がん検査
CA19-9が高値=がんではない!偽陽性の原因と実際のがんリスクを解説
- 公開日: 6/30/2025
- |
- 最終更新日: 6/30/2025

健康診断や人間ドックで「CA19-9の数値が高い」といわれ、不安になった方も多いのではないでしょうか。
腫瘍マーカーと聞くと「がんかもしれない」と考えてしまうのも無理はありません。
ですが、CA19-9はがん以外の疾患でも高くなることがあり、“高値=がん”とは限りません。
本記事では、CA19-9の偽陽性の原因や実際にがんである確率、がんの早期発見におすすめの自宅でできるがんリスクチェックについて解説します。
CA19-9の値が高くて悩んでいる方は、参考にしてみてください。
目次
CA19-9とは?基準値と高値が示す可能性
CA19-9とは、膵臓・胆道系のがんの診断補助や治療経過の観察に用いられる腫瘍マーカーです。
膵管などの上皮細胞が分泌する糖鎖抗原の一種であり、血液検査で濃度を測定します。健康な人のCA19-9値は通常37 U/mL以下ですが、がんやその他の疾患があると値が高くなることがあります。
CA19-9の値と、疑うべき疾患の関係は以下の通りです。
値が高くなることがあります。
CA19-9の値と、疑うべき疾患の関係は以下の通りです。
CA19-9の値(U/mL) | 疑われる疾患 |
~37(正常範囲) | なし |
37~50(軽度上昇) | 膵炎・膵嚢胞・胆石症・胆管炎・糖尿病・肝炎・肝硬変・子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫 |
50~100 (中等度上昇) | 膵炎・膵嚢胞・胆石症・胆管炎・肝炎・肝硬変・子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣嚢腫・気管支拡張症・気管支嚢胞・肺結核・膵がん・胆道がん・胃がん・大腸がん・肝がん・卵巣がん・子宮体がん・乳がん・肺がん |
100〜(高度上昇) | 胆石症・胆管炎・卵巣嚢腫・気管支拡張症・気管支嚢胞・溶連菌感染症・膵がん・胆道がん・胃がん・大腸がん・卵巣がん・進行肺がん |
とくに、がん細胞では分泌が増える傾向にあるため、CA19-9が100 U/mL以上である場合、がんである可能性は相対的に高くなりますが、CA19-9の結果だけでがんと確定することはできません。
CA19-9の値が高くても、他の検査結果や症状と合わせて総合的に判断する必要があります。
*富士フイルム和光純薬株式会社「CA19-9」
CA19-9が偽陽性を示す原因
CA19-9は、がんだけでなく他の疾患でも高値を示すことがあります。
CA19-9が偽陽性を示す原因として、以下のような疾患があります。
- 膵炎
- 胆管炎
- 閉塞性黄疸
- 胃炎
- 肝炎
- 肝硬変
- 子宮内膜症
- 卵巣囊腫
そのため、CA19-9の結果だけでがんと確定することはできません。
CA19-9のがん診断における役割
CA19-9のがん診断における役割は、主に以下の3つです。
- がんの補助的診断
- 治療効果のモニタリング
- 再発の早期発見
CA19-9ががん診断においてどのような役割を果たすのか、具体的に解説します。
がんの補助的診断
CA19-9は、膵臓がん・胆道がん・大腸がん・胃がんような消化器系がんの診断の補助として利用されます。
CA19-9の高値はがん以外の疾患でも見られるため、それだけでがんだと確定することはできません。
検査結果はあくまで参考であり、最終的な診断にはCTやMRI、内視鏡検査など他の検査と組み合わせて評価する必要があります。
治療効果のモニタリング
CA19-9は、がんの治療効果をモニタリングする際にも使用されます。
治療がうまく進んでいる場合、CA19-9は低下します。
逆に、治療後にCA19-9の値が上昇している場合はがんが進行している可能性が高いと考えられ、さらなる検査や治療計画の見直しが必要になります。
*広島大学 第一外科「【膵臓の病気】膵癌(すいがん)教室 on the web 5」
再発の早期発見
CA19-9は、治療後の再発を早期に発見するために活用される場合もあります。
治療が成功して一時的にがんが消失しても、時間が経つと再発するリスクがあります。
がんが再発する際にCA19-9は上昇するため、定期的な検査を通じて再発の早期発見が可能です。
経過観察として定期的にCA19-9を測定することで、早期に治療を開始することができます。
CA19-9が高値のとき「がん」である可能性
CA19-9の値が基準値より高いからといって、がんであるとは限りません。
人間ドック受診者を対象とした研究では、CA19-9が陽性であっても実際にがんである確率はわずか2.5%、とくに膵臓がんに関しては1.25%と報告されており、非常に低い値です。
そのため、CA19-9が高値を示しても、心配しすぎる必要はありません。
医療機関で医師の指示のもと、追加の精密検査を受けることが大切です。
*人間ドック30:22-29,2015「人間ドック受診者における腫瘍マーカーCA19-9高値例の検討」
CA19-9が高値のときに推奨される検査項目
CA19-9の値が高く膵臓がんなどの可能性を示唆する場合、医師が追加検査を提案することがあります。
具体的には、下記のような検査を受けることになります。
大腸がんの検査 | 全大腸内視鏡検査やX線検査 |
肺がんの検査 | 胸部CT・気管支鏡検査 |
胃がんの検査 | 内視鏡検査 |
膵臓がんの検査 | CT・MRI・超音波内視鏡(EUS)・内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP) |
卵巣がんの検査 | 腹部の触診や内診*・超音波検査・CT・MRI検査 |
乳がんの検査 | 視診(肉眼での確認)・触診(乳房を触って確認)・マンモグラフィ・超音波検査 |
*内診 子宮や卵巣の状態を、腹部の触診や、腟から確認する診察
また、より正確な診断を行うために、以下のような他の腫瘍マーカーを併用する場合もあります。
腫瘍マーカー | 上昇する場合のあるがん |
Span-1 | 膵臓がん、胆のう・胆道がん |
Pivka-II | 肝臓がん |
P53抗体 | 乳がん、大腸がん、食道がん |
がんの診断を確実にするためには、CA19-9の値だけではなく、他の画像検査や他の腫瘍マーカーと組み合わせて総合的に評価する必要があります。
精密検査の結果、がんの可能性を完全に否定できない場合や、経過観察が必要と判断された場合は、CA19-9の定期的なモニタリングが行われこともあります。
CA19-9はがんの早期発見には不向き
CA19-9の検査は、がんの早期発見には向いていません。
とくに膵臓がんの場合、初期段階では値が正常範囲内であることが多く、CA19-9のみでがんを早期に発見することは難しいです。
また、日本人の約10%が該当するルイス式血液型が(Lewis a-b-)の人は、がんに罹患していてもCA19-9が高値にならず、腫瘍マーカーとしての役割を果たしません。
初期のがんを発見するためには、CA19-9だけでなく他の検査方法を併用することが大切です。
初期段階でがんを発見するなら「マイシグナル・スキャン」
「マイシグナル・スキャン」は、ステージ1からがんのリスクを検知できる検査です。
尿中のマイクロRNAを解析して、7種類のがんリスクを同時にチェックできます。
対象となるがんは、膵臓・大腸・肺・胃・乳房・卵巣・膵臓・食道です。
マイシグナル・スキャンは、とくに早期発見が難しいとされている「膵臓がん」の検出性能に優れています。
早期膵臓がんの検出感度は、CA19-9が37.5%であるのに対し、マイシグナルスキャンは92.9%です。
がんは早期発見することで、治療後の生活の質や、5年生存率が大きく向上します。
自身のがんリスクが気になる方は、「マイシグナル・スキャン」で「たぶん大丈夫」を、根拠ある自信へ変えてみませんか。
CA19-9に関するよくある質問
CA19-9に関してよくいただく質問を紹介します。
- 腫瘍マーカーのうちCA19-9だけ陽性の場合はがんですか?
- CA19-9はストレスでも上昇しますか?
- 膵がんの場合はどの腫瘍マーカーが高くなりますか?
CA19-9について正しく理解し、根拠のない不安を解消しましょう。
腫瘍マーカーのうちCA19-9だけ陽性の場合はがんですか?
他の腫瘍マーカーが陰性でCA19-9だけが陽性である場合、必ずがんであるということではありません。
CA19-9はがんの診断補助として広く使用されている腫瘍マーカーですが、膵炎や胆石、肝炎などのがん以外の疾患でも高値を示すことがあります。
CA19-9が陽性になった場合、がんの可能性を否定するためには、精密検査を受けることが大切です。医師に相談し、適切な追加検査を行うことをおすすめします。
CA19-9はストレスでも上昇しますか?
CA19-9は、ストレスが直接的な原因で上昇するという明確な根拠はありませんが、間接的に影響を与える可能性はあります。
たとえば、ストレスが引き金となって膵炎を発症することがあります。
膵炎はCA19-9の値を上昇させる原因となるため、ストレスがCA19-9の値に間接的に影響を与えることは考えられます。
*日本心療内科学会誌 19(2015)185–191「情動ストレスを契機に発症した慢性膵炎疑診例の特徴」
膵がんの場合はどの腫瘍マーカーが高くなりますか?
膵臓がんでは、CA19-9の他に以下の腫瘍マーカーが上昇することがあります。
- Span-1
- DUPAN-2
- CEA
- CA50
しかし、最終的な膵臓がんの診断はCTやMRI、超音波内視鏡などの画像診断や、病理検査と合わせて行います。
まとめ|不安を放置しないために。自宅で“今のリスク”を知る選択肢
CA19-9が高値を示した場合でも、がんだと決まったわけではありません。人間ドック受診者を対象とした研究では、実際にがんであった方はわずかであったと報告されています。
膵炎や肝炎、胆石などの疾患でも、CA19-9の値は高値を示すことがあります。
CA19-9が高値でも過剰に心配せず、医師の指示のもとで追加の精密検査を受けることが大切です。
また、CA19-9は早期がんの検出感度が低いため、予防のためには他の検査と併用することが重要です。
早期がんのリスクをチェックするなら、尿がん検査「マイシグナル・スキャン」も選択肢のひとつです。
「がんの不安を軽減したい」「CA19-9が高値ががんによるものではない可能性について、もう少し詳しく調べてみたい」という方は、自宅で手軽にできるがんリスクチェックを検討してみてください。
\すい臓がんもステージ1から/
尿でがんのリスク検査
「マイシグナル・スキャン」
尿のマイクロRNAを調べ、がんリスクをステージ1から判定。早期発見が難しいとされるすい臓がんをはじめ、日本のがん死亡総数の約7割を占める7つのがんリスク※を、⼀度でがん種別に調べます。
- ※ 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)、ただし造血器腫瘍を除く
この記事の監修者

近藤理美
臨床検査技師 医療ライター
急性期病院で8年間臨床検査技師として勤務。
自身の臨床経験と確かなエビデンスを元に、医療メディアを中心として記事を執筆