がん検査
乳がん検診の乳腺エコーとは?マンモグラフィとの違いと結果の見方
- 公開日: 2/9/2023
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- 最終更新日: 9/13/2024
先生
どの検査を受けるかは年齢とその人の体質によって変わってきますが、40歳を過ぎていたら2年に1度X線検査であるマンモグラフィを受けることが国からも推奨されていますよ。
質問者
マンモグラフィって痛いやつだよね?超音波検査だけじゃダメ?そもそも、この2つの検査はどう違うの?
乳腺エコー(超音波検査)とマンモグラフィ検査は乳がん検診の主な検査法です。それぞれに長所・短所があるため、乳がん検出の感度を上げるのであれば両方受けることをおすすめします。乳がん検査全般について詳しく知りたい方は乳がん検診は何歳から?初期検査・精密検査の種類、費用を解説をご覧ください。
ここではマンモグラフィと乳腺エコーの具体的な違い、乳腺エコーで見つかりやすい所見・見つけにくい所見、結果の見方などについて詳しく説明します。
この記事で分かること
- 乳腺エコーは自治体が実施する乳がん検診、人間ドックのオプション、クリニック(保険適用と適用外がある)で受けられる
- 乳腺エコーは乳腺密度の影響を受けにくく、被ばくもないが小さな石灰化の発見には適さない
- 妊娠中、授乳中、生理前・生理中でも乳腺エコー検査は受けられるが検出感度は落ちる
- 乳腺エコー検査において、石灰化、腫瘤(しゅりゅう) / しこり、乳管拡張症の所見が見られた場合は要注意
- 乳腺過誤腫、乳腺の低エコー域、腋窩 (えきか)リンパ節腫大といった所見だけでは診断が難しい
- 乳腺エコーでは黒く映し出されるしこりの形で良性・悪性を判断できる場合がある
- 乳腺エコーの結果には、異常が見られた部位、カテゴリー分類・判定区分が明記されることがある
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目次
乳腺エコー (乳房超音波検査) とは?
乳腺エコー(乳房超音波検査)とは乳房に超音波を当てて跳ね返ってくる反射波をコンピュータで画像化する検査です。触診では分からないような小さなしこりや乳管内の病変の発見に向いています。
乳腺エコーの費用 (自費・保険適用)
質問者
乳腺エコーを受ける場合、費用ってどのくらいかかるの?
先生
これは状況によって大きく変わります。
金額 | |
人間ドックや健康診断のオプションに付ける | 5,000円前後 |
自治体の乳がん検診を受ける | 無料~数千円程度 |
完全自己負担(保険適用外)で乳腺外科などで診てもらう | 1万円程度 |
保険適用で診てもらう | 3割負担以下 |
人間ドックや健康診断のオプションで5,000円程度払えば乳腺エコーを追加することができます。職場による健康診断の場合は、乳腺エコーを追加しても無料あるいは数千円程度で受けられるでしょう。
また、自治体によっては30代や40代の女性に乳がん検診のクーポンを配布し、無料で乳腺エコー検査を受けられる地域があります。
このような制度が利用できない場合でも、クリニックで乳腺エコーを受けることは可能です。その場合は完全自己負担で初診料なども含め1万円程度かかることも。
ただ、「しこりがある」「乳頭から分泌物が出る」など何か自覚症状がある場合は保険が適用されます。
エコーのみの乳がん検診は可能?
質問者
マンモグラフィって痛いって聞くし、定期的な乳腺エコーだけじゃダメなの?
先生
残念ながら乳腺エコーのみでは完全とは言えません。できるだけ乳がんの見落としを防ぐためにはマンモグラフィと乳腺エコーの両方を受ける方がいいと言われています。
一方で、体質的にマンモグラフィが向いていない女性もいます。その場合は、乳腺エコーによる乳がん検診がすすめられます。大切なことは、どの検査法が適しているかを選択するのは医師だということです。自己判断で、“乳腺エコーさえ受けていたら大丈夫”と思い込むのはやめましょう。
先生
乳がん検査: 乳腺エコーとマンモグラフィの違いと使い分け
質問者
体質的にマンモグラフィが向かない人がいるってどんな体質?どういうときに乳腺エコーがすすめられるのか詳しく知りたい!
先生
乳腺エコーとマンモグラフィを比較してみましょう。
メリット | デメリット | |
マンモグラフィ | ・乳がんによる死亡リスクを下げる科学的根拠がある ・小さな石灰化(カルシウムの沈着で一部に悪性の場合がある)でも検出できる | ・被ばくする ・痛い ・乳腺密度の高い人には向かない |
乳腺エコー | ・身体への負担がない ・妊娠中、授乳中であっても検査できる ・乳腺密度の高い人でも感度が落ちない | ・検査を行う人の技量に差がでる ・小さな石灰化の検出には向かない |
注目したいのが、マンモグラフィは乳腺密度の高い人には向かないこと。一方で乳腺エコーは乳腺密度の影響を受けにくいと言われています。
質問者
自分の乳腺密度が高いかどうかってどうやったら分かるの?
先生
20代、30代の女性は乳腺が発達しているから密度が高いといわれています。あとは体質です。40代以降でも乳腺密度の高い人はいるので。これはマンモグラフィ検査を受ければ分かるんです。高濃度乳腺とかデンスブレストって言われたらマンモグラフィでは乳がんを見落とす可能性があるので乳腺エコーを受けることがすすめられます。
質問者
マンモグラフィが向いていないなら乳腺エコーだけじゃダメなの?
マンモグラフィでは乳腺エコーが苦手とする小さな石灰化の検出を得意としています。そのため、乳がん発症リスクの高い40代以降ではマンモグラフィと乳腺エコーを併せて受ける方が乳がん検出の感度を上げられるのです。
一方で、比較的乳腺密度が高い40歳未満の女性は乳腺エコーを定期的に受けることが推奨されています。
マンモグラフィについて詳しく知りたい方はマンモグラフィは痛い?検査前の注意点から結果の見方まで解説で解説していますので是非ご覧ください。
こんなとき乳腺エコーを受けても良い?
続いて、妊娠中・授乳中・生理中など女性が気になる乳腺エコーを受けるときの注意点についてまとめました。
質問者
妊娠中や授乳中、生理中なんかでは、身体の調子も違うし、乳腺エコー、受けてもいいの?
先生
心配ですよね。それでは、ひとつひとつ注意点についてまとめていきましょう。
妊娠中の乳腺エコー
X線を使用するマンモグラフィとは異なり、乳腺エコーでは超音波を使うので身体に影響はありません。
質問者
妊娠中のお腹の赤ちゃんの様子を見るのもエコーを使うし、問題ないよね。
ただ、妊娠中は女性ホルモンの影響で乳腺組織が発達し通常の状態とは異なるため、検査の感度が落ちる可能性があります。
授乳中の乳腺エコー
授乳中も乳腺エコー検査を受けて問題ありません。
ただ、授乳中も妊娠中と同様、通常の乳腺組織の状態とは異なり検査の感度が低下する可能性があります。しこりが気になる、乳頭から茶色や黒色の分泌物が出るなど乳がんを疑う症状が見られる場合は早急に診てもらいましょう。
生理中・生理前の乳腺エコー
生理中・生理前も乳腺エコー検査は受けられます。
ただ、生理中や生理前も女性ホルモンの影響で乳腺組織が増殖する傾向にあります。検査の感度を高めるためにも生理後に受診することをおすすめします。
痛い?気持ちいい?乳腺エコー当日の流れと注意点
質問者
乳腺エコーって痛くないよね?妊娠中に超音波検査受けたことあるけど冷たいゼリーを塗ってもらって、ひんやりしていて気持ち良かった記憶がある!
先生
最近は、冷たくないように温めたゼリーを使う施設も多いようです。乳腺エコーは、マンモグラフィのように圧迫されたりしないから痛みはなく、前日・当日の食事制限とかもありません。
当日検査室では上半身裸のまま仰向けに寝ます。超音波の伝わりをよくするためにゼリーを塗布して乳房全体を調べ、手を上げてわき下のリンパ節部分も確認します。
検査時間は10〜20分程度です。
乳腺エコー受診時の服装
検査中は上半身裸になる必要があるのでワンピースは避け、上下セパレートの服装を選びましょう。また、塗布するゼリーによって服が汚れてしまうことがあるので洗濯できる衣類がおすすめです。
片方だけ長い・念入りに見られる場合は危ない?
質問者
もしも検査中に入念に1か所だけチェックされたりしたら、それって乳がんがあるってこと?その場で教えてくれるの?
先生
エコー画像の見え方と判断が難しい時に、丁寧に時間をかけてチェックしてもらっていることなので、心配ありません。また乳腺エコーのみで乳がんかどうか判断することは難しいため、いきなりその場で乳がんと診断されることはありません。そもそもしこりの多くが良性です。ある部位を入念に調べられたら不安になると思いますが、心配しないでくださいね!
乳腺エコーの結果についてはその日のうちに伝えられることもあれば、後日郵送などで伝えられることもあります。
もし乳腺エコーで乳がんの疑いのある所見が見つかった場合、マンモグラフィや細胞診/組織診(乳がんの疑いのある部位の細胞/組織を採ってがん細胞かどうかを顕微鏡で調べること)といった精密検査を受けることになります。
乳腺エコー検査でわかること
それでは、乳腺エコー検査で見つかる異常所見について解説していきましょう。
よくある所見として、
- 乳腺嚢胞 (にゅうせんのうほう)
- 乳管内乳頭腫 (にゅうとうしゅ)
- 乳腺線維腺腫 (にゅうせんせんいせんしゅ)
- 石灰化
- 腫瘤 (しゅりゅう) / しこり
- 乳管拡張症
- 乳腺症 (にゅうせんしょう)
が挙げられます。
異常所見 | 説明 | 乳がんの可能性 |
乳腺嚢胞 (にゅうせんのうほう) | 正常な組織と水分から成る良性のしこり | 無し |
乳管内乳頭腫 (にゅうとうしゅ) | 乳房の乳管内に発生する良性のイボ状のしこり | 複数個の乳管内乳頭腫が見られる場合は乳がんリスクがわずかに高まる |
乳腺線維腺腫 (にゅうせんせんいせんしゅ) | 10代20代の女性に見られる、乳腺から発生する良性のしこり | 無し |
石灰化 | 乳腺の中でカルシウムが沈着することで生成する | 有り |
腫瘤 (しゅりゅう) / しこり | 他の細胞と異なる組織の塊 | 有り |
乳管拡張症 | 乳管が拡張している状態 | 有り |
乳腺症 (にゅうせんしょう) | ホルモンバランスの乱れによって生じる、乳腺の張りや乳房の痛み・乳頭から分泌物が出る、といった症状 | 無し |
質問者
うわっ、難しそうな名前ばっか。簡単に教えて~!
先生
これらの解説の前に、以下に示した乳房内の組織の名前を知っておくことが大切です。
乳腺は母乳を作る小葉に分かれ、小葉は母乳を運ぶ乳管で繋がっています。乳腺組織から発生するがんが乳がんです。
よくある所見 #1乳腺嚢胞 (にゅうせんのうほう)
乳腺嚢胞は、乳管内部に水分が溜まることで生じると言われています。乳房内で作られた乳汁が乳頭から分泌されないで乳管内に溜まると乳腺嚢胞になります。
嚢胞は乳房内で増えることもあれば減ることもありますが、乳腺嚢胞は正常な組織と水分から成る良性のしこりなので心配要りません。
質問者
乳腺嚢胞が見つかっても治療はしないの?
先生
現在のところ、乳腺嚢胞を予防したり消滅させたりする治療法はないから経過観察になります。もし、嚢胞が圧迫することで乳房の痛みが気になる場合は、乳房に針を刺して嚢胞内の水分を吸引する処置はできます。ただ、嚢胞自体は残るからまた水分が溜まってしまうと再発してしまいます。
よくある所見 #2乳管内乳頭腫 (にゅうとうしゅ)
乳房の乳管内に発生する良性のイボ状のしこり(腫瘍)です。ただ、乳がんとの見分けが難しいため精密検査を行うことがあります。乳がんとの鑑別が難しい場合は組織診などをすることも。
乳管内乳頭腫が複数ある場合は乳がんの発症リスクがわずかに上がると言われています。
よくある所見 #3乳腺線維腺腫 (にゅうせんせんいせんしゅ)
乳腺線維腺腫は10代20代の女性に見られる、乳腺から発生する良性のしこりです。乳がんのしこりと比べると柔らかく弾力があり、しこりが動くという特徴があります。
乳がんと識別するために、マンモグラフィや細胞診を行って確認します。
乳腺線維腺腫と診断されても積極的な治療は行いません。ただ、乳腺線維腺腫が大きくなり見た目に影響がある場合や経時的に大きくなっている場合は手術で切除することがあります。
よくある所見 #4石灰化
乳腺の中でカルシウムが沈着することで石灰化を生じることがあります。
質問者
石灰化って石ができるってこと?それが“がん”なの?
先生
いいえ。。石灰化はカルシウムが沈着することで決して珍しいことではありません。そもそも乳腺はカルシウム豊富な母乳をつくる部位です。カルシウムが溜まれば石灰化することも。
多くの場合は良性ですが、がん細胞の存在によって副産物が分泌され、それが原因となって石灰化することがあるのです。
そのため、石灰化が見つかった場合は精密検査が必要になります。
ただ、前述した通り、乳腺エコーは石灰化の検出には必ずしも向いていないので、石灰化(あるいは石灰化の疑い)が見つかった場合は、まずはマンモグラフィで調べることになります。
精密検査を受けても悪性の判断が難しい場合もあります。そのようなときは定期的に経過観察を行い、石灰化が増えていないかなどをチェックします。
石灰化についてより詳しく知りたい方はこちらのマンモグラフィでの乳腺石灰化とは?乳がんとの関係の記事をご覧ください。
よくある所見 #5腫瘤 (しゅりゅう)/ しこり
腫瘤(しこり)とは、他の細胞と異なる組織の塊のこと。がん細胞の塊である可能性があり、精密検査が必要となります。
ある程度の大きさの腫瘤であれば、触れて分かります。
精密検査で乳がんと診断された場合はがんのステージや身体の状態に合わせて治療計画を立て、手術・薬物療法・放射線治療などが行われます。
よくある所見 #6乳管拡張症
乳管拡張症は文字通り、乳管が拡張している状態。乳腺の分泌過剰や炎症が原因の場合もありますが、がんが原因となって拡張を引き起こす場合もあります。
特に、乳頭から茶色や血の混じった分泌物が出たり、乳頭が陥没したりしている場合は要注意です。すぐに精密検査を受け、乳がんと診断された場合は治療が開始されます。
乳がんでない場合、乳管拡張症は特に治療を必要としませんが、感染症・炎症を引き起こしている場合は抗生物質や解熱鎮痛剤を使用することがあります。
よくある所見 #7乳腺症 (にゅうせんしょう)
乳腺症は30~50代の女性によく見られます。ホルモンバランスの乱れにより、乳腺の張りや乳房の痛み、乳頭から分泌物が出る、といった症状が現れます。
一般的に、生理前に症状が強くなり、生理が終わると和らぎます。乳腺症と診断されても特に治療の必要はなく、痛みが強い場合のみ消炎鎮痛剤などが処方されます。
質問者
乳腺症から乳がんになることもあるの?
先生
乳腺症と乳がんの関連性は無いと言われています。(*)ただ、乳腺症の人は年に1~2回乳がん検診を受けることが推奨されています。というのも乳腺症は乳がんと症状が似ている部分もあるから乳がんが発症していても見落としてしまうことがあるためです。
質問者
なるほどね~
判断が難しい3つのケース
現在乳がん検診で用いられるマンモグラフィも乳腺エコーも、確実に乳がんやその他の症状を診断できる検査ではありません。
特に判断が難しいのが、
- 乳腺過誤腫
- 乳腺の低エコー域
- 腋窩 (えきか)リンパ節腫大
異常所見 | 説明 | 乳がんの可能性 |
乳腺過誤腫 | 乳房内に周囲との境界がはっきりとした被膜を持つ良性腫瘍 | 無し |
乳腺の低エコー域 | しこりは確認できないが、正常の乳腺とはいえない影があること | 有り |
腋窩 (えきか)リンパ節腫大 | わきの下のリンパ節が腫れている所見 | 有り |
乳腺の過誤腫とは?
質問者
乳腺過誤腫って聞いたこともないな~。
先生
非常に稀な疾患ですからね。
乳腺過誤腫は、乳房内に周囲との境界がはっきりとした被膜を持つ良性腫瘍であり、乳房の組織成分と同一かあるいは一部欠損した組織からなり、しかも各組織成分の割合が著しく正常と異なるもの、と定義されています。
質問者
うわっ、なんか診断が難しそうだね。最終的には細胞診で確かめるの?
先生
通常の流れだと細胞診に進みますよね。でも乳腺過誤腫内のそれぞれの細胞には異型が見られないから細胞診を行っても判定困難なことが多いです。
一方、乳腺エコーで乳腺過誤腫と診断できるケースもあります。乳腺過誤腫と診断されても良性疾患なので特に治療の必要はありません。ただ、変化が起きないことを確認するために経過観察は必要になります。
乳腺の低エコー域とは?
低エコー域とは疾患名ではなく、エコー検査により「はっきりとした、しこりは確認できないが、正常の乳腺とはいえない影があること」を指します。
低エコー域が指摘され、良性と言い切れない場合は精密検査が必要になります。
マンモグラフィや細胞診検査を行ってがんかどうかを調べます。
がんであれば、ステージに応じた治療が開始されます。
腋窩 (えきか)リンパ節腫大とは?
腋窩とはわきの下を指し、この部分にはリンパ節、副乳・乳腺などが存在しています。腋窩 (えきか)リンパ節腫大とは、「わきの下のリンパ節が腫れている」という所見です。
わきの下のリンパ節は乳がんがリンパ節に転移することで生じることがあります。ただ、この他にも風邪やワクチン接種後の副反応、基礎疾患、アレルギー、薬の副作用、生理前や更年期など女性ホルモンの変化でもリンパ節の痛みや腫れを引き起こすことがあります。
乳腺エコーで腋窩リンパ節腫大が指摘された場合は、マンモグラフィも併せてリンパ節の大きさや形態を調べます。その結果乳がんの疑いがある場合は、細胞診を行います。
腋窩リンパ節腫大ががんによるものでなくても、原因を特定することは大切です。
乳腺エコーの結果画像の見方・特徴
質問者
そういえば妊娠中のとき、超音波検査で先生と一緒にモニター見てたけどさ、私には何を見ているのかさっぱり分からなかった記憶があるんだよね。乳腺エコーの画像からどうやって良性・悪性とかって判断するの?
先生
この判断には知識と経験が必要になるから素人が見て理解するのは難しいです。そうはいっても、良性・悪性エコー画像の見方にはポイントがあります。
まず、超音波画像では乳腺は白く、しこり(腫瘤)は黒く映ります。
エコー画像の特徴
一般的に良性の場合は楕円形や球形・分葉形をしていることが多く、他の組織との境界がはっきりしています。
一方で悪性の場合、多角形・不整形で、境界部が不明瞭であることが多いと言われています。
質問者
こうやって見ると素人にも分かりやすいね~!
先生
ここに載せているのは典型例なのでこんなに分かりやすいことはあまりないですね。また、エコー検査ではどうしても検査する人の腕によって結果が左右されてしまうんです。
質問者
それならちゃんと定期的に検査してもらわないとね!
エコーに映らない 乳がんとは?
前述の通り、乳腺エコーは石灰化の検出には必ずしも向いていません。中でも微細石灰化という小さな石灰化の影は超音波画像に映らないことがあります。
また、1cm以下の小さなしこりや、しこりを形成しないタイプの乳がんも注意が必要です。
質問者
しこりの無い乳がんもあるんだね!
先生
非浸潤がんと言って、Ductal carcinoma in situ(DCIS)とも呼ばれるかなり早期の乳がんがこれに該当します。
非浸潤がんは石灰化がきっかけで見つかることが多いので、乳腺エコーでは見つけにくいのです。
乳腺エコーで再検査・精密検査になっても焦らず冷静に
乳腺エコーの結果、異常所見が見られた場合、異常が見られた部位、カテゴリー分類・判定区分が明記されることがあります。
カテゴリー分類は以下の通りです。
カテゴリー分類 | 説明 |
カテゴリー1 | 異常所見なし |
カテゴリー2 | 所見があるが精検不要、明らかな良性 |
カテゴリー3 | 良性、しかし、悪性を否定できず |
カテゴリー4 | 悪性の疑い |
カテゴリー5 | 悪性 |
カテゴリー0 | 判定不能な場合とする |
カテゴリー3,4,5は要精密検査となります。カテゴリー0は装置の不良や患者さんの状態、エコーを行う人の技量が要因となって判断できない場合に分類されます。
続いて判定区分です。
判定区分 | カテゴリー | マネジメント |
A 異常なし | カテゴリー1に相当 | 追加検査、経過観察は不要 |
B 軽度異常 / 精密検査不要 | カテゴリー2に相当 明らかな良性、所見はあるが精密検査不要に該当 | 追加検査、経過観察は不要 |
C 要再検査(半年・1年後) | ステージ0の乳がんの可能性がある小さなしこりや病変部に対してはカテゴリー2として、半年・1年後の検診再受診が許容される 判定不能の場合はカテゴリー0として、再検査あるいは別の機器を使った検査を行う | |
D 要精密検査・治療 | カテゴリー3・4・5に相当 | 要精密検査 |
E 治療中 | 乳がん検診の対象外 |
判定C・Dでは再検査や精密検査が必要となります。
精密検査については乳がん検診は何歳から?初期検査・精密検査の種類、費用を解説で詳しく解説しています。
まとめ、乳がん早期発見のためにできること
ここまでをまとめましょう。
- 乳腺エコーは自治体が実施する乳がん検診、人間ドックのオプション、クリニック(保険適用と適用外がある)で受けられる
- 乳腺エコーは乳腺密度の影響を受けにくく、被ばくもしないが小さな石灰化の発見を不得意とするには適さない
- 妊娠中、授乳中、生理前・生理中でも乳腺エコー検査は受けられるが検出感度精度は落ちる
- 乳腺エコー検査においてでは、乳腺嚢胞 (にゅうせんのうほう)、乳頭腫(にゅうとうしゅ)、乳腺線維腺腫 (にゅうせんせんいせんしゅ)、石灰化、腫瘤(しゅりゅう) / しこり、乳管拡張症、乳腺症(にゅうせんしょう)といったの所見が見られます。・乳腺過誤腫、乳腺の低エコー域、腋窩 (えきか)リンパ節腫大といった所見だけでは診断が難しい
- 乳腺エコーでは黒く映し出されるしこりの形で良性・悪性を判断できる場合がある
- 乳腺エコーの結果には、異常が見られた部位、カテゴリー分類・判定区分が明記されることがある
乳腺エコーはマンモグラフィとは異なり痛みや被ばくが無く、手軽に受けられる検査と言えます。乳がんだけでなく、乳房内の病変部も検出できます。
一方で、完全な検査ではないので乳がん発見の感度を上げるためには、マンモグラフィと併用するのがおすすめです。
日本人女性の9人に1人がかかると言われている乳がん。(*)一方で、医療技術の進歩により早期発見ができれば、ほとんどの場合、完治できる病気になってきています。
質問者
早期発見が本当に重要ってことだね!
先生
その通り!早期発見するためには定期的に乳がん検診を受けることが大切です。
もしも、
- 痛みや被ばくが嫌
- 病院で上半身裸になって検査を受けるのが恥ずかしい
- 定期的に医療機関に足を運ぶのが面倒
という方は、マイシグナル®を検討してみてはいかがでしょうか。尿を郵送するだけで、自宅で簡単に乳がん検査が受けられます。
乳がん以外のがん検査も併せて行えますので興味のある方は是非こちらをご覧ください。
- ※本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。
この記事の著者
太田知見
医学修士・薬剤師・メディカルライター
神戸大学医学研究科を卒業後、大手化粧品会社の研究開発部に勤務。その後、臨床薬剤師の経験を積み海外へ移住。現在はメディカルライターとして製薬会社やバイオベンチャー企業のライティング業に従事している。
この記事の監修者
宗田聡
医学博士・産業医・茨城県立医療大学客員教授・東京慈恵会医科大学講師(非常勤)
筑波大学産婦人科講師を経て、米国ボストンのNew England Medica Center(NEMC)に留学し出生前診断(遺伝子関連)の研究やWomen’s Healthに関わる。産婦人科専門医・臨床遺伝専門医。日本周産期メンタルヘルス学会評議員、東京産科婦人科学会評議員、産科医療補償制度原因分析委員会委員など
質問者
40歳過ぎたし、そろそろ乳がん検診受けようと思ってて。乳がん検診ってさ、超音波検査とマンモグラフィ検査から選ぶんだっけ?