がん検査

胃がん検査は何歳から?胃がんの症状・検査方法・頻度・費用を解説

  • 公開日: 6/20/2023
  • |
  • 最終更新日: 9/13/2024
  • #胃がん
胃がん検査は何歳から?胃がんの症状・検査方法・頻度・費用を解説
質問者

質問者

私は父親を胃がんで亡くしました。生前、父はお酒が大好きだったのでそれが原因で胃がんにかかったのではないかと母から聞いています。私もお酒飲みなので胃がんにかかる可能性は高いんでしょうか。

先生

先生

胃がんはお酒や遺伝、その他たばこや塩分の摂りすぎなどとの関係性が指摘されています。このような要因を胃がんの危険因子と呼び、危険因子を多く持つ人は持たない人に比べると胃がんにかかるリスクが高いと言えます。

質問者

質問者

やはり気を付けないといけないですね。胃がんを防ぐにはどうしたらよいでしょうか。

先生

先生

禁煙、減塩、お酒を控えるなど危険因子を減らすことが大切です。ただ、それだけで胃がんを完全に防げるわけではありません。胃がんにかかったとしても、重症化や死亡に至らせないためには「早期発見すること」が重要です。

実は1980年代くらいまで、胃がんの死亡者数は、全がんの中でも圧倒的な一位でした。(※1,2)それが近年、胃がんによる死亡者数は減少傾向にあります。少し詳しく見てみましょう。

胃がんの罹患数(新たに診断される人数)は、1980年以降男女とも増加傾向にあり、2019年は男性85,325人、女性38,994人でした。部位別罹患数でみると、男性では前立腺がんについで2位、女性では、乳がん、大腸がん、肺がんについで4位でした。(※3)

一方で、胃がんによる死亡者数は、2005年には男性32,643人、女性17,668人であったのに対し、2020年には、それぞれ、27,771人、14,548人に減っています。(※3)この減少傾向は近年の医療技術の進歩によって治癒率が格段に上がったことが大きいと思います。(※1)

しかし、下に示した2020年の胃がんによる死亡数は部位別がん死亡数でみると、男性は第2位、女性でも6位と、決して少なくありません。

質問者

質問者

医療技術の進歩で治癒率が上がり死亡数は減っているようですが、上記の部位別死亡数を見るとまだまだ多いということですか……。

先生

先生

そうですね。これが意味しているのは「早期発見ができていない人が多い」ということです。

質問者

質問者

早期発見すれば治る場合も少なくないにも関わらず、早期発見できず命を落としている方も多いと。私も他人事には思えません……実は、仕事で忙しくて胃がん検診をずっとスキップしています。

先生

先生

胃がん検診で行われる、「胃部X線検査(胃のレントゲン検査)」または「胃内視鏡検査(先端に小型カメラのついた細いチューブで胃の中を観察する検査、胃カメラとも呼ばれる)」は、胃がんの死亡率を減少させることが科学的にも認められている検査です。(※3)積極的に受けて、胃がんの早期発見に努めてもらえたらと思います。

ここでは、胃がんの症状、種類や特徴、胃がん検診の検査内容やスクリーニング検査(がんの有無をふるい分けする検査)の目的と内容、精密検査の種類と内容、胃がんの治療法などについて詳しく解説します。

この記事で分かること

  • 胃がんは男性に多く、男性の部位別がん死亡数第2位である
  • 胃がんは初期症状がほとんどないため、進行してから見つかるケースも多い
  • 胃がんには分化型と未分化型胃がんが存在し、未分化型のスキルス胃がんは進行が速く悪性度が高い
  • 胃がんの危険因子には、喫煙・飲酒・ピロリ菌の感染・慢性胃炎・塩分の過剰摂取・遺伝などがある
  • 40歳以降は胃部X線検査あるいは胃内視鏡検査を定期的に受けた方が良い
  • 胃がんリスク検査(ABC検診)を受け、胃の状態に応じた胃がん検診間隔を設定し、その間にマイシグナルなどのスクリーニング検査を実施すると良い
  • 胃がんの精密検査では生検、CT検査、PET検査を実施してがんの種類・広がり具合・転移の有無を調べる。その結果により胃がんのステージが決まる
  • 胃がんの治療法はがんの切除手術が中心となるが、ステージによって大きく異なる

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自覚症状・前兆はある?胃がんの原因や生存率

胃がんとは胃の内側の粘膜にある細胞が何らかの原因によってがん細胞になり、異常に増殖してしまう状態です。

胃がんは前述の通り、たばこや多量の飲酒、塩分の過剰摂取、遺伝などが危険因子として挙げられます。また、ヘリコバクター・ピロリ菌(胃の中で炎症を起こす細菌)の感染も胃がんのリスクを高めることが分かっています。

質問者

質問者

こうやってみると胃に何らかの刺激がかかると胃がんを発症してしまうことがあるようですね。

先生

先生

その通りです。胃粘膜の細胞への刺激を減らす、つまり塩分やお酒を控えること、ピロリ菌を除去することで胃がんの発症リスクを減らせると考えられています。

質問者

質問者

なるほど。胃がんって何か初期症状はあるんでしょうか。

先生

先生

残念ながら初期症状はほとんどなく、かなり進行しても自覚症状が出ないことがあります。

胃がんの代表的な症状として、

  • 胃の痛み、違和感、不快感
  • 胸やけ
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 貧血(がんからの出血により生じる)
  • 血便(がんからの出血により生じる)
  • 食事がつかえる(進行胃がんの可能性がある)
  • 体重が減る(進行胃がんの可能性がある)

などが挙げられます。ただ、これらは胃がん特有の症状ではなく胃炎や胃潰瘍(いかいよう)、他のがんでも見られる症状です。

そのため他の病気を疑って検査したところ、胃がんが見つかったというケースもあります。

質問者

質問者

進行胃がんでは食事がつかえたり、体重が減ったりすることがあるようですが、このような症状が見られたら末期の胃がんの可能性があるってことですか?

先生

先生

「進行胃がん=末期の胃がん」ではありません。胃がんはその広がり具合によって大きく「早期胃がん」と「進行胃がん」の二つに分けられます。

質問者

質問者

Tはステージ(病期)を表しているのでしょうか?

先生

先生

Tはがんの深達度、つまり「がんがどのくらい奥深く達しているのか」を示しています。Tにつく数が大きくなるにつれて、がんが進行していることになります。ただ、ステージを決めるためには胃壁の内部での深達度だけではなく、転移しているリンパ節の数や、遠隔転移の有無などを含めて決定します。

胃がんの病期(ステージ)はⅠA、ⅠB、ⅡA、ⅡB、ⅢA、ⅢB、ⅢC、Ⅳまでの全8段階に分けられます。

また、胃がん全体の5年相対生存率(一般集団と比べて胃がん患者の5年後の生存率がどの程度なのかを表したもの)は、66.6 %(男性67.5 %、女性64.6 %)と言われています。(※3)

ステージⅠであれば、5年相対生存率は98.7%です。ステージⅡでは66.5%、ステージⅢでは46.9%、胃がんが遠隔転移しているステージⅣ、いわゆる末期がんでは、5年相対生存率が6.2%と大幅に低下します。(※5)

胃がんの種類と症状・特徴

ステージとは別に、胃がんには種類があります。

胃がんは胃の最も内側の粘膜から発生した悪性腫瘍を指します。粘膜から発生した後、少しずつ外側に増殖し、やがて血管やリンパ管へ入り込み、さらに進行すると周囲の臓器に広がって、転移を起こします。

胃がんの種類は大きく「分化型胃がん」と「未分化型胃がん」に分けられます。増殖の仕方や悪性度がそれぞれ異なります。

分化型胃がん

分化型胃がんは高齢者や男性に多い傾向があります。分化型胃がんのがん細胞は胃の粘膜の構造を残したままかたまりの状態で増殖します。悪性度は比較的低いと言われています。

未分化型胃がん

未分化型胃がんは比較的若年者や女性に多い傾向があります。未分化型胃がんではがん細胞の形や並び方に胃の粘膜構造をとらず、パラパラと増殖します。未分化型胃がんは比較的悪性度の高いがんと言われています。

スキルス胃がん

スキルス胃がんは未分化型胃がんの一種であり、増殖スピードが速く、たちの悪い胃がんです。変異遺伝子はいくつか見つかっていますが、原因はまだ特定されていません。胃がん全体の5~10%を占めており、5年生存率は10%程度です。(※6)

スキルス胃がんは胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていき、粘膜の表面にはあまり現れないので、発見が難しく、見つかった時にはかなり進行していることが多いと言われています。

スキルス胃がんも他の胃がんと同様、典型的な初期症状は特にありません。また、胃のX線検査や胃カメラで病変部を見つけることも難しいと言われています。

質問者

質問者

胃がん検診を受けていてもスキルス胃がんは見落とされてしまうということでしょうか。それじゃあ検査の意味が無いような気がしますが……。

先生

先生

無意味ではありません。スキルス胃がんは胃の壁を厚く硬くするので柔軟性が失われる特徴があります。内視鏡検査の際、胃に空気を入れて膨らませる検査をするので、胃が膨らみにくい場合にスキルス胃がんが疑われます。また、進行するにつれて胃の粘膜のひだが大きくなったり、なめらかさが失われたりする特徴があります。

質問者

質問者

スキルス胃がんの診断は難しそうですね。

先生

先生

最終的には細胞や組織を採取して顕微鏡レベルでがん細胞を確認します。これについては後程詳しく説明しますね。

検査 ・検診は何科?胃がん検査の流れ・全体像

質問者

質問者

これからはきちんと胃がん検診を受けようと思います。前に自治体から検診案内のハガキが届いていたと思うのですが、捨ててしまったような……。何科の病院に行けば受けられるのでしょうか。

先生

先生

自治体が実施する胃がん検診は事前に予約して指定された医療機関に行かなければなりません。自治体で受ける胃がん検診は地域によって負担額が異なりますが1,000円前後で受けられるところが多いでしょう。

それ以外で病院へ行く場合、内科・消化器内科・胃腸科といった病院を探します。この場合は、胃がん検査の費用は自己負担となります。

尚、国が定めている指針では、50歳以上を対象に問診と胃部X線検査あるいは内視鏡検査を受けるよう推奨しています。

自治体によっては40歳以上を対象に胃部X線検査を実施しているところもあります。

胃がん検査・検診は何歳から受検すべき?

質問者

質問者

私は40代なのですが、私の地域では自治体の胃がん検診が受けられます。でも国の指針としては50歳以上なんですよね?ということは50歳からでも十分なんですか?

先生

先生

現時点では、40代の胃がん検診実施の有無は自治体の判断に委ねられています。

何歳から受けた方がいいのかについて、以下のデータを見ながら考えてみましょう。

2019年全国がん登録罹患データを見てみると、40歳を過ぎると胃がんの罹患者数が増加していくのが分かると思います。

質問者

質問者

こうやって見るとやはり男性に多いですね。

先生

先生

そうです。特に、胃がんを患った家族がいたり、たばこやお酒、味の濃い料理が好きだったりする場合は注意した方がいいですね。このような方は、40歳から胃がん検診を受けることをおすすめします。

毎年やるべき?胃がん検査・検診の受検頻度は?

質問者

質問者

胃がん検診はどのくらいの頻度で受けたら良いのでしょうか。

先生

先生

まず胃がん検診の項目は、問診の他、胃部X線検査(バリウム)又は胃内視鏡検査(胃カメラ)のいずれかとすること、と定められています。50歳以上であれば、胃部X線検査の場合は年に1度、内視鏡検査は2年に1度の頻度が推奨されています。(※7)

質問者

質問者

X線検査と胃カメラ両方は受けられないんですか?

先生

先生

自治体による胃がん検診ではどちらか一方です。特に、胃カメラによる検査を受けた場合はX線検査より精度が高いため両方受ける必要はありません。一方で、X線検査の方が痛みや不快感が少ないと感じる方もいるのでX線検査を希望される人も多いのですが。

前兆・自覚症状はある?今すぐできる、胃がんセルフチェック

質問者

質問者

胃がんを見つけるためのセルフチェック法は何かありますか?

先生

先生

皮膚がんや乳がんは早期発見のためのセルフチェック法がありますよね。これらのがんはホクロやしこりなど分かりやすい症状が現れることがあるので定期的なセルフチェックが重要です。一方で胃がんの場合は目で見たり触れたりして確認できるような症状は残念ながらありません。

ただ、胃がん患者によく見られる症状の有無をチェックすることは大切です。

■胃がんセルフチェックシート

  • □食欲不信
  • □意図していない体重減少
  • □腹部(お腹)の痛み
  • □腹部(通常、へその上)にぼんやりとした違和感がある。
  • □少量の食事で満腹感が得られる
  • □胸焼けや消化不良がある
  • □吐き気
  • □血の混じった、あるいは混じらない王と
  • □腹部の腫れや腹水がある
  • □便に血が混じる
  • □赤血球が少ない、(貧血)のため、疲れやすい、体がだるいと感じる
  • □がんが肝臓に転移した場合、皮膚や目が黄色くなる「黄疸」の症状が見られる

これらの症状のほとんどは、ウイルス感染や胃炎など、胃がん以外が原因である可能性が高いと言われています。また、他の種類のがんが原因である場合もあります。

いずれにしても、このような症状が治らない、あるいは悪化する場合は、病院に行って原因を突き止めましょう。

胃がんのスクリーニング検査の種類と結果の見方

質問者

質問者

セルフチェックだけでは胃がんの早期発見にはつながらないですよね。胃がんのリスクを簡単に調べられるABC検診があると聞いたことがあるのですが、これも胃がん検診の一つなんでしょうか?

先生

先生

ABC検診は胃がん検診とは目的が少し異なる検査です。胃がん検診は現在胃がんに罹っているリスクを調べるのに対し、ABC検診は将来胃がんを発症する可能性を評価します。

質問者

質問者

ということはABC検診だけでは胃がんに罹っているかどうかは分からないんですね?

先生

先生

もし現在胃がんに罹っているリスクを気軽に調べたいのであれば自宅で簡単に受けられる尿検査(マイシグナル)がおすすめです。

ABC検診マイシグナル
特徴ピロリ菌の感染有無と萎縮性胃炎の有無を調べて将来的に胃がんにかかる危険性をA~Dで評価する尿中のマイクロRNAを調べ、がん種毎にがんの罹患リスクを評価する
食事制限無し無し
結果出るまでの日数数日~2週間程度4週間程度
費用(自費・保険適用)自費で3,500円~5,000円程度自費で46,200円(税込)

それぞれの検査について詳しく解説します。

胃がんリスク検査 (ABC検診)

胃がんリスク検査(ABC検診)では、「ヘリコバクター・ピロリ菌の抗体価検査」と「胃粘膜萎縮(老化)マーカーのペプシノゲン検査」を組み合わせ、胃がんの発症リスクをA~Dの4群に分類します。

ヘリコバクター・ピロリ菌の抗体価検査とは、ピロリ菌に感染しているリスクを評価する検査です。ピロリ菌に感染すると、抗体が産生され、ピロリ菌に対する抗体価が高くなります。この抗体価が高くなるほど、胃がんの発症リスクが上がることが報告されています。(※8)

また、胃粘膜萎縮(老化)マーカーのペプシノゲン検査とは、食べ物の消化に関わる酵素の基となるペプシノゲンの血中濃度を測定する検査です。ペプシノゲンの血中濃度が低い、つまり「ペプシノゲンの産生が少ない」ということは「胃粘膜の老化現象である萎縮性胃炎が進んでいる」と考えられます。

萎縮性胃炎が強いほど胃がんを発症しやすいということが分かっており、ペプシノゲン検査によって将来胃がんを発症する可能性を評価できるのです。

質問者

質問者

つまり、ピロリ菌に感染していることを示すピロリ菌抗体が多く、萎縮性胃炎が強いことを示すペプシノゲン血中濃度が低いと胃がんに罹りやすいってことですね?

先生

先生

その通りです。ABC検診の結果に基づき、胃がんの発症リスクをA~Dに分類します。

ABC判定区分ヘリコバクター・ピロリ感染の有無
ペプシノゲン法による萎縮度AB
1+ ~ 3+DC
判定区分説明
A胃がんになる危険性が比較的低い
B・ピロリ菌に感染している疑いがある
・ピロリ菌を除菌し定期的に画像検査等を実施することが望ましい
C・ピロリ菌感染と萎縮性胃炎がある
・胃がんに罹る危険性があるので、ピロリ菌を除菌し、定期的に内視鏡検査を実施することが望ましい
D・高度の胃粘膜萎縮がありピロリ菌が住めない状態
・胃がんになる危険性が相当に高いので、年1回以上、内視鏡検査を行い、注意深く経過を観察する必要がある
質問者

質問者

D判定はピロリ菌が陰性なのにも関わらず、胃がんを発症するリスクが高いという評価になるんですね。

先生

先生

胃粘膜の萎縮が進みすぎると、ピロリ菌が住めなくなってしまってピロリ菌抗体価検査は陰性になるんです。つまり、ピロリ菌に感染していないからと言って安心してはいけません。

質問者

質問者

ABC検診はどのくらいの頻度で受けると良いんでしょうか。

先生

先生

成人以降は一生に一度で良いとされています。(※9)

尚、ABC検診は保険適用外で、費用は病院によりますが3,500円~5,000円程度です。判定の結果ピロリ菌の除去がすすめられる場合は自費と保険適用のケースがあります。自費の場合は1万円程度がかかります。

ABC検診は、採血ができる医療機関であればどこでも受けられます。また、健康診断のオプションで申し込むことも可能です。

質問者

質問者

気軽に受けられるのがいいですね。

尿検査

質問者

質問者

ABC検診は将来胃がんを発症する可能性を評価してもらえる検査ですが、現在胃がんに罹っているリスクを簡単に調べられる尿検査もあるんですよね?

先生

先生

はい、マイシグナルという検査があります。自宅で尿を採取して返送するだけで胃がんのリスクだけでなく、大腸がん、肺がん、乳がん、すい臓がん、食道がん、卵巣がんの7種のがんのリスクを検査できます。

質問者

質問者

えっ?尿だけで?

先生

先生

はい。マイシグナルの仕組みについて簡単に説明しましょう。

マイシグナルは尿中の「マイクロRNA」という物質を調べます。体内にがん細胞が存在することで、がん種ごとに特定のマイクロRNAの増減が見られることが分かっています。胃がん患者のマイクロRNAのデータとあなたのマイクロRNAデータをAIで比較・解析して、胃がんに罹っているリスクを数値化するのです。早期のがんも高い精度で検出します。

手軽に自宅で受けられる検査である一方、保険は適用されません。費用は53,900円(税込)です。

コストはかかりますが、食事制限が無く内視鏡検査(胃カメラ)や胃部X線検査(バリウム)のような検査時の痛みや身体への負荷はありません。「不快」「苦しい」ことを理由に、胃がん検診を見送ってきた方にもおすすめです。

また、胃がんだけではなく最大7つのがん種(食道、胃、大腸、膵、肺、乳、卵巣)のリスクも同時に判定できますので、個別に検査を受ける必要が無いので、手軽にスクリーニングができます。

胃がんの一次検査の種類と結果の見方

質問者

質問者

ABC検診や尿検査を活用すれば、辛い胃カメラとかバリウムを飲んで受けるX線検査が回避できるので安心しました。

先生

先生

それは大きな誤解です!ABC検診や胃がんの尿検査を受ければ、内視鏡検査もX線検査も不要、ということではありません。

ABC検診の結果に基づいて、胃の状態に応じた検診間隔を設定できます。その検診間隔の間にマイシグナルを受けましょう。

これらのスクリーニング検査の結果、「胃がんのリスクが高い」と判定された場合は医師の判断の下、内視鏡検査を受けることになります。

質問者

質問者

それではマイシグナルを利用する意義はどこにあるんでしょう?

先生

先生

「胃がん検診での見落としを防ぐこと」「胃がんの早期発見につなげること」の2点です。胃がん検診を含め、いずれの検査も100%の精度でがんを見つけることはできません。がんの見落としを防ぐ意味で、マイシグナルのような尿検査を組み合わせることが重要です。

また、検診間隔の間に胃がんを発症するかもしれません。そこでマイシグナル等を活用すれば、早期発見につなげることが期待できるのです。

ここからは、胃がん検診で実施する「胃内視鏡検査 (胃カメラ)」と「胃部X線検査(バリウム)」について解説します。

胃内視鏡検査 (胃カメラ)胃部X線検査(バリウム)
特徴・胃の中を直接カメラで観察できる
・チューブを挿入する際に痛みや不快感がある
・X線を使用して胃を撮影する
・被ばくがある
・バリウムによる副作用がある
胃がんの発見率(受診者全体の中で胃がんと診断される割合)0.82%(※10)0.22%(※10)
食事制限検査日は朝から絶食検査日は飲食禁止
結果が出るまでの日数生検をしなければ当日10日から1ヶ月程度
費用感 (自費・保険適用)保険適用の場合、3,000円から5,000円(3割負担)保険適用の場合、3,000円前後(3割負担)

これら2つの検査方法について詳しく解説します。

胃内視鏡検査 (胃カメラ)

胃内視鏡検査(胃カメラ)では先端に小型カメラのついた管(チューブ)を鼻または口から胃に挿入して、胃の内部を直接観察します。

胃内視鏡検査では胃がん以外にも胃ポリープ(胃の粘膜の一部が隆起したもの)や萎縮性胃炎、胃潰瘍(胃酸の影響で胃粘膜に欠損が生じた状態)、胃静脈瘤(胃静脈の血流量が増加したことによる隆起性病変)といった所見が見つかります。特に萎縮性胃炎やポリープは胃がん発症のリスクが高まると言われているので注意が必要です。

早期の小さながんを見落とさないようにするために、胃の中のコントラストをつける目的で、色素(色素散布法)やお酢(酢酸散布法)を散布して観察することもあります。その他、光の色を調節してがん組織を見つけやすくするNBI観察法もあります。

内視鏡で胃がんの疑われる病変部が確認された場合は、その組織や細胞を採取して生検に回し、顕微鏡を使ってがん細胞かどうかを詳しく調べます。

なお、検査当日は起床後から検査終了まで食事を摂取することはできません(水、お茶などは可能)。内視鏡での不快感や痛みを軽減させる目的で表面麻酔や鎮静剤を使用する場合もあります。検査自体は10分程度です。表面麻酔や鎮静剤を使用した場合は検査後少し休む必要があります。

自治体が実施する胃がん検診の場合、内視鏡検査は1,000円程度で受けられます。一方で自ら病院で調べてもらう場合、保険適用と自費になるケースがあります。胃がんが疑われる症状があり、医師が内視鏡検査で調べた方がいいと判断した場合は、保険適用となり3,000円から5,000円(3割負担)程度です。

特に異常が見られなければ、その場で結果が伝えられます。一方で生検した場合、結果は後日知らされます。

胃部X線検査(バリウム)

胃部X線検査では放射線を吸収する性質を持つバリウムと胃を膨らます作用を持つ発泡剤を服用し、レントゲン撮影することで、胃全体の形や大きさ、粘膜の状態などが分かります。胃だけでなく、食道や十二指腸も同時に調べられます。

胃部X線検査では検査の前日から食事制限があります。当日は水分の摂取制限もあるので注意が必要です。

胃部X線検査でよく見られる所見として、慢性胃炎(何らかの原因で持続的に炎症を起こしている状態)・萎縮性胃炎・びらん性胃炎(粘膜表面に損傷が見られる)などがあります。慢性胃炎・萎縮性胃炎は胃がんとの関連が指摘されているので、胃炎を治すためにピロリ菌の除去や食生活の改善、定期的な胃がん検査が必要です。

自治体が実施する胃がん検診の場合、内視鏡検査同様1,000円程度で受けられます。一方で、病院で検査を受ける場合は症状などから医師が必要と判断すれば保険適用となり、3,000円前後(3割負担)で受けられます。

胃部X線検査の検査時間は5~10分程度です。検査後は下剤を服用してバリウムを身体から排出します。排便が無い場合、腸内でバリウムが固まり腹痛や稀に腸閉塞を引き起こすことがあります。

胃部X線検査により胃がんの疑いが否定できない所見がある場合は、精密検査として内視鏡検査を受けます。

胃がん検査: 胃カメラとバリウムの違いとは

質問者

質問者

私は40代なので自治体の胃がん検診では胃部X線検査しか受けられません。胃カメラも受けた方がいいでしょうか。

先生

先生

まずはABC検診を受けてあなたの胃がん発症リスクを調べましょう。その上で、どの検査をどのくらいの頻度で受けたらよいのか医師と相談することをおすすめします。

質問者

質問者

胃内視鏡検査と胃部X線検査はどのように使い分けたらいいのでしょうか。

先生

先生

気になるところですよね。胃がん発見率で見ると、胃内視鏡検査は0.82%、胃部X線検査は0.22%と、胃内視鏡検査の方がX線検査に比べて感度が高いと言えます。特に、早期の胃がんを見つけるには胃の中の様子が良く分かる内視鏡の方が断然優れています。

また、内視鏡検査ではその場で病変部の細胞や組織を採取して、顕微鏡で詳しく調べられるのでがんの確定診断につながります。

一方で、内視鏡検査は痛みや不快感を覚える方も多く、気軽に受けられる検査ではないでしょう。X線検査であれば、被ばくがあったり、バリウムを服用したりするデメリットはあるものの、胃カメラと比較すると身体的な負荷は小さいと言えます。

このようにどちらの検査にもメリット・デメリットがあり一概にどちらがいいとは言えませんが、感度の高さでいうと胃内視鏡検査が優れています。

そのため、胃がんの危険因子を多く持つ方やABC検診によって胃がんの発症リスクが高いと評価された方は定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。

胃がんの疑いありと言われた際の再検査・精密検査の種類と費用

質問者

質問者

もし胃内視鏡検査の結果、要精密検査となった場合、続いてどのような検査を受けるのでしょうか。

先生

先生

胃がんの精密検査では病変部の状態によって生検・CT検査・PET (ペット) 検査といった検査を実施し、必要に応じてこれらを組み合わせます。

尚、要精密検査となった場合、基本的に検査費用は保険適用となります。

胃がんの精密検査の概要・精度・費用などについて以下の表にまとめました。

生検CT検査PET (ペット) 検査
概要・特徴・病変部の細胞や組織を採取する
・がんの確定診断に必要
・良性悪性を判断したり、がんの種類を特定したりする
・身体の周囲からX線を当てて全身の断面を画像化する
・がんの大きさ、転移の有無を調べる
・放射線を使用するので被ばくする
・がん細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用した機器
・がんの大きさ、転移の有無を調べる
・放射線を使用するので被ばくする
胃がんの発見率・精度高いEUSに比べると低いEUSに比べると低い
入院の有無・日数日帰り入院どちらも可
費用感 (3割負担の保険適用)4,000円程度5,000~10,000円程度数万円程度

それぞれ詳しく解説します。

生検

生検とは病変部の細胞や組織を採取し顕微鏡で観察し、がん細胞の有無、がんの種類を特定する検査のことです。病理検査とも呼ばれます。がんを確定診断する上で必要な検査です。

質問者

質問者

生検って痛いんでしょうか?

先生

先生

胃の粘膜には神経が通っていないので生検しても痛みはありません。

CT検査

CT検査は身体の周囲からX線を当て、身体の断面図を画像化します。放射線を使用するので被ばくがあります。

必要に応じて画像のコントラストをつけるために造影剤を用いる場合もあります。造影剤を使用する場合は検査数時間前から食事はできません。

CT検査は5-15分程度の検査時間で全身の撮影が一度にでき、小さな病変部も検出しやすいと言われています。がんの位置、大きさ、転移の有無などが分かります。

PET (ペット) 検査

PET検査では、がん細胞が正常な細胞に比べブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、微量の放射線物質をつけたブドウ糖(放射性薬剤)を体内に注射しがん細胞に一種の目印を付けます。この、ブドウ糖を取り込んだ、がん細胞から放出される放射線をPETカメラで捉えることで、がん細胞の位置、良性か悪性か、がんの大きさ、広がり具合、転移の有無などを把握することができます。ただ、糖尿病患者など、高血糖状態では正確に検査できないことがあります。

検査当日は6時間前から検査に影響を与える糖分の摂取はできません。まず、放射性薬剤を注射して1時間後に撮影を行います。撮影時間は30分程度で、入院の必要はありません。

早期胃がんの場合、PET検査は保険適用外となります。また、早期胃がん以外であっても保険が適用されるのは、他の検査や画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合に限定されています。

PET検査で使用される機器は設備費用に多大なコストがかかるため、検査可能な医療機関は限られています。また保険が適用されたとしても3割負担で数万円の検査費用がかかります。

また胃がんの精密検査において、画像検査での確定診断が難しい場合に、PET検査とCT検査の良さをそれぞれ活かしたより精度の高いPET-CT検査を実施することもあります。詳細はこちらの「全身のがんを調べるPET(ペット)検査とは?費用・結果の見方を解説」をご覧ください。

質問者

質問者

胃がんの確定診断は簡単ではないんですね。

先生

先生

そうですね。病変部の悪性度、がんの種類、広がり具合を調べるため慎重に検査を進めます。

精密検査で胃がんと診断されたら?

質問者

質問者

精密検査で胃がんと診断されたらその後、どのような治療を受けていくんでしょうか。

先生

先生

まずは胃がんのステージ(病期)に応じて医師と共に治療プランを立てます。患者さんの希望・生活環境・年齢・身体の状態なども含めて総合的に検討します。

最初の治療として何を選ぶかについては、具体的には「がんがどれくらい深くまで達しているか」「リンパ節転移があるか」「遠隔転移があるか」の3要素で方針が立てられます。詳しいステージについては、手術で切除したがんの組織を病理診断することで、実際のがんの広がりを詳細に評価することで決定されます。

病変部が限局的でリンパ節への転移が無いと考えられる場合、内視鏡を使って病変部を切除する治療が行われます。内視鏡での治療が難しい場合は、お腹に小さな穴を開け手術器具を挿入して行う比較的負担の少ない腹腔鏡下手術や、お腹を20cm程度切開して行う開腹手術が選択されます。

遠隔転移は無いが、がんが進行している場合は、がんの広がり具合によって胃の部分切除か全摘出かを検討します。外科手術は腹腔鏡下手術あるいは開腹手術により実施されます。化学療法によりがんを小さくしてから外科手術を行うこともあります。

そして遠隔転移がある場合は根治が難しいので基本的に手術は行わず、化学療法が中心となります。また、放射線療法によってがん細胞の働きを抑えたり、痛みを和らげる緩和ケアを行ったりします。化学療法によってがんが小さくなれば外科手術が実施される場合もあります。

質問者

質問者

なるほど、がんの進行具合によって治療法が変わってくるんですね。

先生

先生

そうですね、以上をステージ別にまとめるとこちらの表のようになります。精密検査で胃がんと診断された場合、その時点で推定されたステージに基づいて治療法が検討されることになります。

病期主な治療法
ステージⅠ・内視鏡治療
・腹腔鏡下手術
・開腹手術
ステージⅡ・腹腔鏡下手術
・開腹手術
ステージⅢ・化学療法でがんを小さくして根治手術(がんを全て取り除くことを目標とした手術)
ステージⅣ・化学療法が中心
・化学療法によりがんが小さくなれば外科手術にて切除することもある
・放射線療法や緩和ケアも併せて実施する
質問者

質問者

遠隔転移がある場合やステージが進んでしまっている場合は手術すらできないケースが多いんですね。

先生

先生

全身に転移してしまっていると手術しても結果は限られてしまうので。根治できる段階で早期発見できるよう、積極的に胃がん検診を受けて欲しいですね。

まとめ、胃がん早期発見のためにできること

ここまでをまとめましょう。

  • 胃がんは男性に多く、男性の部位別がん死亡数第2位である
  • 胃がんはの初期症状がはほとんどないため、進行してから見つかるケースも多い
  • 胃がんには分化型と未分化型胃がんが存在し、未分化型のスキルス胃がんは進行が速く悪性度が高いがんである
  • 胃がんの危険因子には、喫煙・飲酒・ピロリ菌の感染・慢性胃炎・塩分の過剰摂取・遺伝などがある
  • 40歳以降は胃部X線検査あるいは胃内視鏡検査を定期的に受けた方が良い
  • 胃がんリスク検査(ABC検診)を受け、胃の状態に応じた胃がん検診間隔を設定し、その間にマイシグナルなどのスクリーニング検査を実施すると良いよい
  • 胃がんの精密検査では生検、CT検査、PET検査を実施してがんの種類・広がり具合・転移の有無を調べる。その結果により胃がんのステージが決まる
  • 胃がんの治療法はがんの切除手術が中心となるが、ステージによって大きく異なる

医療技術の進歩により胃がんに罹っても初期であれば完治できるケースも増えてきました。それでも胃がんによる死亡数は42,319人(2020年)と決して少なくありません。

特に胃がんの危険因子を多く持つ場合は早期発見できるように定期的に胃がん検診を受けましょう。

質問者

質問者

まずはABC検診を受けようと思います。その結果に応じて、胃のレントゲン検査や胃カメラを受けていこうと思います。

先生

先生

がんの見落としを防ぐため、そして早期発見のために是非マイシグナルも活用してみてくださいね。

  • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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