感 

他の検査でステージ診断ができない場合にのみ保険適用となり、数万円程度の費用(3割負担の場合)となります。早期の胃がんでは保険適用とならず、全額自己負担となります。

検査精度

食道がんを含めたがんの正診率は90%程度となります。

検査時の痛みの有無

FDGの注射の際に、痛みを感じることがあります。

食事制限の有無

検査の5~6時間程前から絶食となります。水分も糖分を含む甘いジュースなどは控える必要があります。

入院の有無と日数

日帰りで受けられます。

検査の長所・短所

PET検査では、全身のさまざまな場所のがんを検査できるため、転移の確認に役立ちます。

しかし、脳や心臓、胃・腸などの消化管、肝臓などはブドウ糖が集まりやすいため、がんの診断が難しい場合があります。

精密検査で食道がんと診断されたら?

精密検査で食道がんと診断された場合、ステージによってその後の治療方法が変わってきます。

0期

0期(粘膜内にがんが留まっている)であれば、主に内視鏡的切除が行われます。がんの大きさや深さ、患者さんの体力などによっては手術や化学療法、放射線治療が選択されることもあります。

すでに上部消化管内視鏡検査の段階で内視鏡的切除を行っている場合、生検の結果によっては追加で治療が必要となるケースもあります。

Ⅰ期

Ⅰ期(転移がなく、がんが粘膜下層に留まっている)の場合、手術または化学療法が推奨されます。

Ⅱ・Ⅲ期

Ⅱ・Ⅲ期(がんが固有筋層~食道の近くの臓器にまで及んでいる可能性がある・リンパ節に転移している)では、患者さんの体力的に問題がなければ手術が選択されます。手術前に化学療法を行う方法が標準的な治療です。手術後にがんが完全に消えたとは言えない場合には、免疫チェックポイント阻害薬(免疫細胞によるがん細胞への攻撃を助ける薬)を使う方法が勧められています。

手術を受ける体力がない場合でも、化学療法と放射線療法を併用した「化学放射線療法」を選択できる場合があります。

Ⅳ期

Ⅳ期は、ⅣA期(がんが食道の近くの臓器に明らかに広がっている・リンパ節への転移がある)とⅣB期(食道から離れたリンパ節や臓器に転移がある)で標準的な治療が異なります。

ⅣA期では化学放射線療法が標準的な治療として推奨され、ⅣB期では化学療法が選択されます。

しかし、Ⅳ期ではがんによる痛みや食道が狭くなって食事が難しいなどの症状が出てくることも。症状緩和のための治療が重要になります。

まとめ、がん早期発見のためにできること

それではこの記事をまとめましょう。

  • 食道がんは初期にはほとんど症状がなく、早期に転移しやすい
  • 食道がんになりやすい人はお酒をよく飲む人や喫煙者
  • 腫瘍マーカーは早期の食道がんではほとんど変動しない
  • 食道がんを見つける検査は上部消化管内視鏡検査 (胃カメラ)と上部消化管造影検査(バリウム)
  • 食道がんとわかったら、超音波内視鏡検査(EUS)、生検、CT・MRI検査、PET検査などの精密検査が必要
  • 食道がんのステージやからだの状態によって治療法はさまざま

食道がんは初期症状がほとんどないため、気づくのが遅れやすいがんと言えます。さらに、初回の診断時にすでにリンパ節や他の臓器に転移している割合は約5割と、転移しやすいがんです。

そのため、食道がんのリスクを知ること、違和感を覚えた場合には早めに医療機関を受診し、食道がんの早期発見を意識することが大切です。食道がんは、上部消化管内視鏡検査 (胃カメラ)や上部消化管造影検査(バリウム)など、胃がん検診と同じ検査で発見できます。定期的に胃がん検診を含めた健康診断を受けることは、食道がんの発見にも役立ちます。

また、がんのリスク検査キット「マイシグナル」は、唾液や尿だけで食道がんの遺伝的リスクや現在のリスクのチェックが可能です。自宅で簡単に検査ができるので、食道がんのリスクが心配な方は一度試してみてはいかがでしょうか。

参考
  • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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