がん検査

最先端の事例から紐解く、がん検査の未来

  • 公開日: 11/6/2023
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  • 最終更新日: 11/7/2023
    最先端の事例から紐解く、がん検査の未来

    本記事では、自宅でできるがんリスク検査サービス「マイシグナル®」の開発元 Craif株式会社の最高技術責任者 (CTO)の市川が、報道機関向けのメディアセミナーにて講演した内容をご紹介。

    公的ながん検診の位置付けについて解説すると共に、がん検査全体の課題、そして最新技術の動向も踏まえたがん検査の未来についてCraifのCTO市川が解説しました。

    本記事を理解する上で前提となる知識である、検査精度(感度・特異度・陽性適中率)について知りたい方は、過去記事「精度98%でもほとんど当たらない!?医師も意外と知らない、検査の精度と数字のトリック」を是非御覧ください。

    また、本当に有用な検査の定義について解説する過去記事「「生存率」が高ければいいわけではない!? 勘違いしがちな落とし穴、がん検査の大切な指標を解説」も、是非御覧ください。

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    レクチャーの概要

    なぜ公的ながん検診には5種類しかないのか

    1.公的ながん対策として進められている対策型がん検診には、死亡率減少効果が証明されているものだけが採用されている

    2.現在、公的ながん検診に組み込まれている5つのがん種(胃、大腸、肺、乳、子宮頸)には、死亡率が低下するエビデンスがある

    3.がんスクリーニングに死亡率低下の効果があることを証明するには、被験者数も期間もかかるため、大規模な研究が必要となる

    4.英国で行われた大規模な卵巣がんスクリーニングの臨床研究は、がんの検出には一定の成果はあったものの、死亡率低下の証明は失敗に終わってしまった。新たながん種で死亡率低下のエビデンスを創出することは容易なことではない

    どれだけ良い検査でも、みんなが受けるとは限らない!

    1.近年の測定・解析技術の発展に伴い、新たな検査技術が次々と生み出されており、米国を中心にスタートアップが新たな検査の開発を進めている

    2.ハードルが高い「死亡率低下」以外のエンドポイントを指標とした大規模臨床試験が多数組まれており、検査の評価方法も多様化している

    3.がん検診に組み込まれている検査は死亡率低下の確固たるエビデンスがあるが、その受診率は決して高くない

    4.ユーザーが受診を決める判断は必ずしも合理的ではなく、小さな工夫でも大きく受診率が向上するケースも有る

    社会を良くする「良い検査」とは?

    1.一人ひとりが自分の目的に応じて必要性を判断できること

    2.検査自体の精度だけではなく、どのような人が検査を受けているかも検査結果に大きく影響をする手軽に受けられ、受診率の向上に寄与すること

    3.医療上の位置づけが明確であり、受診した後のアクションが明確であること

    次世代がん検査マイシグナル(miSignal®)の結果票を解説!

    1.マイシグナル®の結果票は現在のリスクを表す「マイクロRNAスコア」と潜在的なリスクを表す「パーソナルスコア」の2軸で判定をしている

    2.マイシグナル®はがんのリスクを高めることが確かめられている背景情報も考慮にいれて判定している

    3.各がん種毎にリスクが評価され、ネクストステップが明確となっている

    詳しくは、こちらの解説動画を御覧ください。

    講演全文

    改めまして、勉強会の目的からお話をさせていただくと、検査の精度はすごく奥が深いので、そこの解釈だったり、それを踏まえ、がん検査の現状と将来どのように発展していくのかと、 最新の事例を用いて理解を深めていき、我々のマイシグナルという検査についてもお話ししたいと思っております。

    申し遅れましたが、私はCTOの市川と申します。

     第3回ということで、最先端の事例から紐解く、がん検査の未来というタイトルでお話しさせていただきたいと考えております。

    中身に入っていく前に、1回2回、どういうことをお話したのかということを要点だけお話ししたいと思います。

    まず、主に第一回で検査の精度を判定する時は 陽性陰性の両面を考慮する必要があって、感度、特異度、ROC曲線、PPVといった検査の中で出てくる用語についてお話をさせていただきました。

    こういった指標を用いて、いろいろな検査のパフォーマンスを評価していくのですが、スクリーニング検査を実施して、こういった値が高かったとしても、必ずしも良いことではないといった問題提起をさせていただきました。

    がんの早期発見によって、予後が改善するという良い面がある一方で、必ず検査を実施していくと望ましくない一面も出てくる。
    なので、その検査が本当に人の役に立つと考えていくうえでは、利益と不利益の両面を考えなくてはいけない。

    がん検査が本当に社会にとってインパクトがあるかということを考える時には、死亡率をどれだけ低下させることができたかが、最終的な指標になる。
    その上で、その発展的な話を本日させていただきたい。

    まず最初の問いかけとして、なぜ公的ながん検診が5種類しかないのかといったところの話をさせてください。

    この話をする前に、健診と検診、言葉としてはすごく似ているんですが、これらの違いについてはイメージ浮かぶでしょうか?

    上の健診というのは健康診断といいまして、健康かどうかを確かめる意味の健診。
    こちらの検査の検の検診はある特定の病気にかかっているか調べるための検査。

    こういった違いがあり、今話をしているのは、がん検診の話。
    よく混同されがちなんですが、というのも健康診断の中に、がん検診が含まれているとかで、少しまじってしまうケースが多いんですが、言葉として明確に分かれていて、今はがんを見つけるための検査に絞ってお話しします。

     このがん検診の中にも、2種類ありまして、対策型がん検診と、任意型がん検診といったものがある。

    対策型がん検診は公的な予防対策で、がんの死亡率減少目的として、無料もしくは少額の自己負担で、自治体等で実施ができる。
    例えば、職域検診の中で実施しているものがございます。

    一方で、任意型のがん検診は、例えば人間ドックとか、いろんな市販のがんのスクリーニング検査であったり、医療機関等で任意に受けることができる。
    個人個人がその必要性を判断して、基本的には自己負担でやっていくもの。

    今お話をしていくのが、対策型がん検診、いわゆる公的な施策でやっていくがん検診。
    胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つしかない。

    それぞれ検診の方法とか、対象の年齢とか間隔、というのがこの頻度で必ずやりますよという指針がでている。
    がんの死亡者数をみていくと、この青で示している5つ以外にも、いろんな種類のがんがあって、それによる死亡数も数としては多い。

    なぜこの5つしかないのか、といったことを考えるとき、 第1回のメイントピックでもあったし、先ほどのがん検診の紹介のところでお話ししましたし、条件としては対策型がん検診は死亡率を下げることを目的としても、検診の方法としても、死亡率減少効果が確立している方法を使うということがあげられている。

    これはなぜかというと第1回、第2回と繋がるところではあるんですが、検診の評価方法っていろいろあるんですが、最終的にインパクトがあるところっていうのは、死亡率をいかに下げられるかというところで評価しないといけない。

    それに対して、公的な取り組みや費用負担含めて、実施するとあっては、やはりその検診効果としては、死亡率を下げられるところが最も重要視されていて、そういった条件当てはまるもののみが、対策型がん検診のメニューとして組み込まれている背景がございます。

    そもそも死亡率を下げるエビデンスがあるとはどういうことがというと、これは結構ハードルが高く、どうやって証明していくかを説明します。

    検査を受けた群と、検査を受けていない群、 それぞれ十分な数を準備して、中長期にわたって観察期間をおいて、何人亡くなってしまったかということを全てモニタリングしていかないといけない。
    検査を受けた人の中でも、亡くなってしまう方っていうのはそこまで多いわけではない。検査を受けてから亡くなってしまうまですごく長い時間がかかる。なので、このセッティングで十分な被験者を集めて、死亡まで追いかける、その率が検査を受けた方が低かったよと示さないといけない。

    相当大きなハードルで、このエビデンスを証明するためには、長い期間がかかってしまう。

    一つ、大腸がんの例を示しますが、実際に今お話ししたことを実施していて、さまざまな試験があるが、一つ例をとって見ますと、4万6千人ぐらいの健康な男女を集めて、スクリーニングなしの群と、2年に1回スクリーニングする群と、毎年スクリーニングする群に分けて、30年間にわたってフォローする。

    そうすると、スクリーニングしない群と比べて、2年に1回すると、死亡率は22%減ります。
    毎年受けると、32%減ります。

    これだけ長い期間を置いて、死亡率低下効果があるといったことが証明されている。
    想像するだけでもかなり大変なプロセスで、これは実際にスクリーニング検査がある大腸がんの例です。

    スクリーニングに含まれていない卵巣がんの例をご紹介したいと思います。
    これも2010年代、最終的なものがでたのは2019年なので、かなり最近の試験です。

    UKCTCSといった卵巣がんの研究があって、英国で実施した大規模なスクリーニングの試験で、20万人を集めて、三つの群、一つがマルチモーダルスクリーニングで、血液検査+エコー、一つがエコー(超音波)で毎年スクリーニングする群、三つ目が、スクリーニングをしない群、この三つに分けて、20年近くにわたってモニタリングした試験。

    主要評価項目は、この試験をする上で何を証明したいかを示している。
    卵巣がんによる死亡がどうなのかということをこの三つの群で、比較をするといった試験デザインです。

    結果なんですけれども、このマルチモーダルスクリーニング、血液検査と超音波を合わせてスクリーニングすることによってステージ1での発見率が上がっている、 ステージ4で発見されるのは少なくなっている。
    早期発見っていうのは、ある程度はされている。

    しかし、主要評価項目と設定している卵巣がんによる死亡を減らすことができたかというと、三つの群で亡くなる人をプロットしており、結論かわらなかった。
    18年ぐらいフォローアップしている。20万人集めて、20年間追跡して、マルチモーダルスクリーニングをやることによって死亡率が減るはずと考えて、やったはずなんですが、 残念ながら死亡率は、変化しなかった。
    こういった事例があります。

    なので今も卵巣がんスクリーニングは対策型がん検診に含まれていない。
    というすごく残酷な結果が、2021年、2年前に最終結果が出た。
    この試験をやっていた人の気持ちを考えると、絶望的な気持ちになる。

    ここまでのまとめは、公的ながん検診は死亡率低下のエビデンスが必要だが、エビデンスを出すのはかなり大変。
    今スクリーニングに入っていない卵巣がんのデータを見てみるとかなり長い期間かけて実施したのに、がんを検出することに一定メリットはあると分かったが、死亡率低下を証明することに失敗してしまった。
    死亡率低下のエビデンスを出していくことはハードルが高いことを改めて認識しないといけない。
    というような現実がある。

     (早期発見はある程度でき、ステージ4の発見率が下がったこと、早期に見つけたためと理解したんですが、それでも死亡率が下がらなかったのは、早く見つけても、それに対応した効果のある治療法がまだ確立してないという理解でよろしいですか?)

    この論文の考察としては、 早期発見する効果はあったけど、この程度の早期では死亡率低下には届かなかった。

    (今の治療法では)。

    おっしゃる通りで、どんな治療ができるか、とかがん自体の悪性度とか、そういったことにも影響してくる。

    ポイントとしては、これだけの大規模な試験をやることは、このスクリーニング検査をすることで死亡率が減るだろう。という明確な仮説があった上で、実施したけど、残念ながらうまくいかなかった事例です。

    という話を踏まえて、少し視点を変えて、がん検査の特性についてみていきたいと思います。

    今はすごくネガティブな結果だけれども、とはいえ新しい技術、我々のマイシグナルもそうですし、測定技術とか次世代シーケンサーで測定のコストがすごく下がっているとか、技術がどんどん上がっているので、新しい検査は次々と開発されている。

    例えばグレイル社は血液を用いて、複数のがんを同時に検出する技術を持っている。
    フリーノーム社というアメリカの会社は血液の中のDNAやたんぱく質をいろんなものを同時に見ることによって複合的に解析できる技術を持っている。
    そういったものが次々とでてきて、特にアメリカでそういった動きは活発で、いろいろなスタートアップがこういう取り組みをしています。

    資金調達額をみていただくことがあるんですけれども、2020年前後ぐらいから、ものすごく大きな資金、1000億円ぐらい集めて、 毎年コンスタントに500億〜1000億近くですね、こういった新しい検査を開発するスタートアップが資金調達している。

    プレイヤーも先ほど、グレイル、フリーノームも例に示しましたが、代表的なものだけでも、それぞれ違う技術を使って、より簡便にがんを高精度に発見しよう、といった取り組みをしている。
    しかもお金が結構ついていて、それぞれが取り組んでいる。

    やっぱりその死亡率低下が難しいという現実がある中でも、 やっぱりこういった新しい検査っていうのはすごくポジティブな話だと思いますし、どんどん開発していくべきだとで思います。

    その状況の中で、こういったプレイヤーたちは何を考えて開発しているのか、がんの早期発見する精度が高い検査を作るっていうところは、みんな共通して重要だと思う中で、臨床試験をどういうふうにデザインしているかを読み解いていって、彼らが考えていることを紐解いていこうと思います。

    グレイル社がどういった臨床研究をやっているか、 彼らは2000億円近く集めていて、ほぼ全てを臨床研究にあてているんですけれども、このCCGAスタディだったたり、ストライブスタティだったり、それぞれ臨床試験の名前なんですけれども、いろんな臨床試験があります。

    それぞれの詳細をお伝えするつもりはないんですけれども、例えば何を目的に臨床研究をやっているかというと、 例えばこのCCGAスタディであればモデルを作る、分類アルゴリズムを作るだったり、パスファインダースタディというのは、パフォーマンスを評価すると記載しているが、中身は検査で陽性とでたあとに、臨床で診断くだるまで何回検査されたっていうのを、主要評価項目として設定している。

    一番調べたいことっていうのが、ここなんですよ。
    グレイルの検査を受けた後に、何回臨床で他の検査を受けたかということを一番のエンドポイントに設定している。

    このパスファインダーが終わったあと、パスファインダー2っていうスタディをやっているが、ここで見たいのは安全性ということで、グレイルの検査をやった後に何回侵襲的な検査、例えば内視鏡だったり、生検だったりをやられているのか。

    その他評価項目をみているが、一番伝えたいことは死亡率を見ている試験では全くない、死亡率を見るはるか手前ところで、実際にこの検査の感度、特異度はどうなの、ということをこれまで調達している2000億円でやっている。

    これはすごく当然といえば当然で、あれだけ長期で見ていかないといけない、死亡率を下げるといった試験をこの段階でできるかと言えば、リスクが高すぎるし、あまり現実的なアプローチではない、さらにいうと、その手前でグレイルの検査の感度、特異度がどれくらいなのかということを実際の臨床で突き詰めないといけない。

    この傾向というのはどこの会社も同じ。

    人数を見ていくと、1万人とか10万人とか、うん万人という数を集めて、死亡率低下とは全然違うところで試験を組んでいるのが現実。
    なので、ロジカルに考えたら、死亡率低下を示さないとスクリーニング検査の意味がないというところは突き詰めて考えるとその通りかもしれない。
    ただ、大規模な試験はうまくいかなかった例もありますし、新しい検査を作っているプレイヤーがそういった試験はすぐにできるかと考えるとやっぱりまだまだ道のりは長いといった現実があるのかなと思います。

    さらに、また少し視点を変えていくと、 大腸がん検査とかの対策型がん検診に含まれているものが大変なエビデンスを作ってきたガン検査なんですが、受診率が残念ながら40%くらいしかない。
    あれだけ大変な思いをしてエビデンスを作った。これで死亡率が低下するっていうのは論理的に正しいだろうというものを作っても、40%ぐらいしか受診率がない。

    理由を見てみると、受ける時間がない、や健康状態に自信があって必要性が感じないとか、心配になったときにすぐに受診できるからとか、なぜ検診を受けないのを聞いたら、こういった答えがでてくるのは容易に想像できるかと思います。

    ここって考え方っていうのは、サイエンスとか、エビデンスとか全く違った軸で、人が受診するかしないかっていうのは存在している。
    といったことが実際の数字やデータから読み解ける。

    このがん検診の受診率が低いっていうことは非常に問題です。

    受けると、より予後はよくなると、科学的には証明されているので、国としてはみんなに受けてほしい。
    ということで、今40%前後しかない受診率を、60%まで引き上げていきますよといった、がん対策推進基本計画が3月にアップデートされて60%目指していきますよといったことが閣議決定されたりとか、 あとは受診率向上のための、いろんな策とかをハンドブックにして、各自治体に配って、受診率向上のための施策は国単位でこういったことを積極的にやっているのは事実。

    実施の中身は、先ほどの受診率向上ハンドブックには非常に面白いことがたくさん書いてある。
    すごく小さな違いで受診率が大きくかわるという事例がいくつも載っている。

    例えば、大腸がん検査を毎年受けてもらうために、今年受けたら来年もキットを送りますよ、っていうメッセージで送ると、今年受けないと来年受けられませんよっていう文言を変えるだけで、受診率が大幅に変わったり、これも例なんですけれども、あらかじめ、検査キットを送ってしまうことによって、もともとひくかった検診率が1.6倍に跳ね上がった。

    これもある意味、当然といえば当然だと思うが、 こういう受診率あげるための試みっていうのは、先程の大規模臨床とかと違った次元で起こっているのが現状。

    なので、ここでまとめをさせていただきます。

    近年の測定技術発展によって、本当に新しい検査、今までよりも、精度が高いものは次々と開発されているものの、やはり原理原則としては死亡率低下のエビデンスを作らなきゃいけないということもわかっていながらも、それ以外のことを指標にした臨床研究に対して多額の投資をしていることが、 実際に起こっている。

    やはり現実として受け止めないことは科学的なエビデンスの重要さとは裏腹に、結局どれだけ強いエビデンスを作っても、それで人が受けるわけではないことは、やっぱり我々は正面から向き合っていかないといけない現実。
    それを変える手立てっていうのは、もちろんより強いエビデンスを出していくこともそうですけど、場合によってはちょっとした工夫が、実際に受診率の向上につながって、 それががん対策に大きなインパクトを与えることは理解しないといけない。

    次ですが良い検査というのはといったことです。
    全体の勉強会のまとめに近い内容だと思いますが、がん検査は難しい。

    例えば、精度が低いから良くないとか、こっちは精度が高いからいいよ、とかいろんな話を実際に聞く。

    どれもある側面だと正しい、やはり精度が高い検査の方がいいし、早期発見できたほうがいい。
    死亡率の低下のエビデンスがないと、この検査は意味がないのではとよくきかれたりする議論もあるけれども、ただどれも、突っ込みどころはたくさんある。
    検査の難しさであったり、エビデンスの重要性と現実の話だったり、その検査があったときに人がそれを受けるかどうかっていう話だったり、どれも正しいんですけど、ツッコミどころが出てしまう。
    というのが、この検査の奥の深さだと思っています。

    これらの視点はどれも欠かすことはできない。

    死亡率の低下だけに固執してしまって、それがある検査は良い検査で、それがない検査はスクリーニングとして未熟だ、と切り捨ててしまうのもやっぱり違うと思います。
    なかなかそういったデータがでてこないので、そしたらこれだけ新しい検査が開発されているにもかかわらず、がんのスクリーニング分野は発展していかないと思う。

    こういった現実を踏まえて、どんな検査というのが良い検査かということを、われわれの考えをお話しします。

    検査の難しさは、検出されても予後がかわらなかったり、かえって、不安を煽ってしまったり、不利益を被ることがある。
    強いエビデンスを作るためには大規模な試験が必要で、 それが現実的にいつ出てくるのか、今後出てくるのかといったところはあまり楽観視できない状況です。
    しかもエビデンスを作ったとしても、ユーザーが受診するとは限らない。
    全てに関わってくるとして、その評価をどういうふうにしていくか、評価をする時にさまざまなバイアスがあって、結果の解釈自体すごく難しい領域ですということが検査の現状だと思います。

    でもその中で、やはり我々が実施している新たな検査を作るってことは意味があることだと思っている、それも早期発見できる人たちを増やしていくっていうことはすごい大事だと思う。

    ではどういった検査を我々は目指していきたいというか、条件を3つあげている。

    1つが、1人1人が死亡率低下という一律的な目標だけではなく、自分の目的に応じて、必要性を判断できる、これはその精度の話だったり、正しい理解の話だったり、いろんな要素が含まれてくるんですが、こういったいい検査で、世の中にあって、 私はこういう目的でこれが受けたい、そういう選択できる幅っていうのを持たせるっていうことが重要だと思っている。

    さらに重要な点としては手軽さ、ハードルをしっかり下げること、どうやってがん検査を受けるかであったり、自分ががんに対して意識を向けられるかも含めてですけれども、受診であったり、そのがんと向き合うというハードルをいかに下げるところもポイントと考えます。

    さらに、この結果の解釈の難しさというところもあるんですけれども、そこも含めて、検査を受けた人が、次どうしたらいいのかということをしっかり明確に示されて、結果がこうだったから私は次この病院にいって、専門の先生にみてもらうだったり、そこから確立された医療だったり、治療法もどんどん発展しているので、より早く治療に辿り着けるように動線がしっかりしていて、発展している医療の中に、しっかり組み込まれるようなネクストステップが明確になっていることが非常になっていると考える。

    こういった背景を踏まえて、良い検査はこのような検査なのではと思って我々は研究開発を進めている。

    そこで、マイシグナルを今の前提を踏まえて、改めてご説明させていただくと、マイシグナルは尿で測れる検査で、ポイントとしては簡単に検査キットを購入していただいて、自宅で採尿して、それを送るだけで、検査が受けられるという関連性は重視している。

    ・血液ではなく、尿にすることでここのハードルっていうのは極限まで下げることができる。
    ・マイシグナルは7つのがん種を同時に受けることができるので、 今までの検査にない。

    例えば、肺がんだったら胸部レントゲンをとったり、胃がんだったらバリウム検査だったり、といったさまざまな検査っていうのを別々に受ける必要がない。

    尿中のマイクロRNAという注目が集まっているバイオマーカーを使った新しい検査です。
    といったのがマイシグナルの特徴になっております。

    結果表も手元にあると思うんですが、改めて簡単にご紹介させていただきます。

    医療の中でどういう位置づけなのか、という連動性というのを非常に重要視しております。
    ただマイクロRNAを測って、それによるがんリスクを返すだけではなく、この検査というのは、マイクロRNAを使ったリスクと、あとはパーソナルがんリスクと呼んでいる、それぞれの受診された方の個別の遍歴や生活だったり、年齢だったりを踏まえて、がんのリスクを2軸で判定している。

    マイクロRNAリスク、横軸に関しては、尿中のマイクロをRNAはかることによって、がんの方は健常者。
    と違った尿中マイクロRNAのプロファイルを見ていて、その違いを機械学習で学習して、どっちに近いかということで、あなたのがんのリスクはどれぐらい高いんだ、っていうのをかえしていくのが横軸です。

    縦軸のパーソナルリスクスコアというところも、例えば、乳がんの例なんですが、喫煙しているのか、運動しているのか等の、乳がんのリスクを高めると知られているものがどれくらいあてはまるのかというのが、それによってその人の持っているリスクがどれだけあるのか、というところを2軸で判定して、この2次元の中のどこに位置するか判定している。

    ポイントとしては、こういったところのがんの診断する時は一つの検査結果だけを見てあなたはがんですというわけではなく、確定診断する時もその方がどういったリスクを持っているのか。
    例えば、タバコを吸っているのであれば、がんの可能性が高い。
    医師はそういった情報を含めて総合的に判断するんです。
    そこに関しても、そのまま役に立つ情報があるので、医療機関との連携がスムーズという側面もある。

    その結果を受けて、各がん種ごとに、例えば、あなたは高リスクなので、次はこのような追加検査を受けてください、追加検査を受けられるところはこういったところ、どれくらいの頻度で検査をした方が良いかも明確にしている。

    なので、ネクストステップっていうのが必ず明確になるように設計している、かつそれががん種ごとに指針を出している。単純にがんのリスクが高い、低いだけを示すだけではなく、例えば肺がんに関してはリスクが高いのでこの追加検査を受けてください、ただ胃がん大腸がんに関しては今のところはリスクが高くないので、毎年の定期検診をしっかり受けてくださいのように、各がん種ごとに、 こういった指針を出すことができる。

    例えば検査を受けて、どこかにがんがある、と言われた時に次どうすれば良いかのか、わからないということになってしまうことになると、検査をすることで、かえって困ってしまう。
    なので、そうならないように各がん種ごとに、明確にネクストステップを示すといった検査のデザインになってます。

    先ほどとスライドと一緒であるんですが、この勉強会3回にわたっての総合的なまとめとしては、 検査の難しさや色々な側面のお話をしてきましたが、それを踏まえて、現実がある中で、がん検査としてどのような検査を作っていくことが社会を変えていくだったり、人々が天寿を全うできる社会を実現できるのか、突き詰めて考えた時に、1人1人のために、我々は質の高い検査を作っていって、それが選べる状況にする。

    できるだけ手軽に、受診率のハードルってのは、やっぱりすごく根が深いと思っていて、そのハードルを極限まで下げる。

    そして受けた後に、しっかりと医療の中に、つなげていく、適切な治療、検査にいち早くつなげていくことを考え検査を開発している。

    マイシグナルの結果表だったり、会社のR&Dの考え方だったり、こういった現実を踏まえて、取り組んでいますというご紹介でございました。

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