活用事例

経営リスク低減のために尿がん検査を導入。【株式会社太田胃散】

  • 公開日: 9/16/2025
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  • 最終更新日: 9/12/2025
    経営リスク低減のために尿がん検査を導入。【株式会社太田胃散】

    株式会社太田胃散
    所在地:東京都文京区
    業種: 製薬業
    従業員数:約150名
    導入検査:マイシグナル・スキャン

    株式会社太田胃散は、1879年の創業以来、企業理念「奉仕の精神を以て良品を世におくる」のもと、胃腸薬を中心としたOTC医薬品や健康食品を研究・開発しています。同社では2025年、健康経営の一環で手軽に受検できる尿がんリスク検査「マイシグナル・スキャン」を導入。希望者に対して全額会社補助で検査可能な体制を整え、社員126名が受検しました。

    今回は、株式会社太田胃散 代表取締役社長の太田淳之氏に、導入の経緯や狙い、今後の展望について伺いました。

    社員の健康リスクは経営リスクに直結する

    ──マイシグナルを知ったきっかけについて教えてください。

    太田氏:きっかけは、かかりつけ医から勧められてマイシグナルを受検した母(現会長)から「尿検査でがんリスクを検出できるキットがある」と聞いたことです。私自身、毎年人間ドックを受けています。ただ、年1回のタイミングでエコー検査などを受けながらも、「十分にがんリスクを把握できていないのでは?」ともやもやしていました。

    検査を受けた決め手としては、採血などの侵襲がないことと、尿を送付するだけでがんリスクを知れる手軽さがあります。従来の健康診断にあった「面倒」「準備が大変」といったハードルが想像以上に下がりました。

    ──会社全体でマイシグナルを導入しようと思った理由は何でしょうか。

    太田氏:中小企業にとって、社員の健康リスクは経営リスクに直結します。本来は属人化した仕事を減らし、誰が抜けても現場が回るべきなのですが、限られた社員数では難しい状況があります。過去にも役員が病に倒れ、現場が大きく混乱したことがありました。

    当社は健康経営優良法人に認定されていますが、健康診断だけではがんの発症リスクまで網羅しきれません。まずは会社が制度を整えて、個人がリスクを知るためのきっかけを用意することが大切だと受け止め、自身が受検してから数ヵ月以内に導入を決めました。

    「がん予防の費用対効果は高い」 全額補助を決断

    ──福利厚生制度として、社員負担なしの全額補助を決断されたのはなぜですか。

    太田氏:20〜30代の若年層にとっては費用負担が重いうえに、健康なときに自費でがんリスク検査を受けようとする人は少ないはずです。だからこそ会社が費用負担することで背中を押したいと考えました。社内の幹部会議でも、「がんは早期に見つかれば回復できる病気になりつつある」と伝え、説得しました。

    仮に全社員が受けたとして、コストは年間1,000万円規模との試算でした。ただ、1人当たり月額では約5,000円程度のため、「人材育成コストと比べても費用対効果が高いのではないか」と説得し、合意形成を進めました。さらに、導入の打ち合わせから実施まで約2ヵ月のスピード感で進行。幹部経由で部門ごとに説明を行い、現場主導で自然に受検が広がっていった点も、社内文化に適したやり方だったと感じています。最終的に、126名と社員の8割以上が受検しました。

    ──創業146年のオーナー企業として、健康経営において大切にしていることがあれば教えてください。

    太田氏:「社長は父親、会長は母親、役員は兄」と社員には伝えています。この距離感が、現場の情報を把握することにもつながっています。結婚した社員、親の介護リスクが高まっている社員など、人生のフェーズはそれぞれですが、社員の様子が日々共有されており、必要に応じてフォローする体制を整えています。社員全員に当てはまるのは、健康は決して当たり前ではなく、明日どうなるか分からないということ。自身の健康状態を知ってもらうために会社が後押しする意義は、大きいと感じます。

    また、日本にはセルフメディケーションの言葉が普及する以前から「養生」の考えがあり、病気になる前に体調を整えることが重視されてきました。同様に、がん治療においてもリスク検知や早期発見の価値こそが高いと思っています。薬も治療も、必要最低限が一番です。

    継続検査とフォロー体制の拡充を進める

    ──実際に検査を受けた従業員の方からはどのような反応がありましたか。

    太田氏:社内からは「悪い結果が出た場合、メンタルの落ち込みが心配」と不安視する声もありましたが、「知ることが第一歩」「治療の選択肢を持てることそのものが価値」と丁寧に説明しました。新たな検査結果報告書(2025年8月リニューアル)は、専門家視点のメッセージが行動変容を後押しできそうな点も魅力的です。特に生活習慣改善のヒントは、家族からの指摘より腹落ちしやすい面があります。

    自宅で採尿し送付するだけなので、通院の手間が省ける点も良いですね。検査結果を会社に共有することは必須ではなく、個人の裁量に委ねています。一方、高リスクを報告した社員がいる場合は、上長が適切に情報共有し、部署でフォローする体制を整えていく予定です。受けっぱなしにならず、必要なアクションにつなげることを重視していきます。

    ──最後に、マイシグナルの活用について、今後の展望を教えてください。

    太田氏:今回の導入を単発で終わらせず、定期的に継続できる仕組みにしていきたいと考えています。将来的には社員の家族までケアする制度設計が理想ですが、費用や運用体制の課題もありますので、まずは社員の健康を守ることに注力していきます。20〜30代の若年層の受検も多いため、検査を機に健康について考えてもらえたらと思います。

    ──貴重なお話をありがとうございました。

     Interviewee  
  • 代表取締役社長 太田 淳之様
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    • ※マイシグナルシリーズは医療機器ではありません。解析した情報を統計的に計算することによりリスクを判定するものであり、医療行為としてがんに罹患しているかどうかの「診断」に代わるものではなく、リスクが低いと判定された場合でもがんが無いまたは将来がんにかからないとは限りません。    
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