活用事例
マイシグナル®医療機関導入事例「北青山D.CLINIC」- ノーベル賞でマイクロRNAに脚光。リキッドバイオプシーを診療の差別化につなげる。
- 公開日: 1/14/2025
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- 最終更新日: 1/15/2025
開設24年の北青山D.CLINIC(東京都渋谷区)は、EUS(超音波内視鏡)など最先端の機材を導入し、がんの遺伝子治療や再生医療、のべ42,000件以上の日帰り手術まで幅広く対応(2024年10月末時点)。「医療にイノベーションを」を理念に、予防医療や先端医療の構築に取り組んでいます。
血液・尿・唾液などの体液サンプルを用いてゲノム解析を行う「リキッドバイオプシー」に注力する中、2022年にマイシグナルを導入しました。
今回は、北青山D.CLINIC院長の阿保義久氏に、導入の経緯や活用方法についてお話を伺いました。
ノーベル賞きっかけに発信強化
──マイシグナルを導入したきっかけを教えてください。
阿保氏:もともと他社のマイクロRNA検査を導入していたのですが、検査の受託ができなくなったとの連絡があり、切り替え先を探していました。
当院の患者様は、医療従事者をはじめとしたリテラシーの高い方々やセカンドオピニオンを求めて来院する方が少なくありません。先端医療を提供するため、「治療の合理性」「検査の限界」についてしっかり説明することを重視しています。
マイシグナルについては、感度や特異度など検査の信頼を担保するための情報を問い合わせた際、迅速かつ明確にご回答いただけたことが採用につながりました。数多くの検査がある中、エビデンスが整っている印象で、検査の設計に対してもこだわりを感じました。
──血液・尿・唾液などの体液サンプルを用いてゲノム解析を行うリキッドバイオプシーに注力されているとのことですが、マイシグナル導入もその一環でしょうか。
阿保氏:はい、約20年前からリキッドバイオプシーの検査体制を整備し始め、近年患者様からのニーズも増えています。2024年のノーベル生理学・医学賞にマイクロRNA分子発見の研究が選ばれたこともあり、10月30日にプレスリリースを発表。その中で「網羅的ながん予防・早期診断・治療体制」のフローチャートとともに、マイシグナルをはじめとした当院のリキッドバイオプシー検査の体制について触れました。
まさにノーベル賞受賞は追い風だと感じました。すべてのリスクをクリアにできる検査ではありませんが、予防医療を一般的なものとして定着させるきっかけにしたいと考え、情報発信を強化しています。
最初の検査ハードルが下がり、診療の差別化に
──マイシグナル導入後、反響はいかがですか。
阿保氏:がんに関する検査の第一歩として、患者様にとって最初の検査に対する抵抗が少なくなった印象です。「マイシグナルなら検査してみようかな」とか、検査を嫌がっていた旦那様を奥様が連れてきて「これなら受けられるでしょ」と背中を押したこともありましたね。
当院ではEUS(超音波内視鏡)を導入した「膵臓がんドック」など、先端的な検査を提供しているものの、こうした検査に伴う生活制限や苦痛をハードルと感じる患者様もいらっしゃいます。その点、マイシグナルは非常に迅速かつ時間的、身体的な負担感が少ない検査でもあるので、 案内しやすいです。
また、検査項目の差別化にもつながっています。当院の検査体制として、網羅的にがんリスクを判断できるマイクロRNA検査のメニューがあるのは大きな強みです。なお、一番ご要望をいただくのは、5〜7種のがん種別についてリスク検知するパッケージです。
──患者様にどのようにマイシグナルをおすすめしていますか。
阿保氏:待合スペースの画面にリキッドバイオプシーを説明する動画を流したり、パンフレット・掲示物を設置したりしています。「動画を見たのですが」と興味を持っていただくことは多いですね。
おすすめする際に気をつけていることは、正しくスクリーニング検査の特徴を伝えることです。患者様には最低でも15分程度かけて説明します。特異度などのデータについても「数ある検査の中では高い数値だとしても、すべてが分かるわけではない」とお伝えしています。
検査は、ある程度重ね合わせることによって精度が高まっていきます。「マイシグナルで問題がなかったからほかの検査をしなくていい」という考え方に帰結するリスクもあるわけで、我々としても注意しています。
加えて、受検後の患者様には結果レポートの表紙に医師の「総括」を付帯したものを渡し、生活習慣へのアドバイスや今後の方針などを伝えるようにしています。
マイシグナルをきっかけに、がん検査の意識向上へ
──今後、検査後のフォロー体制についてはどのような運用を目指していますか。
阿保氏:幸いなことに、がんの診断フローにのるケースは発生していません。がんに関わる最初の検査のきっかけとしていただけることは、とても意義があります。一般的な画像検査で分かりにくいすい臓がん、卵巣がんについても検知できる点も魅力です。
今後はマイシグナルを入り口として人間ドックを受診いただくことや、保険診療での治療まで提案するケースが増えることも想定しています。患者様の健康を守るため、検査を継続、反復しやすい体制を充実させていきたいと考えています。
──最後に、マイシグナルの活用について、今後の展望を教えてください。
阿保氏:当院においても、一人ひとりにより意義のある医療を提供するため、引き続き予防医療・定期検診を重視していきます。より検査できるがん種が増えること、感度・特異度を含めた検査レベルのさらなるブラッシュアップにも期待しています。
──貴重なお話をありがとうございました。
この記事の監修者
水沼 未雅
博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。アストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。