がん検査

がん検査の精度とは?感度・特異度・陽性的中率から考える

  • 公開日: 1/17/2023
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  • 最終更新日: 8/2/2024
    がん検査の精度とは?感度・特異度・陽性的中率から考える
    質問者

    質問者

    最近手軽に受けられる色んな「がんスクリーニング検査(以下、がん検査)」がありますが、もし自分ががんだったとして、がん検査を受けたら必ずがんは見つかるのでしょうか?がんの可能性を指摘されても実際には違うってこともありますか?

    先生

    先生

    残念ながら違います。実際にはがんじゃないのに「がんの疑いアリ」って結果が出たり、がんなのに見落としがあったり……。精密検査を受けないと実際のところはわからないのが現状です。

    質問者

    質問者

    え?100%正確ながん検査は存在しないって驚きました。

    先生

    先生

    でもがん検査でがんのリスクを判定してもらって、必要な場合に精密検査を受けるのはがんを早期発見する上ですごく重要です。

    質問者

    質問者

    では、がん検査の精度ってどのくらいなのでしょうか?

    先生

    先生

    がん検査の精度を一つの数値だけで導くのは難しいです。感度・特異度・陽性的中率といった指標を基に評価しないといけません。この辺りを詳しく解説していきますね。

    これらの指標について説明する前にまずは、どんながん検査があってどんな種類のがんが見つけられるのかについて解説していきます。

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    50歳を過ぎるとすい臓がんの発症率が上昇。特に初期段階では症状がほとんど出ないため、病院に行くタイミングが遅くなってしまいがちです。 マイシグナル®なら自宅で尿を採取するだけで、すい臓がんのリスク検査ができます。

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    身体の中のがんの有無をリスク判定できる腫瘍マーカー検査

    病院やクリニック、健康診断などで用いられている血液・尿採取によるがん検査。血液や尿中に存在する腫瘍マーカー(がんがあることで作り出される特殊なタンパク質など)の有無を調べます。

    検出される腫瘍マーカーの種類・値によって、がんの有無や進行度を判断する「手がかり」となります。

    なお、「腫瘍マーカーが高かった=がんを患っている」というわけではありません。特定の腫瘍マーカーが高値であったとしても、肝臓や腎臓の機能が低下していたり、飲酒や喫煙の習慣があったりすることや、服用している薬や持病の有無などによっても腫瘍マーカーの値が影響を受けることがあるからです。

    血液・尿を採取して、以下のがんの腫瘍マーカーの有無を調べることができます。

    がん種 マーカー
    甲状腺がん CEA
    非小細胞肺がん CYFRA21-1、CEA、SLX、CA125、SCC
    小細胞肺がん NSE、ProGRP
    食道がん SCC、CEA
    胃がん CEA、CA19-9
    大腸がん CEA、CA19-9、p53抗体
    肝細胞がん AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3
    胆管がん CA19-9、CEA
    膵臓がん CA19-9、Span-1、DUPAN-2、CEA、CA50
    膀胱がん NMP22、BTA
    前立腺がん PSA
    乳がん CEA、CA15-3、NCC-ST-439
    子宮頸がん SCC、CA125、CEA
    卵巣がん CA125

    例えば上記の中で前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSA」は、前立腺がんのスクリーニング検査の中で、最も精度が高いと言われています。

    一方で、乳がんの腫瘍マーカーである「CEA、CA15-3、NCC-ST-439」については、早期の小さながんは陰性となって見逃されてしまいます。つまり、乳がんの早期発見には向いていません。

    このように、腫瘍マーカーによってがんのリスクを判定する精度が異なるのです。

    また腫瘍マーカー検査は医療機関だけではなく、自宅で簡単にできるキットも販売されています。特殊なキットを使って血液を1滴採取するだけ。

    大腸がん、胃がん、食道がん、前立腺がん、乳がんなどのリスクが判定できます。

    痛みが無く自宅でも簡単にできる尿検査

    尿からは腫瘍マーカー以外にもさまざまな物質を検出でき、がんのリスクを判定することができます。

    先生

    先生

    マイシグナルのがん検査もここで紹介させてください。マイシグナルは、尿中のマイクロRNAから早期のがんでも検出可能です。

    質問者

    質問者

    マイクロRNAって何ですか?

    先生

    先生

    簡単に言うと、細胞間のコミュニケーションを担う遺伝物質です。細胞たちは、マイクロRNAを用いて、例えば”細胞を増やす”、”細胞を減らす”といった体の変化を調整しています。このコミュニケーションは、”がん細胞を増やす”と言った体の変化を起こす時にも行われているため、マイクロRNAでがんのリスク判定ができるようになります。

    詳しいことはマイクロRNAとは?がん検査との関係とマイシグナル®の仕組みで解説しているから読んでみてください。

    質問者

    質問者

    がん検査なんて病院でしか受けられないって思っていました。いろんながん検査があるんですね。

    先生

    先生

    がん検査を受ける最大の目的はがんの早期発見。そうすれば、治せる可能性が高く、治療も軽く済みます。だから手軽に受けられる検査の開発が進められています。

    例えば日本人に多い、大腸がんについて早期発見した場合の生存割合を見てみましょう。

    大腸がんの5年相対生存率

    大腸がんの5年相対生存率

    がんと診断後5年間生存している割合と日本人全体で5年後に生存している割合を比べた「5年相対生存率」は、初期のがんと言えるステージ0で97.6%、ステージⅠで94.5%です。

    一方でがんが進行し他の臓器にも転移してしまっているステージⅣでは18.7%と大きく低下してしまいます。(*1)

    質問者

    質問者

    ステージⅠとⅣを比較すると、確かに早期発見って大切だと思いますが、ステージⅡでも90%近くあるし、ステージⅢでも75%以上あるし、そこまで早期早期って言わなくても良いかと思いますが……

    先生

    先生

    がんのステージが進むほど、治療による患者さんの身体への負担は大きくなります。手術・抗がん剤治療・放射線療法など大きな苦痛を抱えて闘病しなければなりません。苦しい治療を乗り越えての5年生存率なのです。

    質問者

    質問者

    なるほど。重みが全然違うんですね……。

    前述したような、早期発見を目的としたがんのスクリーニング検査の場合、基本的には保険が適用されず自己負担になるので、それなりの費用はかかってしまいます。

    ただ、がんが進行した場合の身体的負担・精神的負担・経済的負担・家族への負担などを考えると定期的にがん検査を受けるメリットは大きいのではないでしょうか。

    がん検査の正確性を表す指標となる「感度・特異度・陽性的中率」について

    質問者

    質問者

    がん検査の種類やどんながんを見つけられるのかは分かりましたが、肝心の精度はどうでしょうか?

    先生

    先生

    良い質問ですね!がん検査の精度には、大きく分けて感度・特異度・陽性的中率の3つの指標があります。

    質問者

    質問者

    聞いたことない言葉ばかりです…言い方が違うだけで全部一緒ってことはないですか?笑

    先生

    先生

    違います笑。医療技術の進歩で、今後もがん検査の選択肢が大きく広がってくるから自分できちんと調べて、信頼できるがん検査を受けないといけません。 ここで1つ質問です。

    Q 特に気になる症状はないけれど胃がんの検査を受けたいあなたは、「病院で受ける胃がんの腫瘍マーカーを調べる血液検査」と「自宅で簡単に受けられる感度・特異度90%の尿検査」を見つけました。早期発見を目的とする場合、どちらを受けますか?
    質問者

    質問者

    やっぱり病院で受ける血液検査の方が安心です。早期発見にも繋がりそうです。

    単純に腫瘍マーカー検査とこの尿検査の優劣をつけるのは難しいのですが、まず前提として一般的に腫瘍マーカー検査の感度・特異度は低く、進行しているがんを発見するには役立ちますが、早期のがんを見つけるのは難しいと言われています。(*2)

    一方で、感度90%の尿検査は10人のがん患者が検査を受けた場合に、9人に陽性判定が出るということ。

    質問者

    質問者

    見落とされるのは1人つまり、10%ってことですね。血液検査は針が痛いし、それなら尿検査の方が良さそうですね。ただ、尿検査でがんじゃないのにがんって誤判定される可能性はどの程度ですか?

    先生

    先生

    いいところに気がつきましたね。それを表しているのが特異度です。特異度とは、がんでない人を正しく陰性と判定できる確率のこと。つまりこの尿検査でいうと、特異度は90%なので、10人のがんの無い健常者のうち9人に陰性という結果がでる、ということです。

    感度 病気のある人を正しく、「病気がある(陽性)」と判定できる割合
    特異度 病気のない人を正しく、「病気がない(陰性)」と判定できる割合
    質問者

    質問者

    なるほど。では、感度も特異度も高い方がいいということですね。ところで、もしこの感度・特異度90%の尿検査を受けて陽性判定が出た場合、90%の確率でがんということですか?

    先生

    先生

    そういうわけではありません。そうやって誤解する人が多いのですが、陽性判定が出て、本当にがんである確率は感度・特異度だけでは導けません。「有病率」が大きく関係してくるからです。有病率とは、特定の集団のある一時点で、その病気にかかっている人の割合のことを指します。例えば、全く同じ検査を、有病率が異なる集団に対して実施した場合、何が起こるのかを見てみましょう。

    有病率の異なる集団に同じ検査を行った結果

    この例題の様に、全く同じ検査をやっているのに、そもそも病気に掛かっている人の割合(有病率)が高い場合、陽性的中率は高くなります。つまり陽性判定が出た人が本当にがんである可能性が高くなります。 逆に、そもそも病気に掛かっている人の割合(有病率)が低いと、陽性的中率は低くなるため、陽性判定が出た人が本当にがんである可能性がそこまで高くならないということになります。

    先生

    先生

    ちょっとわかりやすく説明していきましょう。

    例えば、有病率1%の病気Aと有病率50%の病気Bがあったとします。

    病気Aと病気Bをそれぞれ調べる感度・特異度が80%の同じ検査法があったとして、この検査の精度は同じとは言い切れません。

    なぜなら感度・特異度は同じでも、有病率のみで考えると、 病気Aの検査を100人受けて実際に陽性となる確率は1%。 病気Bの検査を100人受けて実際に陽性となる確率は50%。

    そもそも元の集団の有病率が50倍も違えば、「陽性を当てられる確率が高まる」ということがお分かりいただけるでしょう。

    質問者

    質問者

    なるほど。有病率が高いと必然的に検査の精度も上がるということですね。

    先生

    先生

    その通りです。だから有病率まで計算式に入れた「陽性的中率」という指標があります。

    検査の感度・特異度・有病率を全て含めて算出されるのが陽性的中率です。陽性的中率はがん検査で陽性の判定が出た人の中で、本当にがんである人の確率を表しています。つまり臨床現場では陽性判定後に精密検査を受けてがんと診断される確率(=がんと正しく診断できる確率)とも表現できます。

    陽性的中率とは? 感度・特異度・有病率を使って導き出された、「陽性判定後、精密検査を受けてがんと診断される確率=がんかどうかを正しく診断できる確率」

    ここで注意しなければならないのが、感度・特異度は高いほど「精度が高くなる」と表現できますが、陽性的中率はそんなに単純ではないということです。

    ・疾患Aに対する陽性的中率は10%だから「精度が低い」
    ・疾患Bに対する陽性的中率は50%だから「精度が高い」

    とは言えないのです。なぜなら陽性的中率は有病率の影響を大きく受けるため、有病率が高いと陽性的中率は上がり、有病率が低いと陽性的中率は下がる性質を持つから。

    そのため、陽性的中率の数値のみで精度を判断できないのです。

    質問者

    質問者

    では結局、陽性的中率の良し悪しはどうやって判断するのですか?

    先生

    先生

    陽性的中率を評価する場合は、「臨床データ(精密検査を受けてがんと診断される実際の割合)」と比較します。「陽性的中率、つまり、がんを正しく診断できる確率」と「実際に精密検査を受けてがんと診断される割合」に大きな差がない場合、そのがん検査は有用性の高い検査と言えます。 とは言っても専門的な話になるので、陽性的中率を評価するのは結局医師などの専門家が担います。

    その他、厚生労働省が提示している各がん毎の陽性的中率(陽性反応適中度)の許容値というのも参考になります。

    各がん検診に関する精度管理指標

    乳がん 子宮頸がん 大腸がん 胃がん 肺がん
    精検受診率 (許容値) 80%以上 70%以上 70%以上 70%以上 70%以上
    未把握率 (許容値) 10%以下 10%以下 10%以下 10%以下 10%以下
    精検未受診率 (許容値) 10%以下 20%以下 20%以下 20%以下 20%以下
    精検未受診・未把握率 (許容値) 20%以下 30%以下 30%以下 30%以下 20%以下
    要精検率(許容値) 11.0%以下 1.4%以下 7.0%以下 11.0%以下 3.0%以下
    がん発見率(許容値) 0.23%以上 0.05%以上 0.13%以上 0.11%以上 0.03%以上
    陽性反応適中度(許容値) 2.5%以上 4.0%以上 1.9%以上 1.0%以上 1.3%以上

    あなたが受けたい検査の陽性的中率と厚生労働省が提示している許容値を比較してみるのも精度を評価する一つの判断基準になるでしょう。

    感度 病気のある人を正しく、「病気がある(陽性)」と判定できる割合
    特異度 病気のない人を正しく、「病気がない(陰性)」と判定できる割合
    陽性的中率 感度・特異度・有病率を使って導き出された、「陽性判定後、精密検査を受けてがんと診断される確率=がんを正しく診断できる確率」

    Point:
    ・感度と特異度は数値が高い方が「精度が高い」と言える。ただ、有病率が高いと精度は上がってしまう。
    ・陽性的中率は有病率の影響を受けるので数値の高さだけで評価できない。

    質問者

    質問者

    がん検査の精度ってすごく複雑ですね。つまり、1つの数字だけみてその検査の精度を判断したらいけないってことですね。

    先生

    先生

    その通りです。さらに忘れてはいけないのが、いくら精度の高いがん検査であっても適切な頻度で検査を受けないと早期発見にはつながらないということです。やはり重要なのは早期発見ですから。

    質問者

    質問者

    1度受けて大丈夫って判定が出たら安心しそうですが、それではダメなんですね。定期的に受けるようにします。

    まとめ

    それではこの記事をまとめましょう。

    • がんのリスクをスクリーニングするがん検査には腫瘍マーカー検査・血液検査・尿検査・唾液検査などがあり、医療機関で受けるものから自宅で手軽に受けられるものまで様々ながん検査がある。
    • これらの検査はがんのリスクを判定するもので、「リスクあり=がんを患っている」というわけではない。
    • 検査の種類によって「見つけやすいがん」「見つけにくいがん」がある。特に腫瘍マーカー検査は基本的にはがんの早期発見には向いていない。
    • 精度には感度・特異度・陽性的中率といった指標がある。
    • 一つの指標だけを見て、検査の精度の評価はできない。
    • 有病率が高いと精度は上がってしまう(逆も言える)。
    • がんを早期発見するには定期的にがん検査を受ける必要がある。

    がんが進行した場合の治療による身体的負担・精神的負担・経済的負担・家族などへの負担を考えると、がんの早期発見は、非常に重要です。

    がんを早期発見するには定期的にがん検査を受ける必要があります。

    検査には医療機関で受けられるものから自宅で受けられるものまでさまざまな種類がありますが、それぞれの検査の強み・弱みを把握し、適切な頻度で、自分に合った検査を受けるようにしましょう。

    どの検査キットを選べば良いか迷っているのであれば、ぜひマイシグナルのがん検査をご検討ください。

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    検査キットの申し込みはこちらのがん検査申込みページよりご希望のセットを選択してご購入ください。

    • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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