がんの症状
膀胱がんの初期症状は?似ている疾患との見分け方も解説
- 公開日: 8/25/2025
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- 最終更新日: 8/25/2025

「血尿が出た」
「頻尿や排尿時の違和感が続く」
そのような症状が気になったとき、「膀胱がんかもしれない」と不安を感じる方も少なくないでしょう。
膀胱がんの症状は膀胱炎や前立腺肥大などの疾患と似ており、自分で判断するのは簡単ではありません。
そこで本記事では、膀胱がんの主な症状やリスク因子、他の疾患との見分け方について詳しく解説します。
自分の症状が膀胱がんによるものなのか気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
膀胱がんとは?

膀胱がんは膀胱の内側に発生するがんで、90%以上が膀胱の内壁に発生する尿路上皮がんです。
尿路上皮がんは、がんが膀胱の壁にどれほど深く広がっているかによって、「筋層非浸潤性がん」と「筋層浸潤性がん」にわけられます。

引用:国立がん研究センター がん情報サービス 膀胱がん 治療
がんが膀胱の筋層に浸潤しているかどうかによって、治療方法や予後が大きく異なります。
尿路上皮がん以外に、扁平上皮がん・腺がん・小細胞がんなども存在します。
膀胱がんの原因とリスク因子
膀胱がんは男性に多くみられ、とくに60歳以上の高齢者は発症リスクが高い傾向です。
膀胱がんの主な原因は喫煙であり、喫煙者は非喫煙者に比べて膀胱がんのリスクが数倍高いとされています。
また、染料や樹脂製品、薬品などの製造に使用されていた「ナフチルアミン」「ベンジジン」「アミノビフェニル」などの化学物質による暴露も、膀胱がんのリスクを高めます。
*国立がん研究センター がん情報サービス 膀胱
*国立がん研究センター がん情報サービス 膀胱がん 予防・検診
膀胱がんで現れる2つの症状

膀胱がんで現れる症状は、主に「血尿」と「排尿時の違和感」の2つです。
膀胱がんに不安を抱いている方は、あてはまる症状がないかチェックしてみてください。
血尿
膀胱がんの代表的な症状は、痛みを伴わない血尿です。
血尿は尿に血液が混じる状態で、目視で確認できる場合もあれば、顕微鏡でしか発見できないこともあります。
がん細胞が粘膜や膀胱壁内の血管を傷つけることが原因です。
血尿は継続的に出ることもあれば、一度出た後しばらく現れないこともあるため、そのまま放置してしまうケースも少なくありません。
排尿時の違和感
膀胱がんのある場所が尿道に近い場合、腫瘍が膀胱を圧迫したり、尿道を狭めたりすることで、排尿時に不快感が生じることがあります。
具体的には、以下のような症状が現れます。
- 排尿時の痛み
- 残尿感がある
- 尿意を我慢できなくなる
- 尿が出にくくなる
しかし、これらの症状は膀胱炎・尿路結石・前立腺肥大症・前立腺がんなど、他の尿路系の疾患とも共通しています。
膀胱がんが疑わしい症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
初期段階の膀胱がんでは症状がないケースもある
初期段階の膀胱がんでは、症状がほとんど現れないことがあります。
膀胱の内壁に小さながん細胞が発生しても、周囲の組織に広がっていない場合、わかりやすい症状が出にくいためです。
この段階では、がんが膀胱の壁を圧迫したり、血管を傷つけたりすることが少ないため、目視でわかるような血尿や排尿時の違和感といった症状も感じにくいでしょう。
膀胱がんは進行するにつれて症状が現れやすくなりますが、初期段階で発見することで治療の選択肢が広がり、予後もよくなります。
少しでも異変を感じたら、自己判断せず早めに医療機関を受診するようにしましょう。
膀胱がんと症状が似ている3つの疾患との見分け方
膀胱がんと症状が似ている疾患として、以下の3つがあります。
- 膀胱炎
- 前立腺肥大
- 尿路結石
膀胱がんの症状と似た疾患について知り、違いを明確にしましょう。
膀胱炎
膀胱炎は膀胱の内壁が炎症を起こす病気で、多くは細菌感染によって引き起こされますが、膀胱がんと症状が似ていることがあります。主な症状は血尿・排尿時の痛み・頻尿・残尿感・尿の濁りなどです。
膀胱炎では、排尿時に痛みを伴うことが多いですが、膀胱がんでは痛みが伴わない血尿が主な症状となります。
膀胱炎の症状を何度も繰り返す場合は、膀胱がんとの区別が難しいこともあるため、医師による検査が必要です。
*JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015―尿路感染症・男性性器感染症―(P4)
前立腺肥大
前立腺肥大は、とくに高齢の男性に多い疾患で、前立腺が大きくなることで尿道を圧迫し、排尿障害を引き起こします。
主な症状は、急に起こる強い尿意・尿の勢いが弱い・頻尿・残尿感などです。
膀胱がんの症状である排尿時の違和感と似ていますが、膀胱がんでは血尿が見られる点が前立腺肥大とは異なります。
* 日本泌尿器科学会 男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン(P42-43)
尿路結石
尿路結石は、腎臓から尿道までの尿路に石ができる疾患です。
主な症状として、血尿のほか、特に尿管に発生した場合には激しい腹痛が起こります。
尿路結石は石が尿路を通過する際に激しい痛みを伴う血尿が現れますが、膀胱がんによる血尿の多くは痛みを伴わないため、性質が異なります。
膀胱がんの検査方法
膀胱がんの検査には、主に以下の5つの方法があります。
- 尿検査
- 膀胱鏡検査
- 画像検査
- TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
- 腫瘍マーカー
それぞれの特徴について解説しているので、参考にしてみてください。
尿検査
尿検査は、膀胱がんの早期発見において重要な検査です。
膀胱がんを疑う際には、尿潜血検査と細胞診の2つの検査を行います。
検査 | 概要 |
尿潜血検査 | 尿中に血液が混じっていないか調べる |
細胞診検査 | 尿中の細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞が含まれていないか調べる |
尿検査は痛みがなく、比較的簡単であるため、膀胱がんを疑う場合に最初に行います。
尿検査で血尿やがん細胞が見つかった場合、さらに詳細な検査を行い、膀胱がんの有無を確定します。
膀胱鏡検査
膀胱鏡検査は、膀胱の内部を直接観察するための検査です。尿道を通して細長いカメラを膀胱に挿入し、がんの疑いがある部位を詳細に観察します。
膀胱鏡検査では、膀胱内の異常をリアルタイムで確認できます。がんがある場合、どの程度広がっているかも正確に把握可能です。
検査は通常、外来で局所麻酔を使用して行います。痛みはほとんどありませんが、多少の不快感があることもあります。
膀胱鏡検査は診断だけでなく、治療方針を決定するためにも欠かせない検査です。
画像検査
膀胱がんの進行度や転移の有無を調べるために、以下のような画像検査を行います。
画像検査 | 概要 |
腹部超音波検査 | 超音波を使用して膀胱や周辺の臓器をリアルタイムで観察できる痛みがなく、非侵襲的な検査であるがんの大きさや形によっては検出できない場合がある |
CT | X線を使って体の断面画像を作成し、がんの広がりや転移を確認できる尿路造影を用いることで、尿路全体の状態もチェックできる膀胱がんが筋層に広がっている場合、転移の有無を確認するため全身のCT検査も行う |
MRI | 強力な磁場とラジオ波を用いて体の内部を詳細に画像化できる膀胱がんが筋層に及んでいる場合に、がんの深達度を調べるために行う骨盤内のリンパ節に転移がないかも調べられる |
これらの画像検査は、膀胱がんのステージを決定し、治療方針を選定するための重要な判断材料となります。
TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)
TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)は、診断と治療を目的に行う内視鏡手術で、ほとんどの膀胱がんにおいて実施する処置です。
尿道から内視鏡を挿入し、電気メスを使ってがん組織を切除します。切除した組織から、がんの深達度や性質を正確に把握できます。
TURBTは全身麻酔または腰椎麻酔の下で実施し、入院期間は通常数日から1週間程度です。
腫瘍マーカー
腫瘍マーカー検査は、膀胱がんの診断補助や治療経過を追うために用いる検査です。
膀胱がんの場合、尿中に含まれる「NMP22」や「BTA」などの腫瘍マーカーを測定します。
腫瘍マーカーは、がんが進行するにつれて値が上昇することが多いですが、高いからといって必ずしもがんがあるとは限りません。
腫瘍マーカーはあくまで補助的な役割を担う検査であるため、膀胱がんの診断には、他の検査と組み合わせることが不可欠です。
経過観察という選択肢について
膀胱がんは、自己判断で経過観察を行うと、がんの進行を見逃してしまう可能性があります。
症状が現れてから病院を受診しても、すでにがんが進行している場合、治療の選択肢が狭まることもあるでしょう。
膀胱がんは治療を早期に行うほど予後が良好であるため、自己判断は避けて医療機関を受診することが大切です。
自宅でできるがんリスクチェック「マイシグナル・スキャン」
病院を受診するほどの症状はないものの、がんに対して不安を感じている方も少なくないでしょう。
そのような場合は、がんリスクをチェックする方法として「マイシグナル・スキャン」を活用するのもひとつの選択肢です。
マイシグナル・スキャンは、自宅で簡単にがんリスクをチェックできる尿検査です。
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「マイシグナル・スキャン」は、忙しくて定期的な検診を受ける時間がない方や、がんに対する不安を感じている方におすすめです。
※ 卵巣がん・乳がんは女性のみ、前立腺がんは男性のみ検査対象となります。
\すい臓がんもステージ1から/
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- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
膀胱がんの初期症状でよくある質問
膀胱がんの症状に関して、よくいただく質問に回答します。
- 膀胱がんでの性特有の初期症状はありますか?
- 膀胱がん発見のきっかけとなる症状はなんですか?
- 膀胱がんは治療しないとどうなりますか?
膀胱がんについて正しく理解し、根拠のない不安を解消しましょう。
膀胱がんの女性特有の初期症状はありますか?
膀胱がんの初期症状において、とくに女性に特有の症状はありません。
しかし、女性は膀胱炎になりやすいため、排尿時の痛みや頻尿といった症状が膀胱がんと重なることがあります。
膀胱がんの場合、痛みを伴わない血尿が主な症状ですが、膀胱炎では痛みを伴う血尿が出現する点が異なります。
膀胱がん発見のきっかけとなる症状はなんですか?
膀胱がんの発見のきっかけとなる症状で最も多いのは、痛みを伴わない血尿です。
排尿時の違和感や頻尿、残尿感なども、膀胱がんの症状として現れることがあります。
しかし、これらの症状は膀胱炎や前立腺肥大症などの疾患にも共通して見られるため、膀胱がんとの区別が難しいことがあります。
膀胱がんは治療しないとどうなりますか?
膀胱がんを放置すると、進行して周囲の組織やリンパ節、さらには遠隔臓器に転移することがあります。
進行したがんは治療が難しくなり、痛みや排尿困難などの症状が悪化します。治療せずに放置すると、膀胱の機能が失われるだけでなく、全身への転移により生命予後も悪化するでしょう。
適切な治療を受けて予後をよくするためにも、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
“まだ病院に行くほどではない”という方の安心のために
初期段階の膀胱がんは、自覚症状がほとんど現れないことも多く、血尿や排尿時の違和感があっても「まだ様子を見てみよう」と考える方も少なくありません。
しかし、膀胱がんは早期の発見・治療が予後の改善につながるため、気になる症状がある場合は自己判断で放置せず、まずは専門医に相談することが大切です。
忙しくてすぐに病院に行けない方や、検査を受けるほどではないけれど不安を感じている方には、自宅でできるがんリスク検査「マイシグナル・スキャン」の活用もおすすめです。
膀胱がんをはじめとするさまざまなリスクに備えて、自分の体と向き合い、早めの行動を心がけましょう。
\すい臓がんもステージ1から/
尿でがんのリスク検査
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尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める7つのがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。
- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
この記事の監修者

近藤理美
臨床検査技師 医療ライター
急性期病院で8年間臨床検査技師として勤務。
自身の臨床経験と確かなエビデンスを元に、医療メディアを中心として記事を執筆