がん検査

前立腺がんとは?症状・治療法・早期発見のためにできる3つのことを解説

  • 公開日: 8/6/2025
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  • 最終更新日: 8/6/2025
    前立腺がんとは?症状・治療法・早期発見のためにできる3つのことを解説

    「前立腺がん」という言葉を聞くと、どうしても不安を感じてしまいますよね。

    とくに、「健康診断でPSA値が高いと言われた」「排尿に関する不調が気になる」「家族にがん患者がいる」といった状況では、「前立腺がんかもしれない」と心配になることもあるでしょう。

    しかし、前立腺がんは早期に発見できれば治療の選択肢が多く、予後も比較的良好です。

    そこで本記事では、前立腺がんの特徴や症状、早期発見のためにできる3つのことについて解説します。

    自宅で簡単にがんリスクをチェックできる「マイシグナル・スキャン」についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

    前立腺の役割

    前立腺は男性にのみ存在する臓器で、膀胱のすぐ下にあります。

    主な役割は、以下の通りです。

    • 精子を保護して動きを活発にする「前立腺液」を分泌する
    • 射精時に収縮して精液の射出を助ける
    • 尿と精液が混ざらないように尿道を切り替える

    前立腺は、男性ホルモンであるテストステロンの影響を強く受けており、性機能や生殖機能に密接に関連しています。

    前立腺が正常に働くことで精液の質が保たれ、スムーズな生殖活動につながります。

    前立腺がんとは?特徴と発生部位

    前立腺がんはとくに発症数が多く、日本人男性のがんのなかで最も多くみられます。

    「辺縁領域」と呼ばれる前立腺の外側部分に発生しやすく、尿道から遠いため早期段階では自覚症状があまり現れません。前立腺がんの進行は比較的遅いですが、早期発見が難しいのが特徴です。

    進行すると、排尿障害や血尿、さらには骨転移による痛みなどが現れることがあります。

    前立腺がんのステージ別生存率

    前立腺がんのステージ別生存率は、がんの進行具合によって異なります。

    進行度別の5年相対生存率は、以下の通りです。

                                                
    進行度5年生存率
    限局100%
    領域99.2%
    遠隔53.4%

    がんが前立腺内や周辺の組織、リンパ節にとどまっている状態では、治療の選択肢が幅広く、高い生存率が期待できます。

    一方で、遠隔転移している場合は、5年生存率は53.4%まで低下します。

    前立腺がんで現れやすい3つの症状

    前立腺がんで現れやすい症状は、以下の3つです。

    • 排尿時の違和感
    • 血尿・血精液
    • 背中や腰の痛み

    前立腺がんに不安を抱いている方は、あてはまる症状がないかチェックしてみてください。

    排尿時の違和感

    前立腺がんで現れやすい症状のひとつが、排尿時の違和感です。

    前立腺は膀胱のすぐ下で尿道を取り囲むように位置しているため、がんが大きくなると尿道を圧迫し、尿の通り道が狭くなります。

    その結果、以下のような排尿時の違和感が生じます。

    • 尿が出にくい
    • 尿の回数が増える
    • 残尿感がある
    • 尿意を我慢できなくなる

    これらの症状は前立腺肥大症でも現れますが、がんの場合は進行とともに症状が悪化しやすいです。

    排尿時の違和感が気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

    血尿・血精液

    前立腺がんが進行すると、尿道や膀胱、前立腺の血管ががんによって傷つけられ、尿や精液に血が混じることがあります。

    見た目で気づく場合もあれば、検査ではじめて発見される場合もあります。

    血尿や血精液の症状は必ずしもがんが原因とは限りませんが、早期発見のためにも、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

    背中や腰の痛み

    前立腺がんが進行すると、背中や腰に痛みが現れることがあります。

    とくに慢性的な痛みが続く場合は、骨転移のサインである可能性があります。

    がんが骨へ転移すると、痛みが強くなったり、神経が圧迫されてしびれが生じたりすることもあるでしょう。

    また、進行して骨の破壊が進むと、骨密度が低下して骨折につながることもあります。

    骨転移が起きると生活の質が大きく低下するため、腰や背中の痛みが長引く場合は早めの受診が大切です。

    前立腺がんの検査方法

    前立腺がんの検査には、主に以下の4つの方法があります。

    • 血液検査
    • 直腸診
    • 前立腺生検
    • 画像検査

    それぞれの特徴について解説しているので、参考にしてみてください。

    血液検査

    前立腺がんのスクリーニング検査として、前立腺特異抗原(PSA)という腫瘍マーカーの測定が広く行われています。

    PSAは前立腺から分泌されるタンパク質で、がんがあると値が高くなる傾向があります。

    一般的な基準値は4.0ng/mL以下ですが、年齢によって上昇する性質から以下の基準値が推奨されています。

                                                
    年齢推奨基準値(ng/mL)
    50~64歳3.0
    65~69歳3.5
    70歳以上4.0

    上記の基準値を超えている場合は、追加検査による評価が推奨されます。PSA値が100ng/mLを超えている場合は相対的に前立腺がんの可能性が高くなり、すでに骨転移が起こっているおそれもあります。

    ただし、PSAは前立腺肥大症や前立腺炎などの疾患でも高値を示すことがあるため、血液検査だけでがんと診断することはできません。

    PSA値が高い場合は他の検査と組み合わせて、より詳細に評価する必要があります。

    直腸診

    直腸診は、手袋をつけた指を肛門から挿入し、前立腺を触診する検査です。

    触診で前立腺の硬さや大きさ、表面に凹凸がないかを確認します。

    しかし、がんが早期段階で小さかったり、前立腺の内側にあったりする場合は、直腸診では発見できない場合もあります。

    前立腺生検

    前立腺生検は、PSA値や直腸診、MRIなどでがんが疑われる際に行い、最終的にがんの診断を確定するために必要な検査です。

    前立腺生検の検査方法は、以下の2種類があります。

                                                
    検査方法特徴
    経直腸的前立腺針生検肛門から超音波プローブを挿入し、前立腺に針を刺して組織を採取する方法
    経会陰式前立腺針生検肛門と陰嚢の間に針を刺して前立腺の組織を採取する方法

    採取した細胞は顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を確認します。

    前立腺生検後には、合併症として血尿や血精液症、排尿困難などの症状を引き起こす場合があります。

    画像検査

    前立腺がんの病期を診断するために、以下のような画像検査を実施します。

    検査方法 特徴 目的
    CT X線を使用して前立腺の画像を映し出す がんの広がりや転移の有無を確認する
    MRI 磁気を使用して前立腺と周囲組織を断面画像として観察する がんの局所的な広がりや浸潤を評価する
    骨シンチグラフィー 微量の放射線を出す薬剤を注入して骨のがんに集まる様子を映し出す 骨への転移の有無を調べる

    これらの検査を組み合わせることで、前立腺がんの有無や進行度、転移の状況をより正確に把握できます。

    前立腺がんの治療方法

    前立腺がんの治療方法は、がんの進行や患者の状態に応じてさまざまです。

    治療には、監視療法・フォーカルセラピー・放射線療法・手術・内分泌療法・化学療法などがあり、治療方針は専門医と相談しながら決定します。

    監視療法

    監視療法は、PSAやグリーンスコア、前立腺生検の結果から、結果進行が遅くリスクが低いと判断された前立腺がんに対する治療法です。

    すぐに手術や放射線治療を行わず、定期的にPSA値の測定や前立腺生検、診察を行いながら経過を観察します。

    がんが進行している場合にのみ積極的な治療に切り替えるため、過剰な治療を避けられる点がメリットです。

    病院によって頻度は異なりますが、一般的には3か月ごとにがんの進行具合観察していきます。

    フォーカルセラピー

    フォーカルセラピーは、前立腺のがん細胞にターゲットを絞って治療する方法です。

    フォーカルセラピーとして、主に以下の3つの治療法が選択されます。

                                                         
    治療法特徴
    高密度焦点超音波療法高強度の超音波を前立腺のがん部分に集中させ、がん細胞を破壊する方法
    凍結療法がん部分に針を挿入し、冷却ガスでがん細胞を凍結して破壊する方法
    小線源療法放射線を発する小さな線源を前立腺内に挿入し、がん細胞に対して直接照射する方法

    フォーカルセラピーのメリットは、手術や放射線治療に比べて身体への負担が少なく、合併症のリスクが低い点です。

    しかし、フォーカルセラピーの適応には限りがあり、すべての前立腺がん患者に適用できるわけではありません。MRI検査や生検結果をもとに、がんの広がりや状態にもとづいて決定します。

    放射線療法

    放射線療法は、がん細胞を破壊するために高エネルギー放射線を使用する治療法です。

    前立腺がんに対しては、主に2種類の方法が用いられます。

                                                
    治療方法概要
    外部照射法・体外から放射線を照射し、前立腺全体を標的に治療する方法
    ・数回に分けて治療する
    組織内照射法・がん部位に直接放射線源を挿入し、高線量で集中的に照射する方法
    ・短期間で治療できる

    放射線療法は、がん細胞が前立腺内にとどまっている場合や、局所進行性のがんに対して使用されます。がんが骨などに転移している場合、痛みの緩和を目的として行われることもあります。

    副作用として、勃起機能不全や精液量低下、排尿障害などの症状が治療後に現れることがあります。

    手術(前立腺全摘除術)

    「前立腺摘除術」が適応となるのは、前立腺がんが前立腺の中だけにとどまっている場合です。

    前立腺摘除術では、がんがある前立腺そのものと、精子を一時的にためておく「精嚢」を一緒に切除し、精子を運ぶ「精管」も切断します。前立腺を取り除いた後は、膀胱と尿道を縫い合わせてつなぎ直します。

    手術方法は、以下の3つです。

    • 開腹手術
    • 腹腔鏡手術
    • ロボット支援手術

    開腹手術では大きな切開を行いますが、腹腔鏡手術やロボット支援手術は小さな切開で行うため、術後の回復は早く痛みも軽減されるでしょう。

    副作用として、勃起不全や尿失禁を伴うことがあります。

    ホルモン療法

    前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)の影響で増殖する性質があるため、アンドロゲンの分泌や働きを抑えることでがんの進行を抑えます。

    主に注射や内服薬を使い、精巣から分泌されるアンドロゲンの産生を抑制したり、がん細胞がアンドロゲンを利用できないようにしたりします。

    ホルモン療法は、転移がある場合や手術・放射線治療が難しい場合、放射線治療と併用する場合に選択されます。

    ただし、長期間続けると効果が弱まることがあるため、その場合は内服薬や注射を変更し、経過を観察します。

    副作用として、骨密度が低下することがあります。

    化学療法

    抗がん剤治療は、がん細胞の増殖を抑えるための治療法です。とくに進行した前立腺がんや、ホルモン療法が効かなくなった場合(去勢抵抗性前立腺がん)に選択します。

    主に、ドセタキセルとカバジタキセルの2種類の抗がん剤を使用します。

    ドセタキセルは3〜4週間ごとに点滴で投与します。倦怠感や嘔吐、骨髄抑制などの副作用がありますが、コントロールできれば外来治療も可能です。

    ドセタキセルが効かない場合や、副作用が強い場合は、カバジタキセルを使用します。

    がんの早期発見のためにできる3つのこと

    がんの早期発見には、日々の生活習慣の見直しや定期的なチェックが非常に重要です。

    ここでは、がんの早期発見につながる3つの方法を紹介します。

    生活習慣を改善する

    現在、前立腺がんに特化した予防法は確立されていません。

    しかし、がん全般の予防には、以下が有効であることがわかっています。

    • 禁煙や飲酒の制限
    • バランスの取れた食事
    • 適度な運動
    • 適正体重の維持
    • 感染予防

    生活習慣を意識して改善していくことが、前立腺がんを含むさまざまながんの予防につながります

    リスク因子をチェックする

    前立腺がんのリスクは、年齢や家族歴に大きく影響されます。

    年齢が上がるとともにリスクは高くなり、とくに50歳以上の男性に多くみられます。また、家族に前立腺がんの患者がいる場合、リスクは増加します。

    自分にあてはまるリスク因子を理解し、早めに検査を受けることが、前立腺がんの早期発見につながるでしょう。

    がんリスクチェックという選択肢

    前立腺がんを早期発見するためには、がんリスクチェックの活用も有効です。

    近年、尿検査を通じてがんのリスクを調べる「マイシグナル・スキャン」などの、自宅で簡単にがんリスクをチェックできる方法が増えてきています。

    早期の段階でがんリスクがわかれば、必要に応じて医療機関での精密検査に進み、がんの早期発見が期待できるでしょう。

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    病院に行く前に“今のがんリスク”を知ろう

    前立腺がんは比較的進行が遅いがんですが、骨などに転移すると生存率が大きく低下します。

    がんは早期に発見できるかどうかが、予後を大きく左右します。早期発見できれば治療の選択肢が広がり、身体への負担も少なくすむでしょう。

    がんを早期発見するためには、自宅で簡単にできるがんリスクチェック「マイシグナル・スキャン」を活用するのもひとつの手です。

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