がんの基礎情報
政府、がん検診率目標を60%に引き上げ、がん検診受診の意義とは
- 公開日: 4/14/2023
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- 最終更新日: 8/2/2024
日本では高齢化が進んでおり、がん患者数も年々増加しています。
今では日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなると言われています (*1)。
がんの死亡率を下げるために重要なのはがん検診の受診率を上げることです。
しかし、厚生労働省によると、がん検診の受診率は30~40%台であり、いずれのがんも、第2期がん対策推進基本計画における受診率の目標値(50%。胃、肺、大腸については当面40%)を達成できていません (*2)。
さらに、日本対がん協会とがん関連3学会の全国調査によると、2020年のがん診断件数は大きく減少しており、特に早期発見された症例数が減少しているという結果が出ています (*3)。
新型コロナウイルスの流行により、医療機関への外出を控える人が増えたり、各種検診が一時中断されたことが影響していると考えられます。
こうした状況を踏まえ、日本政府は2023年3月に、がん検診の受診率目標を50%から60%に引き上げることを盛り込んだ新しい基本計画を閣議決定しました。加藤厚生労働大臣は、新たながん対策推進基本計画を、すべての国民ががんを克服することを目指す目標に向けた取り組みだと語りました。
本記事では、国のこうした動きを受け、がん検診を受けることの意義を改めて解説していきます。この記事を通じて、少しでも多くの人にがん検診の重要性を理解してもらえると幸いです。
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がん検診の受診率がなかなか上がらないのはなぜ?
前述の通り、がん検診の受診率は、依然として低い水準にあります。
国が実施した世論調査で、検査を受けない理由としては以下のような要因が挙げられました (*4)。
【がん検診を受けない理由】
- がん検診を受ける時間がない・受ける場所が不便
- がん検診を知らない・忘れてしまう
- 必要性を感じない・心配なときに受診すればよい
- 経済的な負担がある
- がんであるとわかるのが怖い
- 検査に伴う苦痛・不快感
それでは、そもそもなぜがん検診を受ける必要があるのでしょうか?
なぜ「がん検診」が必要?その理由は早期発見がとても大切だから
先生
多くのがんは初期段階では症状が現れず、進行してから初めて症状が出ます。自覚症状がなくても定期的に検査を受けて早期発見することが重要です。
がんを早期発見できれば、生存率が高くなります。例えば、大腸がんの場合、早期発見であれば、5年生存率が90%以上とされています。一方、進行がん(ステージIV)になると、5年生存率は20%弱にまで低下します(*5)。
また、早期発見することで治療の選択肢を増やすことができます。
検査を受けずに重い自覚症状をきっかけに「進行がん」が見つかった場合、外科手術に加えて薬物療法や放射線治療が必要になるケースもあります。その場合、身体への負担が大きく、治療期間も長くなります。
一方、早期発見ができれば、体に負担が少なく、入院期間が短い内視鏡治療などの治療法でQOL(生活の質)を損なわずに治療できる可能性が上がります。
質問者
私は健康に気を遣って運動もしているので、大丈夫かと思いますが。。。。
先生
がんは誰でもかかる病気です。体力や健康に自信があったら受けなくて良いというものではありません。
他にも、先ほどご紹介した「がん検診を受診できない理由」の一部は誤解から来ています。よくある誤解と解説をまとめると次のようになります。
よくある誤解 | 解説 |
必要性を感じない・心配なときに受診すればよい | 多くのがんは初期段階では症状が現れず、進行してから初めて症状が出るため、自覚症状がない時でも検査を受けて早期発見することが重要です。 |
経済的な負担がある | 各都道府県、市区町村によって、無料で受診できる制度や一定の補助があります。 |
がんであるとわかるのが怖い | がんは早期発見ができるほど生存率が上がります。検査を受けずに重い自覚症状をきっかけに「進行がん」が見つかった場合、治療期間が長く、身体への負担が大きくなります。 |
「がん検診」は1度でなく、適切な頻度で受診することが重要
先生
がん検診は1回受けて終わりではありません。適切な頻度で定期的に受診することが重要です。
例えば、大腸がん検診は40歳以上の方は毎年、問診と便潜血検査を、肺がん検診は40歳以上の方は毎年肺がん検診(問診と胸部X線検査)を受けることが推奨されています。(*6, 7)
種類 | 対象者 | 受診間隔 | 検査項目 |
胃がん検診 | 50歳以上※注1 | 2年に1回※注2 | 問診に加え、胃部X線検査または胃内視鏡検査のいずれか |
子宮頸がん検診 | 20歳以上 | 2年に1回 | 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診 |
肺がん検診 | 40歳以上 | 年1回 | 質問(医師が自ら対面により行う場合は問診)、胸部X線検査および喀痰細胞診(ただし喀痰細胞診は、原則50歳以上で喫煙指数が600以上の人のみ。過去の喫煙者も含む) |
乳がん検診 | 40歳以上 | 2年に1回 | 問診および乳房X線検査(マンモグラフィ) |
大腸がん検診 | 40歳以上 | 年1回 | 問診および便潜血検査 |
※注1: 当分の間、胃部X線検査に関しては40歳以上に実施も可。注2: 当分の間、胃部X線検査に関しては年1回の実施も可
質問者
なぜ定期的に受ける必要があるのですか?
先生
検査で見つけられるがんの大きさは1cmからと言われ、そこから約1〜2年で2cmまで成長します。がんを早期のうちに見つけるには、この1〜2年の間で見つけることがとても重要になります。
質問者
1cmになるまでは約15〜30年かかるのに、そこからは一気に大きくなるんですね。
「がんの早期発見が当たり前の社会」を実現するためにマイシグナル®を開発
先生
最後にマイシグナル®の紹介も簡単にさせてください。
マイシグナル®は自宅で手軽にできる尿のがんリスク検査です。
尿を採取して提出し、その中の成分を調べてがんのスクリーニングを行います。
「がんの早期発見が当たり前の社会」を実現するために、長年の研究開発を経て生まれました。
先生
マイシグナル®は本記事でご紹介した、「時間がない・場所が不便」「検査に伴う苦痛・不快感」という理由で検査を受けていない人に使っていただきたいリスク検査です。
がん検診を受けない理由 | マイシグナル®ができること |
がん検診を受ける時間がない・受ける場所が不便 | 一般的ながん検査は、一日がかりで行うような拘束時間が長いものや、検査予約が取りづらく、忙しい方が受けるのは困難でした。 マイシグナル®は、自宅で尿を採取するだけでリスク検査ができるので、時間・場所の制約はありません。 |
検査に伴う苦痛・不快感 | 放射線の被曝を受けるCT検査や発泡剤の投与で苦痛を伴うバリウム検査等、体に負担が多い検査が多く、敬遠されがちでした。 マイシグナル®は尿を採取するだけでリスク検査ができ、苦痛や不快感はありません。事前の食事制限もありません。 |
尿を採取するだけなので、体への負担がなく、手軽なので忙しい方であっても安心して継続可能です。こまめに受けることで、いち早くがんリスクを発見することができます。
質問者
マイシグナル®はどういう仕組みでがんのリスク検査を行うのでしょうか?
先生
マイシグナル®ではマイクロRNAの種類と量のパターンを調べ、AI(人工知能)を用いて分析することで特定のがんのリスクを評価します。
マイクロRNAとは細胞間のコミュニケーションを担う伝達物質の1つで、がん細胞が存在することで尿中マイクロRNAが増減することが分かっています。マイクロRNAは初期のがんであっても変化が現れる点が大きな特徴と言えます。
マイクロRNAとマイシグナル®の仕組みについてはこちらの「マイクロRNAとは?がん検査との関係とマイシグナル®の仕組み」にて解説しておりますので、こちらもご覧ください。
質問者
マイシグナル®を受けていれば、がん検診は受けなくて良いのでしょうか?
先生
いえ、そういうわけではありません。マイシグナル®はあくまで、ふるい分けを行うスクリーニング検査です。医療行為としての診断はできずあくまで診断の補助として用いられます。そのため、がん検診と併用することを推奨しています。
本記事でご紹介した通り、がんは早期での発見が重要です。
マイシグナル®を利用する最大の目的は“がんの早期発見”の可能性をあげることです。初期の段階の小さながんを発見することで生存率が上がるだけでなく、治療の選択肢も広がり、治療にかかる費用や身体的な負担を減らすことにつながります。
がん検診を積極的に受診し、がんを克服できる社会へ
繰り返しになりますが、がんでの死亡率を減らすためには早期発見がとても重要です。
そのためには、定期的にがん検診を受けることは非常に重要です。
この記事を通じて、少しでも多くの人にがん検診の重要性を理解してもらい、がんを克服できる世の中に向かっていければと思います。
- ※本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。
この記事の監修者
水沼 未雅
博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。アストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。
質問者
確かに、特に何か気になる症状があるわけではないので、わざわざがん検診を受ける必要はないのでは?と思っています。