がんの症状
しこりだけじゃない?乳がんの初期症状と末期症状、原因を解説
- 公開日: 1/26/2024
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- 最終更新日: 9/13/2024
先生
ご親族に乳がんや卵巣がんの方が多いと不安になるかと思います。あなた自身は乳がん検診を受けられたことはありますか?
質問者
仕事と子どもの受験で手一杯でなかなか。確か3年前に受けたのが最後だったかと思います。
先生
乳がんは30代から増え始めます。ちょうど、子育て中の方が多い年代ですね。ぜひこの機会に乳がん検診を受けることをおすすめします。
2019年の乳がんの罹患数は男性が670人、女性が約9.7万人です。乳がんは女性のがんの罹患数第1位となっています。(*1)(*2)
また、2021年の乳がんの死亡数は男性が約100人、女性が約1.5万人で、女性ではがん死亡数第4位となっています。(*2)(*3)
初産の高年齢化が進み、1人の女性が一生のあいだに産む子どもの数(合計特殊出生率)は1.26(2022年度)と年々減少している近年の日本。(*4)女性の一生涯での月経回数が増えたこと、授乳の機会が減ったことは、乳がんの罹患数増加に関係しています。
また、医療の発展により、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」を補充する治療や低用量ピルの処方が受けられるようになったことも、乳がんの発症リスクを高める一因となっています。
ここでは、乳がんの症状と原因についてくわしく解説していきます。
この記事でわかること
- 乳がんは女性のがん罹患数第1位である
- 乳がんのリスクは女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」が大きく影響する
- 飲酒や喫煙、運動不足、閉経後の肥満もリスク因子となる
- 乳がん特有の初期症状は乳房のしこりであるが、しこりがない場合もある
- 乳がん発見のきっかけで最も多いのは、自覚症状による受診(その他・不明を含む)である
- 乳がん検診は視診・触診、マンモグラフィ(乳房エックス線検査)、超音波検査がある
- 40歳を超えたら2年に1回、マンモグラフィを受けることが大切
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目次
乳がんとは
質問者
乳房にしこりができたら、乳がんなんでしょうか?少し前に、生理前に乳房に固い部分ができたと思ったら、生理後になくなっていたことがあって。
先生
乳房にできるしこりのすべてが乳がんというわけではありません。乳腺の良性の変化によって、しこりや固い部分ができることがあります。30~40代の女性によく見られる状態で、乳腺症と呼ばれます。生理前後でしこりができたり消えたりしますね。
質問者
じゃあ心配しなくて大丈夫ですね。
先生
生理周期と連動するしこりは乳腺症の可能性が高いですが、必ずそうとも言えません。それに、しこりがない乳がんもあるので、少しでも「あれ?」と思う症状があれば、医療機関を受診するようにしましょう。
乳がんは、主に「乳腺」の組織にできるがんです。母乳を運ぶために乳房内に張り巡らされた細い管(乳管)と、母乳を作る部分(小葉)を合わせて乳腺と呼びます。乳管から発生する乳管がんが約80%と最も多く、小葉や乳頭などの組織から乳がんができることもあります。
男性が乳がんになる場合もありますが、非常に稀です。
乳がんは治療効果が高く、初期の場合では5年生存率は95%以上となります。(*5) 早期発見には、定期的な乳がん検診の受診が必要です。乳がん検診は食事や水分制限など事前の準備は必要なく、注射や麻酔も必要なため、気軽に受けられます。
なぜ増加している?乳がんの原因とリスク因子
乳がんの罹患数は、近年増加が続いており、女性のがん罹患数で最も多くなっています。この理由として、生活習慣の変化やエストロゲンに晒される期間が長くなったことが挙げられます。乳がんの原因とリスク因子について、くわしく見てみましょう。
年齢が30歳以上
女性の乳がんは30代から増え始め、40代に入ると急増します。人口10万人あたりの乳がんの罹患率を見ると、20代では10人未満だったのが、30代前半で28人程、30代後半で66人程となり、40代後半では230人を超えます。(*1)
初経が早い、閉経が遅い
乳がんの発生には、エストロゲンが大きく関わっています。そのため、エストロゲンに晒される期間が長いほど、乳がんのリスクが高くなります。
初経が早い人や閉経が遅い人は、エストロゲンが分泌されている期間がそれだけ長くなるため、乳がんのリスクが高まることになるのです。
また、出産経験がない人や初産年齢が高い人、授乳経験がない人も乳がんのリスクが高くなることがわかっています。授乳中は、月経が止まってエストロゲンが低くなることや、母乳を作るために乳腺細胞が分化することで、乳がんのリスクが低下するのではないかと考えられています。
乳腺疾患になったことがある
乳腺に起こる良性の変化を総称して「乳腺症」といいます。乳腺症は、乳房にしこりや固い部分ができる、乳頭からの血や乳汁のような分泌物が出る、乳房に痛みや圧痛があるなどの症状が見られます。
乳腺症の症状は閉経後に消失するため、多くの場合、心配のないことが多いです。しかし、乳腺症のうち、変化した細胞が増えたり、細胞の形が通常とは違ってきたりするものは乳がん発症のリスクとなります。
閉経後、ホルモン補充療法の経験がある
閉経の前後5年間を更年期といいますが、この時期は女性ホルモンのバランスが乱れ、急激にエストロゲンの分泌が低下していく時期です。この変化により、急なほてりや発汗、めまい、動悸、気分の落ち込み、イライラなどの更年期症状が見られます。更年期症状がひどく、日常生活に支障をきたすと更年期障害と呼ばれます。
更年期障害の治療法として「ホルモン補充療法(HRT)」があり、更年期障害の症状改善、骨粗鬆症などの予防にも効果的です。
ホルモン補充療法では、エストロゲンと黄体ホルモンを併用した薬物療法が主に行われますが、乳がんの発症リスクが上昇することがわかっています。
ただし、ホルモン補充療法の期間が短ければ影響は小さく、ホルモン補充療法終了後3~5年で乳がんのリスク増加が消失するとされています。
経口避妊薬(低用量ピル)の使用経験がある
低用量ピルは、避妊薬として使用されるほか、月経前症候群(PMS)や月経困難症、子宮内膜症などの病気の治療にも使われる薬です。
女性の生活の質向上に役立つ低用量ピルですが、エストロゲンと黄体ホルモンを含む薬のため、乳がんのリスクが高くなる可能性があります。
ただし、乳がんのリスクが上昇する可能性はわずかであり、低用量ピルの種類などを考慮することで、リスクが増加しない可能性もあるとされています。
遺伝・乳がんの家族歴がある
家族や親族に乳がんの人がいる場合、乳がんの発症リスクが高まることがわかっています。特に遺伝的に近い人(親や姉妹、子)が乳がんの場合や、血縁者に乳がんの人が多いほど、乳がんのリスクが高まると考えられています。
また、近年の遺伝子研究の成果によって、遺伝性のがんの原因となる遺伝子がわかるようになりました。遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)はBRCA1・BRCA2遺伝子の異常によって起こるがんで、子どもに受け継がれる可能性があります。乳がんや卵巣がん、前立腺がんなどに関連します。
その他にも、乳がんの発症に関連する遺伝子はあるため、血縁者に乳がんやがんの人が多い場合には、遺伝的な要因について一度調べておくと安心です。
遺伝子情報を活用した検査キット「マイシグナル」は、乳がんを含む7つのがんの遺伝的リスクや現在のリスクについて、唾液や尿を採取するだけで調べられます。気になる方はこちらのがんに特化した遺伝子検査「マイシグナル・ナビ」もご覧ください。
乳がんの原因に関するよくある質問
質問者
40代の友人が「私は親類に乳がんの人はいないし、子どもも3人いて早めに生んでいるから乳がんの心配はしていない」と言っていたのですが、食べ物や生活習慣ってあまり関係ないんでしょうか?
先生
生活習慣は乳がんの発症に影響します。例えば、飲酒や喫煙、運動不足、閉経後の肥満は乳がんの発症リスクを高めると考えられています。
質問者
そうなんですね。乳がんを発症しにくくする食べ物はないんでしょうか?
先生
牛乳などの乳製品が予防にいいかもしれない、と言われています。ただし、摂り過ぎは乳がんの発症リスクを高める可能性があるので、たくさん食べればいいというわけではないですね。
乳がんの発症には、生活習慣が少なからず影響します。乳がんの原因としてよく心配される要因について、くわしく見てみましょう。
コーヒー、チーズ、ヨーグルトなど、食事・食べ物と乳がんの関係とは?
牛乳などの乳製品は、乳がんの発症リスクを減少させる可能性があります。特にヨーグルトやチーズなどの発酵食品による効果が報告されています。食べる習慣がない人は、朝食や食後のデザートに取り入れるといいでしょう。
ただし、摂り過ぎは逆に乳がんの発症リスクが増加する可能性があるため、食べ過ぎには注意しましょう。
ブラジャーの着用と乳がんは関係ある?
ブラジャーの着用が乳がんの発症リスクを上昇させるという話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、2014年のアメリカの研究で、乳がんの発症リスクとブラジャーの着用には関連がないことがわかっています。
この研究は閉経後の女性を対象に、ブラジャーの平均着用時間やワイヤーの有無、ブラジャー着用を始めた年齢などを調査したもので、乳がんの発症リスクとの関連を裏付けるものはないと結論が出ています。(*7)
乳がんとストレスの関係とは?
乳がんの発症リスクとストレスとの関係について多くの研究がなされていますが、結果は一致していません。関連があるとするものもあれば、ないとするものもあります。
しかし、ストレスは万病の元といわれますので、ストレスを感じる環境を避けることは大切です。
乳がんになりやすい性格はある?
乳がんの発症リスクと性格との関連はないとされています。そのため、「乳がんになりやすい性格」というものはありません。
男性の乳がんの原因とは?
男性の乳がんも女性の乳がんと同じく、家族や親族に乳がんの人(男女問わず)がいる場合や加齢によって乳がんの発症リスクが高まります。
また、以下の場合も男性の乳がんのリスク因子となります。
- 胸部や乳房に放射線療法を受けたことがある
- 女性ホルモンの量が多い(性染色体の異常や肝硬変、肥満など)
- BRCA1・BRCA2などの遺伝子に異常がある
胸のチクチクは乳がんの初期症状?セルフチェックの方法とは
質問者
乳がんになったらしこりができるほかに、なにか症状が出るんでしょうか?胸がチクチクするとか、痛みが出るとか…。
先生
乳がんができると、乳房の皮膚の一部がくぼんだり、乳頭が陥没したりすることがあります。また、乳頭や乳輪がただれる、乳頭から分泌物が出る、皮膚が赤く腫れる、乳房が痛むという症状が出る場合もありますね。
質問者
見た目が変わる症状が多いんですね。
先生
そうですね。乳がんは見た目の変化や触ってわかる症状が多いので、定期的なセルフチェックが大切になります。1か月に1回、乳がんのセルフチェックをする日を決めるといいですね。
セルフチェックの方法を見てみましょう。
鏡の前に立ちましょう。両手を頭の後ろに当てて、くぼみ・ふくらみ・ただれ・変色・ひきつれがないかを確認します。ワキの下もチェックしてください。
続いてしこりのチェックです。ひらがなの「の」の字を書くように指先で軽くなでるように触ってみましょう。
指先で乳頭の根元を軽くつまんで血の混じったような分泌物が出ないか確認してください。
最後に横になって確認しましょう。仰向けに寝転んで乳房を触ってしこりの有無をチェックします。
男性も同様の手順で、毎月セルフチェックすることをおすすめします。
しこりだけではない?乳がんの進行速度と進行してくると現れる症状
乳がんは、比較的進行がゆっくりながんです。乳がんのタイプにもよりますが、一般的に1年で約2倍の大きさになるとされています。(*8)
そして、乳がんはがんの大きさや転移の有無によってステージ(病期)が分けられます。
がんの大きさ | リンパ節転移 | 遠隔転移 | |
0期 | 非浸潤がん | なし | なし |
Ⅰ期 | 2cm以下 | なし | |
ⅡA期 | 2cm以下 | 腋窩リンパ節に転移し、そのリンパ節は固定されておらず動く。 | |
2cm~5cm以下 | なし | ||
ⅡB期 | 2cm~5cm以下 | 腋窩リンパ節に転移し、そのリンパ節は固定されておらず動く。 | |
5cm~ | なし | ||
ⅢA期 | 5cm以下 | 腋窩リンパ節に転移し、そのリンパ節は固定されて動かないか、リンパ節が互いに癒着している。または、腋窩リンパ節に転移はないが内胸リンパ節に転移がある。 | |
5cm~ | 腋窩リンパ節か内胸リンパ節に転移がある。 | ||
ⅢB期 | がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、がんが胸壁に固定されている。または、がんが皮膚に出たり皮膚が崩れたり、むくんでいる。しこりがない炎症性乳がんもこの病期から含まれる。 | ||
ⅢC期 | がんの大きさに関わらず、腋窩リンパ節と内胸リンパ節の両方に転移がある。または、鎖骨の上もしくは下のリンパ節に転移がある。 | ||
Ⅳ期 | がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、 骨、肝臓、肺、脳など他の臓器への遠隔転移がある。 | あり |
女性の乳がんの5年相対生存率を見てみると、0~Ⅰ期は95%以上と非常に高く、Ⅱ期で90%以上、Ⅲ期でも80%程度と高く、Ⅳ期で40%程度です。(*4 ) ほかのがんに比べて、治療効果の高いがんと言えます。
乳がんはしこりの有無や見た目の変化で発見しやすいがんですが、中にはしこりがないタイプもあります。
定期的なセルフチェックと共に、乳がんの症状について知っておくことが大切です。
乳がんが進行してくると現れる症状を見てみましょう。
乳房のしこり・痛み
乳がんは乳房にしこりができることが多く、進行とともに、しこりは大きくなっていきます。しこりは、乳房の上外側にできる割合が約半数を占めます。
ただ、しこりがない場合もあるため、しこりの有無だけで乳がんかどうかは判断できないことを知っておきましょう。
また、一般的に乳がんは痛みがないことが多いですが、痛みが出る乳がんもあります。「痛いから乳がんではない」ということはないので、異常を感じた場合には医療機関を受診しましょう。
乳頭から茶色や赤色の分泌物が出る
乳がんは主に乳腺の組織にできます。がん細胞が正常な細胞を壊していくことで、乳腺を通って乳頭から茶色や赤色の分泌物が出ることがあります。
セルフチェックで乳頭の根元を軽くつまむのは、この分泌物が出ないかを確認するためです。
乳房のへこみ・ひきつれ
乳がんが周りの組織を巻き込むことで、乳房の一部分にへこみやひきつれが見られることがあります。左右の乳房を見比べてみて、異常がないか確認してみましょう。
その他、乳房の変形・変色・ただれ
乳がんの中には、乳房が赤く腫れたり、むくんだり、乳頭がただれたり、かさぶたができたりという症状が出るものがあります。
しこりがなくても乳房や乳頭に異常がある場合には、乳がんの可能性があります。頻度は少ないため、過度に心配する必要はありませんが、異常がある場合には医療機関を受診することが大切です。
手遅れの可能性も?乳がんの末期症状とは
質問者
乳がんが進行すると、どんな症状が出るんでしょうか?
先生
乳がんが進行すると、乳管から血管やリンパ管を通って全身にがんが転移し、さまざまな症状を引き起こします。骨に転移した場合には痛み、肺の場合は咳や息切れなどの症状が挙げられます。
質問者
転移による症状が問題になるんですね。初期のうちに乳がんを見つけられるようにしないといけないですね。
先生
実は、乳がんは早期から転移しやすく、乳がんの切除手術後2~3年、場合によっては5年後や10~20年後に再発するケースもあります。治療法の進歩によって、再発や転移の頻度は年々低下していますが、更なる進歩が望まれます。
乳がん再発の30%は手術をした乳房や近くのリンパ節に起こり、70%は肺や脳、骨、肝臓など乳房から離れた場所に遠隔転移します。
乳がんが転移・再発しやすい場所と症状を見てみましょう。
転移・再発しやすい場所 | 症状 |
手術をした乳房 | 皮膚の赤み、しこり |
リンパ節 | 首付近やわきの下の腫れ |
骨 | 転移した骨周辺の痛み |
肺 | 咳、息切れ |
肝臓 | 右側の腹部の張り、みぞおちを押さえると痛む |
脳 | 頭痛、めまい、手足の麻痺 |
転移・再発による症状は個人差が大きく、まったく症状がない場合もあります。
乳がん発覚のきっかけとは
乳がんは、乳房のしこりや見た目の変化など、自覚症状(その他・不明を含む)によって見つかるケースが多いがんです。セルフチェックや乳がん検診の普及もあり、乳がんの約60%が0期やⅠ期で見つかっています。Ⅱ期までに見つかる割合も含むと約90%となっています。(*9)
定期的なセルフチェックと乳がん検診の受診が重要となります。
また、自治体の乳がん検診は40歳以上を対象とする場合が多いため、20代や30代の方で気になる症状がある場合には、医療機関を早めに受診することをおすすめします。
乳がんの検査方法とは
質問者
乳がんの検査って、マンモグラフィですよね。板で挟まれたときに痛かった記憶があります。
先生
乳がん検診では、問診と乳房エックス線検査を行います。乳房エックス線検査はマンモグラフィとも呼ばれますね。痛みの感じ方は個人差がありますね。
質問者
私は撮影中ずっと痛くて…。そう言えば、超音波検査があると聞いたんですが、超音波検査なら痛くないんでしょうか?
先生
超音波検査は確かに痛みはないですね。乳がん検診は、基本的には問診とマンモグラフィを受けて、異常があれば精密検査として超音波検査などを受けることになります。ただ、20~30代の人は乳腺が多く、乳房が白い塊のように映し出されることがある(高濃度乳房)ので、超音波検査を併用することもあります。
基本的に、市町村が行う乳がん検診は、40歳以上が対象となり、問診と乳房エックス線検査(マンモグラフィ)を2年に1回行います。自治体によっては、30代は超音波検査を年に1回、40歳以上はマンモグラフィを2年に1回受けられるところもあります。一度、お住いの自治体のホームページや広報などでがん検診の頻度や費用について調べてみましょう。
乳房エックス線検査や超音波検査で異常が認められた場合には、乳がんの一部を採取して調べる病理検査(細胞診や組織診)が行われます。
手術や放射線治療を行うために、MRI検査・CT検査・骨シンチグラフィ・PET検査などの画像検査が行われることもあります。
乳がんの検査については、こちらの「乳がん検診は何歳から?初期検査・精密検査の種類、費用を解説」もご覧ください。
まとめ、乳がん早期発見のためにできること
それではこの記事をまとめましょう。
- 乳がんは女性のがん罹患数第1位である
- 乳がんのリスクは女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」が大きく影響する
- 飲酒や喫煙、運動不足、閉経後の肥満もリスク因子となる
- 乳がん特有の初期症状は乳房のしこりであるが、しこりがない場合もある
- 乳がん発見のきっかけで最も多いのは、自覚症状による受診(その他・不明を含む)である
- 乳がん検診は視診・触診、マンモグラフィ(乳房エックス線検査)、超音波検査がある
- 40歳を超えたら2年に1回、マンモグラフィを受けることが大切
乳がんの早期発見には、月1回のセルフチェックと定期的ながん検診の受診が必要です。また、乳房の異常を感じたら早めに医師に相談することも大切です。40歳を超えたら、2年に1回は乳がん検診を受けましょう。
また、乳がんの症状を知っておくことも大切です。乳房のしこりや痛み、へこみ、分泌物が出るなどの症状が見られたら早めに医療機関を受診しましょう。
そして、飲酒や喫煙、運動不足、肥満を避け、乳がんのリスクを下げる生活習慣を意識できるといいですね。
自宅で乳がんのリスクを検査する方法もあります。「マイシグナル」は、唾液や尿だけで大腸・肺・胃・乳房・卵巣・すい臓・食道の7つのがんの遺伝的リスクや現在のリスクをチェックできる検査キットです。自分のがんのリスクについて知りたい方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
- 国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計
- 国立がん研究センター がん情報サービス 全国がん罹患データ
- 国立がん研究センター がん情報サービス 新基準人口:全国がん死亡データ
- 国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん 予防・検診
- 国立がん研究センター がん情報サービス 乳がんについて
- 国立がん研究センター、がん情報サービス「乳がん 治療」
- 国立がん研究センター がん情報サービス がん種別統計情報 乳房
- 国立がん研究センター 遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)をご理解いただくためにver.2022_2
- 国立がん研究センター中央病院 男性乳がん(だんせいにゅうがん)
- 日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q40 転移・再発とは,どのような状態なのでしょうか
- 日本乳癌学会 患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q64 月経歴,妊娠・出産,および授乳歴は乳がん発症リスクと関連がありますか
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 CQ1 低用量経口避妊薬(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の使用は乳癌発症リスクを増加させるか?
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年度 CQ2 閉経後女性ホルモン補充療法(HRT)は乳癌発症リスクを増加させるか?
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 BQ2 喫煙(受動喫煙含む)は乳癌発症リスクを増加させるか?
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 BQ3 乳製品の摂取は乳癌発症リスクを減少させるか?
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 BQ12 良性乳腺疾患は乳癌発症リスクを増加させるか?
- 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 BQ13 乳癌家族歴は乳癌発症のリスク因子となるか?
- 日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版 Q8.乳がん以外の乳房のしこりには,どのようなものがありますか。
- 日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019年版 1-8.ストレスや性格は乳がん発症リスクと関連がありますか。
- 日本産科婦人科学会 更年期障害
- 九州大学病院がんセンター 乳がん
- 京都大学医学部附属病院 乳腺外科 炎症性乳がんの診断と治療
- 日本医科大学付属病院 乳腺科 再発・転移
- 杉並区医師会 治療薬としての低用量ピルの話
- がん研究振興財団 がんの統計2022
- PMS、PMDDの診断と治療ー他科疾患との鑑別ー
- Chen L, et al:Bra wearing not associated with breast cancer risk: a population-based case-control study.Cancer Epidemiol Biomarkers Prev, 2014 Oct;23(10)
- 厚生労働省 令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
- 厚生労働省 市町村のがん検診の項目について
- 大阪市 乳がん検診について
- かなざわピンクリボンプロジェクト 乳がんQ&A
- ※本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。
この記事の著者
広田沙織
看護師 医療ライター兼ディレクター 医療ライターズ事務所メディペン所長 国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)にて看護師として勤務。2016年より医療ライターとして医療関連のWebコンテンツ制作に関わり、1000記事以上の記事を執筆する。2020年に医療ライターズ事務所メディペンを立ち上げ、提携ライターと共にエビデンスに基づいた医療記事の執筆を行う。
この記事の監修者
水沼 未雅
博士(薬学)、薬剤師
京都大学薬学部卒業。東京大学大学院 薬学系研究科にて博士号(薬学)取得。アストラゼネカ株式会社のメディカルアフェアーズ部門にて、新製品の上市準備、メディカル戦略策定、研究企画、学術コミュニケーション等を経験後、Craifにて事業開発に従事。
質問者
先日、姉が乳がんと診断されたんです。母は卵巣がんで亡くなっていて…。