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【対談】島根県美郷町×Craif:全国初、尿がん検査「マイシグナル」公費導入で目指す健康寿命の延伸と新しい社会モデル
- 公開日: 4/16/2026
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- 最終更新日: 4/20/2026

島根県美郷町は、尿がん検査「マイシグナル」の自治体公費補助による導入を、全国の自治体で初めてスタートさせました。高齢化と医療アクセスの課題を抱える美郷町が、なぜ最先端技術の導入を決断したのか。美郷町の嘉戸町長と、マイシグナルを提供するCraif株式会社 CTOの市川が対談を行いました。

\早期発見の難しいすい臓がんも対象/
「尿」で10種のがんリスクを判定!
マイシグナル・スキャン
日本のがん死亡数の約8割を占める10種類のがん※を個別にリスク判定します。尿中のマイクロRNAをAI解析技術が評価され、すでに全国2000軒の医療機関でも導入されています。
- ※国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
目次
中山間地域における「医療アクセスの壁」とがん早期発見への思い
Craif株式会社 CTO 市川 裕樹(以下、市川):
まずは嘉戸町長に、美郷町が現在どのような課題を抱えているのかお伺いできればと思います。
島根県 美郷町長 嘉戸 隆様(以下、嘉戸町長):
美郷町は高齢化率が48%を超えており、全国の中でも高齢者が多い町です。島根県は長寿の県として知られていますが、当町はその中でも有数の長寿の町であり「長寿県長寿町」と言えます。
一方で、死因に占めるがんの比率は全国平均や県平均と比べても高いため、健康寿命を延ばし、天寿を全うしていただくためには、やはりがんの「早期発見・早期治療」が重要になってくると考えています。
がん検診の受診率は国の目標値を下回る水準で推移しており、最大の課題はがんの早期発見、つまり受診率を高めることだと捉えています。
市川:
がんの検診率が低いという現状の背景には、どのような事情があるのでしょうか?
嘉戸町長:
がん検診の受診率が低い背景には、医療アクセスの制約が一つの要因として考えられます。美郷町は島根県の山間部に位置しており、交通の便があまり良くありません。また、町内には総合病院がないため、集団検診の実施日に都合がつかない場合には、町外の医療機関まで出かけなければならない状況にあります。
大田市や出雲市、あるいは広島県の三次市の総合病院まで、片道1時間程度はかかりますので、特に働き盛りの40-50代の方は、日頃のお忙しさから受診率が低いという傾向も見てとれます。
市川:
片道1時間となると、手軽に受診できる環境とは言い難いですよね。実際に全国のさまざまな自治体とお話ししていますが、やはり医療アクセスに課題を持たれている自治体は多く、美郷町様と同じような課題感を抱えていらっしゃるのを感じます。そういった意味でも、今回の取り組みが全国の良いモデルケースになればと考えています。
嘉戸町長:
おっしゃる通りです。全国の中山間地域や離島に共通する課題だと考えています。

健康寿命を延ばしたい、現場の熱意に応えた町長の即断
市川:
今回、当社のマイシグナルの導入を決断された背景をお伺いできればと思います。
嘉戸町長:
発端は、2024年の町議会での一般質問でした。ある議員から「早期すい臓がんの検出性能に優れた尿検査があると聞くが、これを町の検診に追加できないか」という提案がありました。
それがベースにあり、健康福祉課のスタッフも日頃から、受診率向上にむけた検診の在り方に様々な問題意識を持っており、「少しでも手軽に健診を受けてもらい、受診率を上げたい」、それが健康寿命の延伸にも繋がると考えてくれ、Craifさんへ直接連絡を取らせていただきました。
協議を進める中で「ぜひ公費補助をしてでも、このサービスを町民が気軽に受けられるようにできないか」という要望が上がりました。それならばお金の問題ではない、ぜひやろうと考え、最終的に私のもとへ話が来た際には即断しました。

市川:
美郷町では他にもさまざまな先進的な取り組みをされていますが、やはり即断即決で進められているのですね。
嘉戸町長:
トップに立つ人間がもたもたしていると、組織全体がもたもたしてしまいますからね。やるかやらないか、右か左かという判断は、できるだけはっきりと指示するようにしています。もちろん間違えることもありますが、間違いに気づけば軌道修正を柔軟に行えばよいので、その点は合わせて心がけています。
市川:
私たちのようなスタートアップと同じ考え方ですね。間違えても軌道修正すればいい、とにかく即断即決するという点は、まさにスタートアップのトップに必要なマインドセットです。そういった部分でもシンパシーを感じていただけたのかもしれません。
手軽で高精度ながんリスク検査で、住民の健康意識の変容を促す
市川:
今回、具体的に町内のどのような方に、この公費補助プロジェクト(※1)を利用していただきたいとお考えでしょうか。
嘉戸町長:
今回は対象を40歳から74歳までに設定しています。特に受けてほしいのは、働き盛り世代である40代、50代です。検査を受ける時間が限られている人も多く、がんの進行も早い年代であるという理由からです。そのため、手軽に受けられ、かつ自分の健康状態が具体的に分かるこの検査を通じて、自分の体を守る行動につなげてほしいと考えています。
ただ、当町には以前から特定健診の受診率が低い傾向にあるという大きな課題がありました。まずは基本として特定健診を受診していただきたいという思いがあり、マイシグナルを受ける条件は「特定健診を受診される方の中で希望される方」という立て付けにしています。
市川:
マイシグナルをきっかけに、まずは行動を起こしていただくということですね。
今回導入いただいた「マイシグナル」は、尿から簡単にかつ高精度にがんのリスクを評価できる検査です。美郷町の現状に対しても、やはりこれまでの検査と一線を画す「手軽さ」で貢献できると考えています。
尿を採取するだけで、体に負担なく検査できる点に加えて、一度の検査で、10種(※2)のがんを部位ごとに、かつ早期のステージから感度高く検出できる点も大きな特徴です。
この受診ハードルの低さと精度の高さは、これまで健診から足が遠のいていた方々の受診行動や、健康に対する意識を大きくアップデートできる技術です。実際に住民のみなさまの健康への行動が変わっていくきっかけになれば、非常に意義があると考えています。
嘉戸町長:
さらに本プロジェクトは町の助成だけではなく、地元企業の中には従業員向けに独自の追加補助を行うところもあり、行政×医療機関に加え×地元企業も参画した取り組みとなりました。
- ※1 島根県美郷町在住の40〜74歳の方を対象に、令和8年度の特定健診(人間ドック・職場の健診を含む)を受診される方の中から抽選で100名に、公費補助で自己負担分を大幅軽減し、マイシグナル検査を提供します。町内2カ所の診療所で手軽に受検でき、検査結果でリスクが高いと判定された方には、専門医療機関での追加検査まで一貫してサポートするプロジェクト
- ※2女性は前立腺がんを除く9種、男性は乳がん・卵巣がんを除く8種が検査対象

自治体 × 日本発のバイオAI技術で、世界をリードする社会モデルへ
市川:
最後に、今回のプロジェクトを通して美郷町をどのような町にしていきたいかお伺いできますか。
嘉戸町長:
町としては、特定健診やがん検診の受診率を上げ、町民の皆様の健康寿命を延ばすこと、そして、早期発見・早期治療によって町全体にかかっている医療費の抑制を目指していきたいと考えています。
これまで医療アクセスが限られている自治体においてはどうしても物理的な制約がありましたが、マイシグナルは、この制約を払拭する画期的なサービスだと期待しています。美郷町が積極的に行動することが、ひいては日本全国の同じような立場にある自治体にとっての、一つの大きな解決策になってくれればと願っています。
市川:
がんは世界共通の課題ですし、高齢化は全国の自治体で進んでいます。美郷町を皮切りに、同じように困っている方々や課題に感じている方々の力になれるプロジェクトに育てていきたいです。
私たちとしても、日本発の技術であるという点は大きな強みだと考えています。長寿社会が進む日本で新しい社会モデルを作り、それを世界の標準にしていくことに本気で取り組んでいます。今回のプロジェクトを通じ、美郷町のみなさんの健康に役立てていただければと思います。

嘉戸町長:
Craifさんが「世界に発信していく」という高い目標を持たれていることに、敬意を表します。日本は高齢化が進み、世界でも類を見ない未知の社会に突入しています。これを衰退途上国と捉える厳しい時代認識も必要ですが、裏を返せば、超高齢社会はアンチエイジングや長寿といった分野で世界をリードできる数少ない領域だと思います。
ぜひ日本発の技術を磨き、それを世界中へ広めていってください。我々も一緒になって取り組んでいきたいと考えています。
町民のみなさまにお伝えしたいのは、「マイシグナルで病気が見つかったらどうしよう」と恐れず、まずは気軽に検査を受けてみてほしいと思います。“がん”や糖尿病などの生活習慣病は、進行してから見つかると、治療が長引き、身体や心、経済面での負担も大きくなりがちです。症状が出る前に見つけることは、命を守り、これまでの生活の質を保つだけでなく、自分自身と家族の安心にもつながります。症状がない今こそ、早めの検査を検討し、ぜひ試していただきたい。それが一番の思いです。
- ※マイシグナルシリーズは医療機器ではありません。解析した情報を統計的に計算することによりリスクを判定するものであり、医療行為としてがんに罹患しているかどうかの「診断」に代わるものではなく、リスクが低いと判定された場合でもがんが無いまたは将来がんにかからないとは限りません。
\早期発見の難しいすい臓がんも対象/
「尿」で10種のがんリスクを判定!
マイシグナル・スキャン
日本のがん死亡数の約8割を占める10種類のがん※を個別にリスク判定します。尿中のマイクロRNAをAI解析技術が評価され、すでに全国2000軒の医療機関でも導入されています。
- ※国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
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この記事の監修者

博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。アストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。
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