がんの症状

肺がんの症状と原因: 初期症状と末期症状、咳が止まらない場合は要注意?

  • 公開日: 12/22/2023
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  • 最終更新日: 12/27/2023
  • #肺がん
肺がんの症状と原因: 初期症状と末期症状、咳が止まらない場合は要注意?
質問者

質問者

先生、咳が1か月ずっと止まらないんです。風邪だと思っていたんですが、なかなか治らないので肺がんとか、悪い病気じゃないかと不安で。

先生

先生

確かに肺がんは40~50代頃から増えるがんなので心配になりますね。

質問者

質問者

自営業なのでがん検診や健康診断も数年受けていなくて。かれこれタバコを30年吸い続けているので、検診を受けたほうがいいとはわかっていたんですがなかなか…。

先生

先生

なるほど。肺がんも含めて、くわしく見ていきましょう。

2019年の肺がんの罹患数は男性が約8.4万人、女性が約4.2万人で、がんの罹患数では男性第4位、女性第2位と非常に多いがんです。(*1)(*2)

また、2021年の肺がんの死亡数は男性が約5.3万人、女性が約2.3万人で、男性のがん死亡数第1位、女性でも第2位となっています。男女合計ではがん死亡数第1位です(*2)(*3)

肺がんの罹患数・死亡数が多い背景には、喫煙や受動喫煙、加齢、大気汚染、女性ホルモンなどが関係していると考えられています。

ここでは、肺がんの症状と原因についてくわしく解説していきます。

この記事でわかること

  • 肺がんは男女合計のがん死亡数第1位である
  • 肺がんのリスクは喫煙歴や年齢による影響が大きい
  • 肺がんは4種類あり、特に予後が悪いのが小細胞がんである
  • 肺がんは初期症状がない場合も多く、症状だけで早期発見するのは難しい
  • 進行してからみられる症状も風邪に似ていて気づきにくい
  • Ⅲ~Ⅳ期の肺がん発見のきっかけで最も多いのは、自覚症状による受診(その他・不明を含む)である
  • 40歳を超えたら年1回、肺がん検診を受けることが大切

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肺がんとは

質問者

質問者

肺って大きな袋が2つあるイメージなんですが、肺がんは袋のどこかにがんの塊ができる感じなんでしょうか?

先生

先生

イラストやイメージ図で、肺を大きな2つの袋で表現することが多いですね。実際は、気管支から枝分かれした細い気管支が肺の中に張り巡らされていて、その先に肺胞と呼ばれる小さな袋が無数に存在します。肺胞はとても薄い膜におおわれていて、周囲の細い静脈や動脈との間で酸素と二酸化炭素の交換をします。そして、この気管支や肺胞の細胞ががん化したものが肺がんです。

質問者

質問者

肺って細い気管支や肺胞が詰まった臓器なんですね。では肺がんは、気管支や肺胞ががんになるっていうことですか?

先生

先生

そうです。肺は、太い気管支がある肺の入り口である「肺門部」、細い気管支や肺胞のある「肺野部」に分かれ、どちらにもがんが発生します。実は肺がんは主に4つの種類があり、それぞれできやすい場所や特徴が異なります。

 
  組織分類 多く発生する場所 特徴
非小細胞肺がん 腺がん 肺野 肺がんの中で最も多い
扁平上皮がん 肺門
(肺野部の発生頻度も高くなってきている)
咳や血痰などの症状があらわれやすい、喫煙との関連が大きい
大細胞がん 肺野 増殖が速い
小細胞肺がん 小細胞がん 肺門・肺野ともに発生する 増殖が速い、転移しやすい、喫煙との関連が大きい

肺がんでは、腺がんが最も多く、半数以上を占めます。次いで扁平上皮がんが約3割、小細胞がんが約1割、大細胞がんが1割以下です。(*4)

肺がんは非小細胞がんと小細胞がんに大きく分けられますが、それぞれ予後や治療法が異なります。一般的に、非小細胞がんのほうが治療効果が出やすく、生存率も高くなります。初期の肺がんの5年相対生存率を比べると、非小細胞がんで80%を超えるのに対し、小細胞がんでは50%程度とその差は約2倍です。(*5)

肺がんの原因とリスク因子

肺がんは、喫煙習慣や加齢などがリスク因子となります。くわしく見てみましょう。

喫煙・受動喫煙

肺がんは喫煙との関係が深い病気です。喫煙者はタバコを吸わない人に比べて、肺がんになるリスクが男性で4.4倍、女性で2.8倍高くなることがわかっています。

また、喫煙者本人だけでなく、喫煙者の家族や同僚など、タバコの煙を吸うことになる周りの人(受動喫煙者)も肺がんのリスクが高くなるのです。

肺がんの中でも扁平上皮がんや小細胞がんは、喫煙との関連が強いといわれています。

年齢が50歳以上

肺がんは40代から増え始め、50代以降、急激に罹患数が増えます。肺がんの罹患率を人口10万人あたりでみると、30代では3人程度だったのが、40代で10~20人、50代後半では男性で約80人、女性で約40人となります。(*1) 加齢も肺がんのリスクとなるのです。

遺伝的な要因

親族に肺がんになった人がいる場合とそうでない場合を比較すると、親族に肺がんになった人がいる場合のほうが肺がんのリスクが2倍高くなることがわかっています。

なぜリスクに差が出るのか研究が進められた結果、肺がんのうち、腺がんの発生に遺伝子変異が関わっていることがわかりました。(*7) 腺がんは近年増加傾向にある肺がんで、喫煙との関係が弱く、腺がん患者の約半数が非喫煙者です。

研究によって腺がんに限らず、さまざまながんの発生に関わる遺伝子変異が明らかになり、がんのリスクチェックがより身近になりつつあります。

遺伝子情報を活用した検査キット「マイシグナル」は、唾液や尿だけで肺がんを含む7つのがんの遺伝的リスクや現在のリスクをチェックできます。気になる方はこちらのがんに特化した遺伝子検査「マイシグナル・ナビ」もご覧ください。

アスベスト・大気汚染

アスベストは、石綿(いしわた・せきめん)と呼ばれる天然の鉱物で、以前は建物の断熱材や防音材などに使われていました。しかし、アスベストの繊維は非常に細かく、人が吸入すると肺に入り込み、肺線維症(じん肺)や悪性中皮腫(あくせいちゅうひしゅ)、肺がんの原因となることがわかっています。現在では、アスベストの製造や使用が禁止されています。

しかし、アスベストによる健康被害が出るのは、悪性中皮腫で20~50年、肺がんで15~40年後です。(*8) そのため、アスベストを扱ったことのある人は定期的に健康診断を受ける必要があります。

また、肺がんのリスクとなるのが大気汚染です。大気汚染の原因物質のひとつ「PM2.5」は、工場からの排煙や自動車の排気ガス、黄砂などに含まれます。長期間、PM2.5を吸い続けると、喘息や気管支炎、肺がんなどのリスクを上昇させることがわかっています。

女性ホルモン・エストロゲン

肺がんの最大のリスク因子が喫煙です。しかし、日本人女性の喫煙率が低いにも関わらず、肺がんは女性のがん死亡数第2位です。その理由として、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」が肺がんの増殖を促したり、がん化を促進したりすると考えられています。

特に初経から閉経までの期間が長い人や、ホルモン剤を使用して人工的に閉経した人では、肺がんの発生率が高くなることがわかっています。

肺がんの初期症状はない?

質問者

質問者

肺がんの初期症状って咳や痰がよく出るとかでしょうか?

先生

先生

初期の肺がんでは症状がない場合も多く、咳や痰などの症状が出る頃には進行しているケースも少なくありません。咳や痰も風邪などでよくある症状ですし、肺がんは気づきにくいがんと言えますね。

質問者

質問者

そうなんですね。ドラマだと急に血を吐いたりとか…。

先生

先生

進行した肺がんだと起こる可能性はありますが、初期では血を吐くことは考えにくいでしょう。しかし、それほどまでに進行しないと症状が出ないがんであるとも言えますね。

初期の肺がんでは症状がないことも多く、症状が出ても風邪や加齢による症状と見過ごされがちです。症状だけで風邪か肺がんかを判断するのは非常に難しいでしょう。

そのため、定期的にがん検診や健康診断を受けることが大切と言えます。

肺がんの進行速度と進行してくると現れる症状

質問者

質問者

肺がんが進行すると、咳や痰以外にどんな症状が出るんでしょうか?

先生

先生

進行すると、血液の混じった痰が出たり、発熱がみられたりすることもあります。動いたときに胸の痛みや動悸・息切れを感じる場合もありますね。

質問者

質問者

どれも風邪症状とか、年を取ると出てくる症状ばかりですね…。

先生

先生

そうですね。肺がん自体は特有の症状が出ないので、発見が遅れやすいがんです。実際に、初診時にステージⅣと診断されるケースは約4割にものぼります。(*9)

肺がんの病期(ステージ)はⅠ~Ⅳ期あり、肺がん自体の大きさや広がり、近くのリンパ節への転移の有無、肺から離れた臓器やリンパ節への転移の有無の組み合わせによって分けられます。おおまかにいうと、下記のように分けられます。

Ⅰ期 転移が無く、がんが小さい
Ⅱ期 転移は無いががんが大きい、あるいは同じ肺の中で転移がある
Ⅲ期 がんが肺の周りの組織や臓器、リンパ節にも転移している
Ⅳ期 遠隔転移があったり、胸水にがん細胞がみられる

肺がんのうち非小細胞がんの5年相対生存率を見てみると、Ⅰ期で80%程ですが、Ⅱ期で約50%、Ⅲ期で約30%、Ⅳ期では5%程度と大きく低下します。(*5)

さらに小細胞がんの5年生存率は、Ⅰ期でも約50%と低く、Ⅱ期で約30%、Ⅲ期で約20%、Ⅳ期では数%と非常に予後の悪いがんです。(*5)

小細胞がんは特に進行が速いがんとして知られています。診断時には肺以外に転移しているケースもあり、診断から13~14か月で亡くなる方が多いというデータもあるのです。(*10)

できるだけ早期に発見するために、肺がん検診を定期的に受けることと、肺がんの進行時の症状を知っておくことが大切です。

肺がんが進行してくると現れる症状を見てみましょう。

咳、痰が2週間以上長引く

がん細胞が増殖すると、肺や気管支を圧迫して咳や痰が出るようになります。風邪であれば、2週間以内にある程度改善することが多いですが、肺がんの場合は咳や痰が続きます。

2週間以上続くようであれば、医療機関を受診しましょう。

痰に血が混じる・血痰が出る

がんが気管支に及ぶと、気管支の内側から出血しやすくなり、痰に血が混じった血痰が出ることがあります。

発熱・高熱が5日以上長引く

肺がんが気管支を塞ぐと、炎症が起こり閉塞性肺炎となることがあり、発熱が5日以上続くことがあります。

息苦しさ・胸の痛み・動悸

肺がんが大きくなると、肺の機能に影響を及ぼし、息苦しさや動悸が起こることがあります。また、大きくなった肺がんが肋骨や肋間神経を刺激することで胸の痛みが出ることもあります。

肺がんの末期症状とは

質問者

質問者

肺がんがもっと進行すれば、なにかわかりやすい症状が出るんでしょうか?

先生

先生

肺がんが肺の外に広がったり、他の臓器や骨などに転移したりすると、それまでとは違った症状がみられます。例えば、声を出すのに関係する神経やその周りにがんが広がると、声がかすれる症状が出ますし、脳に転移すれば頭痛やふらつきなどの症状が出ることがあります。

質問者

質問者

肺とは関係なさそうな症状が出るんですね。

先生

先生

そうですね。肺がんは骨や脳、肝臓、副腎などに転移しやすいので、呼吸器とは関係なさそうな症状が出ることがあります。症状だけで肺がんを見つけるのは難しいと言えますね。心配な症状が出たら、すぐに医療機関を受診することを強くおすすめします。

末期の肺がんでみられる状態と症状は下記のとおりです。

胸水貯留
がんが胸腔(肺と胸壁との間)に広がると、胸に水が溜まります。これが胸水です。胸水が溜まると、肺を圧迫してしまい呼吸がしにくくなります。息苦しくて仰向けで寝ることができない場合には、胸水が心臓を圧迫しているのかもしれません。

肩や腰の痛み
がんが肩や腰の骨に転移したり、近くの神経に広がった場合、肩や腰の痛みとして症状が出ることがあります。背骨に転移すると、大きくなったがんが脊髄神経を圧迫して麻痺が出ることもあります。

頭痛、ふらつき、吐き気
脳にがんが転移すると、頭痛がみられることがあります。また、転移した場所によって、ふらつきや麻痺、けいれん、吐き気などの症状が出ることもあります。

黄疸
がんが肝臓に転移すると、眼球の白目部分が黄色くなったり、皮膚が黄色くなったりする黄疸が出ることがあります。尿が濃い茶色や黒になることで気づくこともあります。

肺がん発覚のきっかけとは

肺がんは、他の疾患の経過観察中に見つかるケースが最も多いです。しかし、Ⅲ~Ⅳ期とステージが進むと、自覚症状による受診(その他・不明を含む)が最多となります。(*11) 

自覚症状で気づいた場合、ある程度がんが進行しているケースも多いため、定期的にがん検診や健康診断、人間ドックを受けることが大切です。

市町村の肺がん検診は40歳以上を対象に年1回となっていますので、定期的に受けるようにしましょう。

20代や30代で肺がんになることもあります。気になる症状があれば、医療機関を受診することをおすすめします。

肺がんの検査方法とは

質問者

質問者

肺がんの検査はどんなことをするんでしょうか?

先生

先生

肺がん検診では、問診と胸部エックス線検査を行います。胸部エックス線検査は、健康診断などで受けたことのある方も多いでしょう。胃がん検診とは違って、バリウムを飲む必要もなく、食事制限もありません。

質問者

質問者

レントゲンを撮るだけでいいんですね。

先生

先生

はい。ただ、胸部X線は病変の部位や読影者により検出力にばらつきがあり,実臨床でも19%の見落としが報告されているので、がんがあっても見つからない(偽陰性となる)リスクにも注意が必要です。

特に、小さいがんの多くはX線で見逃されやすいことを考えると、X線だけで確実に肺がんを早期発見できるとは言い難いです。

そのため、ハイリスクの人は喀痰細胞診という痰の検査も行います。ハイリスクとなるのは、原則50歳以上で「禁煙指数」が600以上の場合です(過去における喫煙者含む)。喫煙指数は「1日に吸うタバコの平均本数」×「喫煙年数」で計算します。

肺がん検診では、問診と胸部エックス線検査が行われ、ハイリスクの場合には喀痰細胞診も行われます。

もし、この検診で異常が認められた場合には、胸部CT検査や気管支鏡検査(口から内視鏡を入れて気管支や肺を見る検査)を行い、がんやその他の病気の有無や状態を検査します。気管支鏡検査でがんと疑われる部分が見つかった場合、採取して組織をくわしく調べることができます。

また、近年ハイリスクの方に対しては低線量胸部CT検査の有用性も示されており、精度管理をしっかりと行える施設においては実施することが推奨されるようになりました。

肺がんの検査については、こちらの「肺がんを早期発見、肺がん検査の方法・費用・頻度」もご覧ください。

まとめ、肺がん早期発見のためにできること

それではこの記事をまとめましょう。

  • 肺がんは男女合計のがん死亡数第1位である
  • 肺がんのリスクは喫煙歴や年齢による影響が大きい
  • 肺がんは4種類あり、特に予後が悪いのが小細胞がんである
  • 肺がんは初期症状がない場合も多く、症状だけで早期発見するのは難しい
  • 進行してからみられる症状も風邪に似ていて気づきにくい
  • Ⅲ~Ⅳ期の肺がん発見のきっかけで最も多いのは、自覚症状による受診(その他・不明を含む)である
  • 40歳を超えたら年1回、肺がん検診を受けることが大切

肺がんの早期発見には、定期的にがん検診を受けること、体調に異常を感じたら早めに医療機関を受診することが大切です。肺がん検診は、体への負担もなく、簡単に受けられます。年に1回は、肺がん検診や健康診断、人間ドックで受けておきましょう。

また、肺がんの症状を知っておくことで、風邪や加齢によるものと思いこまず、異常に早く気づけるでしょう。

そして、肺がんのリスクを下げるには、喫煙習慣を見直すことが必要です。喫煙本数を減らす、禁煙外来を受診するなど、改善に向けて動き出しましょう。

自宅で肺がんのリスクを検査する方法もあります。「マイシグナル」は、唾液や尿だけで肺のほか、大腸乳房卵巣すい臓食道の7つのがんの遺伝的リスクや現在のリスクをチェックできます。がんのリスクが心配な方は一度試してみてはいかがでしょうか。

参考
  • 本記事に記載されている費用は当社(Craif)が独自で調べたものになります。実際の費用は各医療機関にお問い合わせください。

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