がん検査
早期発見に向けて!前立腺がんの検査の種類や費用について詳しく解説
- 公開日: 8/25/2025
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- 最終更新日: 8/25/2025

前立腺がんは日本人男性に多いがんで、50代以降はとくに注意が必要です。
とはいえ、検査の内容や流れがわからず、一歩を踏み出せない方も少なくありません。
そこで本記事では、前立腺がんの検査方法や費用、早期発見の重要性についてわかりやすく解説します。
さらに「病院はハードルが高い」という方に向けて、自宅でできるがんリスクチェック「マイシグナル・スキャン」もご紹介します。
前立腺がんに対して不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
前立腺がんは日本人男性に最も多いがん

前立腺がんは、日本人男性が罹患するがんの第1位です。
昔は「欧米人に多いがん」といわれていましたが、食生活の変化などから日本でも患者数が年々増加しています。
とくに、50歳を過ぎると前立腺がんのリスクは急激に高まり、70代でピークを迎えます。
前立腺がんは他のがんと比べて進行が遅いがんですが、初期段階ではほとんど症状がないため、進行してからはじめて発覚するケースも少なくありません。
がんが進行して転移が広がると、治療の選択肢が限られ、身体への負担も大きくなります。治療の選択肢を広げ、よりよい経過を目指すためにも、早期発見が大切です。
前立腺がんの検査の流れとは?スクリーニングから診断まで
前立腺がんについて、スクリーニングから診断までの検査項目を以下にまとめました。
スクリーニング検査 | 血液検査(PSA) |
診断に向けた精密検査 | 直腸診MRI生検 |
病期診断 | CTMRI骨シンチグラフィー |
スクリーニング検査のPSAが高値だからといって、すぐにがんと診断されるわけではありません。ここでは、前立腺がんの検査について、それぞれわかりやすく解説します。
血液検査(PSA)
前立腺がんのスクリーニング検査として広く行われているのが、腫瘍マーカー「PSA」の測定です。
PSAは前立腺から分泌されるタンパク質で、通常は血液中にごく微量しかありません。しかし、がんによって前立腺の細胞が破壊されると、PSAが多く血液中に漏れ出し、数値が高くなる傾向があります。
ただし、数値が高いからといって必ずしもがんとは限りません。前立腺肥大症や、前立腺炎などの病気でも上昇することがあります。
そのため、PSAの値が高い場合は、さらに詳しく精密検査で調べる必要があります。
PSA検査は、採血によって比較的簡単に受けられることから、健康診断や人間ドックでも広く実施されています。
PSAの基準範囲
PSAの正常値は一般的に4.0ng/mL以下とされていますが、あくまで目安であり、年齢によって基準は変動します。
PSA値は加齢とともに高くなる傾向があるため、高齢の方では基準値を超えていても異常とは限りません。
年齢ごとに推奨されている基準値は、以下の通りです。
年齢 | 推奨基準値(ng/mL) |
---|---|
50~64歳 | 3.0 |
65~69歳 | 3.5 |
70歳以上 | 4.0 |
PSA値は、高くなるほど前立腺がんの可能性が高まります。とくに10.0ng/mlを超える場合はがんが疑われ、精密検査を強く推奨します。
ただし、PSAの値が正常範囲でも前立腺がんが見つかることもあれば、反対に数値が高くてもがんではない場合もあります。
*国立がん研究センター がん情報サービス 前立腺がん 検査
*東京医科大学病院 PSA(前立腺特異抗原)が高いと言われたら
直腸診
直腸診は、肛門から指を入れて、前立腺の状態を直接触って調べる検査です。
前立腺の硬さや大きさ、表面に凹凸がないかを触診で確認します。
しかし、がんが小さかったり、前立腺の内側にある場合は、直腸診では発見できないケースもあります。
*東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター 前立腺がん
MRI
画像検査のなかで、前立腺の内部を最も詳しく評価できるのがMRI検査です。
健康な前立腺は場所によって黒や白にみえますが、がんがあると黒く映ることが多いため、とくに白い部分(外腺)にできたがんは見つけやすい傾向があります。
しかし、黒くみえてもがんではない良性の変化もあるため、画像だけで判断はできません。また、元々黒っぽい部分(内腺)にできたがんは見つけにくいことがあります。
MRIで前立腺がんの疑いがある場合は、最終的な確定診断のために生検を行います。
さらに、MRIはがんが前立腺を包む膜を突き破り、その外側へ広がっていないかを確認するためにも活用されます。
生検
生検(生体組織診断)は、前立腺がんの確定診断に欠かせない検査です。
PSA検査や画像検査でがんの可能性を疑う場合、前立腺から組織片を採取し、がん細胞の有無や性質を詳しく評価します。
前立腺生検の検査方法は、以下の2種類があります。
検査方法 | 特徴 |
経直腸的前立腺針生検 | 肛門から超音波プローブを挿入し、前立腺に針を刺して組織を採取する方法 |
経会陰式前立腺針生検 | 肛門と陰嚢の間に針を刺して前立腺の組織を採取する方法 |
前立腺生検は局所麻酔を使用するため、痛みはほとんど感じません。検査後には、一過性の合併症として血尿や血精液症、排尿困難などの症状を引き起こす場合があります。
生検でがんを発見した場合、転移の有無を調べるためにCTやMRI、骨シンチグラフィーなどの検査を行います。
CT
CT(コンピュータ断層撮影)は、X線を使って体内を断面画像として映し出す検査で、前立腺がんの進行度や転移の有無を調べる際に実施します。
とくに、リンパ節や他の臓器への転移を評価するのに有効です。
前立腺がんの転移はリンパの流れに沿って広がるため、特定のリンパ節へ転移しやすい傾向があります。しかし、前立腺のすぐ近くのリンパ節が腫れるとは限らず、離れた部位に先に転移が起こるケースも少なくありません。
そのため、広範囲のリンパ節を確認できるCTが重要となります。
骨シンチグラフィー
前立腺がんは骨に転移しやすいため、その評価として骨シンチグラフィーを実施します。
骨シンチグラフィーでは、骨に集まりやすい性質をもつ薬剤に、ごく微量の放射性物質を結合させ、腕の静脈から注射します。
薬剤はがんが転移して骨の代謝が活発になっている部位に多く集まるため、転移の有無や場所を画像で確認可能です。
注射後しばらく時間をおいてから、特殊なカメラで全身を撮影することで、骨の状態を詳しく確認します。
骨シンチグラフィーは、がんの進行度を正確に把握し、治療方針を決定するうえで非常に重要な検査です。
前立腺がんの検査費用
前立腺がんの検査には、血液検査や画像検査、生検などさまざまな検査があり、項目によって費用が異なります。
以下は、一般的な医療機関で保険診療(3割負担)のもと行った場合の目安です。
検査項目 | 保険診療による費用(3割負担) |
PSA | 300〜500円 |
直腸診 | 2,000円程度 |
MRI | 8,000~11,000円 |
CT | 7,000〜11,000円 |
骨シンチグラフィー | 17,000円程度 |
生検 | 37,000円程度(入院費含む) |
PSA検査や直腸診は比較的安価で受けられますが、CTやMRIといった画像検査、そして確定診断に必要な生検になると費用は高くなります。
また、PSA検査を健康診断や人間ドックのオプションとして受ける場合、保険適用外となります。その場合は全額自己負担となり、2,000円程度の費用がかかる点に注意しましょう。
これらの費用はあくまで目安であり、医療機関や具体的な検査内容によって変動します。
気になる症状がある場合は、まずは医療機関で相談し、必要な検査やその費用について事前に確認しておきましょう。
検査のために医療機関を受診したほうがいい人
前立腺がんのリスクが少しでもある場合は、早めに医療機関を受診して検査を受けることをおすすめします。
ここでは、医療機関を受診して検査を受けたほうがいい方の特徴をご紹介します。
PSAが高値だと指摘された
健康診断や人間ドックでPSA値が高いと指摘された場合、前立腺に何らかの異常がある可能性があります。
PSA値が高くなるほど前立腺がんの可能性は上がり、とくに10.0ng/mlを超える場合は、精密検査が強くすすめられます。
ただし、PSA値が高くても、必ずしも前立腺がんとは限りません。前立腺肥大症や前立腺炎など、がん以外の病気でも数値が上昇することはよくあるからです。
数値が高いだけで過度に心配する必要はありませんが、決して放置してはいけません。
PSA値の異常は、自覚症状がない段階で前立腺がんの可能性に気づける、早期発見のサインです。
できるだけ早く医療機関を受診し、精密検査を受けるようにしましょう。
排尿異常がある
排尿の異常は、前立腺に問題があるサインかもしれません。前立腺がんで現れやすい症状として、以下があげられます。
- 尿が出にくい
- 尿の回数が増える
- 残尿感がある
- 尿意を我慢できなくなる
これらは前立腺肥大症の症状と似ていますが、がんが原因の可能性も否定できません。
とくに、これらの症状が以前よりも悪化したり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、自己判断で放置せず、早めに泌尿器科を受診しましょう。
排尿に関する症状は、前立腺の異常を知らせる重要なサインであり、がん以外の病気であったとしても、適切な治療が必要です。
*東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓総合医療センター 前立腺がんとは
家族に前立腺がんの経験者がいる
近親者に前立腺がんの診断を受けた方がいる場合は、遺伝的な要因により前立腺がんになるリスクが高まるといわれています。
とくに父親や兄弟に前立腺がんの患者がいる場合、発症リスクは約2倍に高まります。
自覚症状がなくても、家族歴がある方は、定期的に検査を受けるようにしましょう。
*遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC) CQ26.男性の未発症BRCA 変異保持者に対し,前立腺癌のサーベイランスは推奨されるか?
自覚症状がなくても油断は禁物!前立腺がんは早期発見が大切
前立腺がんは他のがんと比較して進行がゆるやかで、がんが前立腺内に限局している場合の5年相対生存率は100%です。
ところが、前立腺がんの初期段階は自覚症状がほとんど現れず、気づいたときには進行していたというケースも少なくありません。
がんが進行すると骨やリンパ節へ転移しやすくなり、治療の選択肢が限られて身体への負担も大きくなります。
だからこそ、症状がなくても定期的に検査を受け、前立腺からのサインを見逃さないようにしましょう。
がんリスクチェック「マイシグナル・スキャン」という選択肢
「前立腺がんに不安を抱きつつも、病院に行くほどではない」という方には、自宅で簡単にできるがんリスクチェック「マイシグナル・スキャン」がおすすめです。
マイシグナル・スキャンは、膵臓・胃・大腸・肺・乳房・卵巣・食道・腎臓・膀胱・前立腺の10種類のがんリスク※を、ステージ1から検出できます。
検査の手順は、自宅で尿を採取し、送って結果を待つだけ。検査による痛みや食事・運動制限もないため、ストレスなく検査を受けていただけます。
結果に応じて、生活習慣の改善や医療機関の受診など、自分にあった次のアクションがみえてきます。
「病院に行く時間がない」「症状はないけど、なんとなくがんが怖い」という方は、マイシグナル・スキャンでがんリスクチェックをはじめてみませんか。
※ 卵巣がん・乳がんは女性のみ、前立腺がんは男性のみ検査対象となります。
\すい臓がんもステージ1から/
尿でがんのリスク検査
「マイシグナル・スキャン」
尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める10種のがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。
- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
前立腺がんの検査でよくある質問
前立腺がんの検査に関して、よくいただく質問に回答します。
- 前立腺がんの検査は痛いですか
- 前立腺がんの検査は入院が必要ですか
- 前立腺がんの検査「PSA」は人間ドックや健康診断でわかりますか
- PSAの検査はどれくらいの頻度で受ければいいですか
前立腺がんについて正しく理解し、根拠のない不安を解消しましょう。
前立腺がんの検査は痛いですか
検査の内容によって感じ方は異なりますが、一般的な前立腺がんの検査は、強い痛みを伴いません。
PSA検査は、一般的な採血と同じ方法で行います。直腸診は医師が肛門から指を入れて前立腺に触れるだけなので、不快感はあるものの数十秒で終わり、大きな苦痛を伴うことはないでしょう。
最も痛そうなイメージがあるのが生検ですが、局所麻酔を使用してから前立腺に針を刺すため、強い痛みを感じることはありません。
検査に対して「痛そう」というイメージをもつ方も多いですが、実際には多くの検査が短時間で終わり、身体への負担も少ない方法で実施しています。
前立腺がんの検査は入院が必要ですか
受ける検査の種類によって異なりますが、前立腺がんの検査は多くが外来で対応可能で、入院が必要になることはほとんどありません。
採血によるPSA検査や直腸診、CT、MRIといった検査は短時間で済み、当日中に帰宅できます。
しかし、前立腺の組織を採取してがんかどうかを調べる「生検」だけは、1泊2日程度の入院が必要になるケースがあります。これは、検査後の出血や感染症のリスクを考慮するためです。
なお、最近では生検を日帰りで実施する医療機関も増えており、対応は施設によって異なります。検査を受ける前に、入院の必要性やスケジュールについて医療機関に確認しておくと安心です。
前立腺がんの検査「PSA」は人間ドックや健康診断でわかりますか
PSA検査は、前立腺がんのスクリーニングとして活用されており、多くの人間ドックや健康診断で受けられます。
自治体や職場が実施する一般的な健康診断では、標準項目に含まれていないこともありますが、希望すればオプションとして追加できるケースが多いです。
とくに50歳以上の男性や、前立腺がんの家族歴がある方などは、早めに検査を受けておくと安心です。
人間ドックや健康診断を受ける際には、PSA検査が含まれているかを確認し、必要に応じて追加することをおすすめします。
PSAの検査はどれくらいの頻度で受ければいいですか
PSA検査を受ける頻度は、年齢や家族歴、医師の判断によって異なります。
一般的には、前立腺がんのリスクが高まる50歳以上の男性は、年に1回のPSA検査が推奨されています。
しかし、家族に前立腺がんの経験者がいる方など、遺伝的なリスクが高い場合は、40歳から定期的にPSA検査を受けるのが望ましいでしょう。
また、過去にPSA値がやや高かったことがある場合も、医師と相談しながら通常よりも短い間隔で検査を行うことがあります。
前立腺がんの検査を正しく知って前向きな行動へ
前立腺がんは早期に見つければ治療の選択肢も多く、予後も良好です。
自覚症状がなくても、定期的なPSA検査や必要に応じた精密検査を受けることで、前立腺の早期発見につながります。
「検査は不安」「病院に行くほどではない」と感じている方には、自宅で簡単にできるがんリスクチェック「マイシグナル・スキャン」という選択肢もあります。
とくに50歳以上の方や家族に前立腺がんの経験者がいる方は、検査の機会を逃さず活用してみてください。
検査に対する不安を減らし、必要に応じて医療機関と連携しながら、自分にあった健康管理をはじめてみましょう。
\すい臓がんもステージ1から/
尿でがんのリスク検査
「マイシグナル・スキャン」
尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める10種のがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。
- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
この記事の監修者

近藤理美
臨床検査技師 医療ライター
急性期病院で8年間臨床検査技師として勤務。
自身の臨床経験と確かなエビデンスを元に、医療メディアを中心として記事を執筆