がん検査

腫瘍マーカー検査とは、がんの早期発見には不向き?基準値も解説

  • 公開日: 11/22/2023
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  • 最終更新日: 11/28/2023
    腫瘍マーカー検査とは、がんの早期発見には不向き?基準値も解説
    質問者

    質問者

    私の親類はがんになった人が多くて、私自身もがんが心配です。先日、人間ドックを受けたら、腫瘍マーカーというがん検査を見つけたのですが、がんにかかっていないか調べる検査なのですか?

    先生

    先生

    腫瘍マーカーは、がん検査の1つですが、実は、がんがあるかを発見するには向いていないと言われているのです。腫瘍マーカーがどんなものか説明しましょう。

    腫瘍マーカーには多くの種類があります。腫瘍マーカーとはどういうもので、どのように活用されているのか紹介していきます。

    この記事でわかること

    • 腫瘍マーカーは早期発見には不向き
    • 保険適用になる腫瘍マーカーの条件
    • 主な腫瘍マーカーと対象のがん
    • 主な腫瘍マーカーの基準値
    • 腫瘍マーカー検査で再検査、精密検査の結果が出たらすべきこと

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    腫瘍マーカーとは?がんの早期発見はできない?

    「腫瘍マーカー」は、がんの存在や進行を示す可能性がある特定の分子や物質のことを指します。がんが発生すると、健康なときにはあまり検出されないような特徴的な物質が産生されることがあり、これらが血液、尿、組織サンプルなどから検出できることがあります。

    腫瘍マーカーはがん細胞そのものが産生することもあれば、がん細胞に反応した周囲の細胞によって作られることもありますが、がん細胞の数が増えるほど多量に産生されるので、その値をチェックするのが腫瘍マーカー検査です。

    しかし、がんがなくても数値が高くなったり、がんがあっても、特にがんが小さいうちには数値が高くならないことが多いため、がんの早期発見への有用性は示されていません。ですので、腫瘍マーカーはすでにがんになってしまった人に対してのがんの治療効果の判定や再発・転移の発見には積極的に用いられていますが、人間ドックなどで現在健康な方が測定するのには推奨されていません。

    実際、代表的な腫瘍マーカーである、CEA、CA125、SCC、CYFRA、CEA、SLXなども、がんの早期発見を目的として国が推奨するがん検診(対策型がん検診)には採用されていないのです。

    腫瘍マーカーの精度とは?意味ないは本当?メリット・デメリットを解説

    腫瘍マーカーはがんのステージが進行するほどに値が高くなる傾向がありますが、早期ステージにおいては値が高くなりにくい傾向があります。すなわち、早期のがんを検出する精度はあまり高くありません。

    また、肝障害、腎障害、生活習慣(飲酒や喫煙など)、薬、がん以外の病気や原因でもしばしば値が高くなりますので、そうしたことも精度が高くない原因となっています。したがって、単独でがんの診断に使用されることは少なく、通常は他の臨床データと組み合わせてがんと判断されます。

    腫瘍マーカーは、血液や尿で検査できるので、体に大きな負担をかけずに、がんの進行や再発を確認できるメリットがありますが、早期発見のために単独で利用するメリットはあまり大きくはないといえるでしょう。

    腫瘍マーカーの費用:保険適用の条件とは

    腫瘍マーカーは、保険で受けられるものと、健診や人間ドックのオプション検査のように自費で受けるものがあります。保険が適用されるのは、診察や画像検査などでがんが確定している場合に限られ、それ以外は保険の適用になりません。

    検査費用はそれぞれ異なります。保険の場合は、腫瘍マーカーそれぞれに国の価格が決められています。検査費用などが別途かかりますが、腫瘍マーカー自体の費用は3割負担で数百円から千数百円(全額で千円〜4千円台の3割)が目安です。(*1)

    自費の場合は、検査機関によって価格が変わりますが、1項目3000円程度の設定が多いようです。また、自宅で測定できる腫瘍マーカーがありますが、これも保険適用にはなりません。

    腫瘍マーカーの種類:基準値一覧を解説

    代表的な腫瘍マーカーと対応するがん、それぞれのマーカーの基準値を紹介していきます。数値が基準値よりも高くても異常があるとは限らないので、注意が必要です。

    がんの種類 主な腫瘍マーカー
    甲状腺がん CEA
    非小細胞肺がん CYFRA21-1、CEA、SLX、CA125、SCC
    小細胞肺がん NSE、ProGRP
    食道がん SCC、CEA
    胃がん CEA、CA19-9
    大腸がん CEA、CA19-9、p53抗体
    肝臓がん(肝細胞がん) AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3
    胆道がん CA19-9、CEA
    膵臓がん CA19-9、Span-1、DUPAN-2、CEA、CA50
    膀胱がん NMP22、BTA
    前立腺がん PSA
    乳がん CEA、CA15-3
    子宮頸がん SCC、CA125、CEA
    卵巣がん CA125

    CEA:乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん等

    CEAは乳がん、消化器がん、肺がんなど多くのがんで使われる腫瘍マーカーで、基準値は5.0ng/mLです。(*2)大腸がんに対する陽性率は30〜40%、肺がんに対する陽性率は50%で、進行した乳がんの50〜60%で数値が上昇します。(*3)

    ここでの陽性率とは、がん患者さんのうち何%で検査が陽性と判定するのかという値です。すなわち、大腸がんであっても陽性になるのは10人中3-4人、肺がんや乳がんであれば10人中5人程度しか腫瘍マーカーが陽性とならず、残りのがん患者では陰性となってしまうことを意味しています。

    これらのがん以外でも、加齢、喫煙、肝炎、膵炎、肺炎などの炎症性疾患で数値が上がることが明らかになっています。

    CA19-9:すい臓がん、胆のうがん、胆管がん等

    CA19-9は、消化器がん、特に膵臓、胆のう・胆管がんに使われる腫瘍マーカーで、基準値は37.0U/mLです。(*2)膵臓がんに対する感度は70〜90%、胆道がんに対する感度は50〜80%です。膵臓がんの腫瘍マーカーとして推奨されているのはCA19-9だけになります。(*4)

    これらのがん以外でも、胆石症、急性・慢性膵炎、糖尿病などで数値が上がります。

    • *4分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版p.113 、p.118

    AFP:肝細胞がん

    AFPは主に肝細胞がん(肝臓がんの大部分を占めるがん)に使われる腫瘍マーカーで、基準値は10.0ng/mLです。(*2)肝細胞がんに対する陽性率は49〜71%です。

    ただし、がん以外に妊娠や慢性肝炎でも数値が上がります。(*5)

    • *5分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版 p.107

    CA125:卵巣がん、子宮頸がん

    CA125は卵巣がんや子宮頸がんで使われる腫瘍マーカーで、基準値は35.0U/mLです。(*2)卵巣がんに対する陽性率は約80%、子宮頸がんに対する陽性率は30%以下です。(*6)

    すなわち、子宮頸がんでは10人中3人しか陽性にならず、残りの7人では陰性と判定されてしまいます。これらのがん以外に、子宮内膜症、良性卵巣腫瘍、妊娠、月経などで数値の上昇が見られます。

    • *6分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版 p.161、p.167、p.168

    SCC:食道がん、非小細胞肺がん、子宮頸がん等

    SCCは食道がん、肺がん、子宮頸がんなどで使われる腫瘍マーカーで、基準値は2.5ng/mLです。(*2)3〜4期の食道がんに対する陽性率は30%以上、非小細胞肺がんに対する陽性率は60%です。子宮頸がん、なかでも扁平上皮がん*では28〜88%と数値が上がります。

    • *皮膚や内臓の表面にある表皮細胞(平らな形状のため扁平上皮細胞と呼ばれる)が、がん化したもの

    これらのがん以外に、皮膚・気管支・肺・肝臓・腎臓疾患、胸腺腫瘍、長年の喫煙で数値が高くなることがあります。(*7)

    • *7分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版 p.69、p.71、p.124、p.161

    CYFRA (シフラ) :肺がん

    CYFRAは肺がんに使われる腫瘍マーカーで、基準値は3.5ng/mLです。(*2)肺がん全体に対する陽性率は50〜60%、なかでも扁平上皮がんでは高く、60〜80%とされます。(*8)

    肺以外に、乳がんや卵巣がんでも数値が上がります。

    • *8分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版 p.124

    PSA:前立腺がん

    PSAは前立腺がんで使われる腫瘍マーカーで、基準値は4.0ng/mLです(*2)。PSAは前立腺で作られるタンパク質で、がんや炎症によって前立腺組織が壊れると血液中に出ていきます。前立腺がんを早期発見する最も有用な指標として位置付けられ、対策型検診にも入っています。前立腺がんに対する陽性率は80〜82%です。(*9)

    前立腺がん以外にも、前立腺肥大症や前立腺炎でも数値が上がります。

    • *9分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版 p.154、p.155

    NSE:小細胞肺がん

    NSEは小細胞肺がんに使われる腫瘍マーカーで、基準値は16.3ng/mLです(*2)。小細胞肺がんに対する陽性率は60〜80%とされています。小細胞肺がん以外にも、褐色細胞腫(アドレナリンなどのホルモンを作っている副腎から発生するがん)、インスリノーマ(インスリンを作っている膵臓の細胞から発生するがん)、脳腫瘍でも高値を示し、がん以外では脳血管障害、脳炎でも数値が上がることがあります。(*10)

    • *10分子腫瘍マーカー診療ガイドライン第2版 p.129

    主な腫瘍マーカーと基準値
    腫瘍マーカー基準値
    CEA5.0ng/mL以下
    CA19-937.0U/mL以下
    AFP10.0ng/mL以下
    CA12535.0U/mL以下
    SCC2.5ng/mL以下
    CYFRA3.5ng/mL以下
    PSA4.0ng/mL以下
    NSE16.3ng/mL以下

    出典:

    その他の腫瘍マーカー

    上記以外にも下記のような腫瘍マーカーとがんの組み合わせがあります。

    Dupan-2 膵臓がん
    Span-1 膵臓がん、胆のう・胆道がん
    P53抗体 乳がん、大腸がん、食道がん
    SLX 肺がん、胆のう・胆道がん、膵臓がん、卵巣がん
    NCC-ST-439 乳がん、胃がん、大腸がん、胆のう・胆道がん、膵臓がん
    NMP22 膀胱がん
    Pivka-II 肝臓がん
    Progrp 肺がん
    質問者

    質問者

    先日人間ドックで受けた腫瘍マーカー検査で再検査となりました。こういう時は、どうすれば良いでしょうか?

    先生

    先生

    腫瘍マーカーはがんの早期発見には向いていないのですが、陽性になった機会に検査を受けて、がんが見つかるケースもあります。また、がん以外の病気や原因で値が上がることもあるので、がん検診を受診するか、専門の医療機関で検査を受けることをお勧めします。

    ここからは、がん検診やがんを専門とする医療機関でどんな検査を受けるかを説明しましょう。

    腫瘍マーカー検査で再検査・精密検査となった場合

    腫瘍マーカーの値が高くても、それだけでがんと診断される訳ではありません。人間ドックなどの腫瘍マーカー検査で、再検査や精密検査を勧められたら、まずは身近な医療機関に相談しましょう。医師は総合的に検査の必要性を判断し、腫瘍マーカーだけでなく、画像検査など多くの結果を踏まえ、がんであるかどうか診断します。

    実際には、下記のような検査を受けることになります。

    大腸がん検査 便潜血検査(以上、対策型検診)、精密検査として全大腸内視鏡検査やX線検査
    肺がん検査 胸部X線、喀痰細胞診(以上、対策型検診)、精密検査として胸部CT、気管支鏡検査
    胃がん検査 胃部X線胃内視鏡検査(以上、対策型検診)、精密検査としての内視鏡検査
    膵臓がん検査 CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)
    食道がん検査 上部消化管内視鏡、上部消化管造影検査
    卵巣がん検査 腹部の触診や内診*、超音波、CT、MRI検査
    乳がん検査 視診(肉眼での確認)、触診(乳房を触って確認)、マンモグラフィ超音波検査

    *内診

    • 子宮や卵巣の状態を、腹部の触診や、腟から確認する診察

    現在は自宅でスクリーニング検査(そのがんにかかっているリスクを予測する検査)を受けられます。マイクロRNAを活用した検査キット「マイシグナル・スキャン」は、尿を採るだけで検査でき、対策型がん検診でカバーされていない、膵臓がん卵巣がんのリスクも調べることもできます。

    まとめ、がん早期発見のためにできること

    多くの健診や人間ドックで腫瘍マーカーがオプション設定されています。しかし、腫瘍マーカーは、がんの早期発見という観点からは有効とは言えず、マーカーの数値が悪くても気にしすぎる必要はありません。

    がんの早期発見の基本は定期的ながん検診受診です。ただ、忙しくてがん検診を受けられない方も多いと思います。自宅でできるがんリスク検査「マイシグナルシリーズ」は、がんのリスクを、遺伝子レベル、もしくはマイクロRNAにより、誰でも簡単に調べることができます。一度試してみてはいかがでしょうか。

    参考
    • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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